「やらかし」が難しい社会

「ラジコンで、駅まで行こう!!!」
ハイテンションのK君が、僕に言う。

僕は思う。「えええ、、」

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学校終わりの15時。「ただいまー」と子どもたちは、やまびこを期待しているくらいの声量で叫ぶ。

そんななか、地域のある子が、ラジコンをもってきた。案の定、K君が興味を持ち、ラジコンを器用に動かす。このように「やってみたい!!」をすぐ行動に移せることは、実はすごいことだと思う。

感心していたのは、つかの間。K君はこんなことを言う。

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「ラジコンで、駅まで行こう!!!」と。

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僕は内心「道中でラジコンを走らせるのは、人の迷惑だし、見栄えが悪いなぁ…」と思った。でも、流れに身を任せることにした。この「ラジコンで駅に向かうプロジェクト」は、2年生のKくんと1年生のIくんでミッションを遂行することにした。

「ブーン!!」と街を、スポーツカーの形をしたラジコンが、音をかき鳴らす。K君とI君は興奮気味だ。

I君はk君に言う。「先輩、すごい!」
K君とI君の関係は、ちょっと師弟関係で独特で面白い関係だと思う。

さまざまな障害物(人や水溜り)をくぐり抜けていく。横断歩道では私の手によって、スポーツカーを持ち上げ、宙を舞い駅前に着地した。

さぁ、もうゴールは目前。
そんなときに、ニコニコした警備員さんからこう言われる。

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「ここで、ラジコンはやめてください(苦笑い)」

KくんとIくんはこう言い返す

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「はい、すみません!」

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私たちのプロジェクトは、儚く終了を迎えた。しかしながら、K君とI君は、なんだか満足げで、一つ世界を救った映画終わりのヒーローのような顔をしていた。

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ここで、このプロジェクトのGOサインを出してよかったと思う反面、いつもどことなく聞こえる「見栄えが悪い」という声と闘っている自分がいる。

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私はいかに、この「見栄えが悪いんちゃうか?」という声に対して、打ち勝てるだろうか。

まず「見栄え」とは、なんだろうか。辞書で調べると「見た感じがいい」。つまり「社会のルールを守っている(守らせている)」状態を「見栄えがいい」と言えるのだろうと思う。

では、社会のルールは、いかにして学べるのだろうか。

まず、前提として、「子ども」を定義したいのだが、子どもは「社会のルールより先に、まず『やりたい!!』という気持ちを優先する人のことを「子ども」と呼ぶ。よって、子どもは常に「やらかす」。でも、それが子どもとして健全なのだと僕は思う。そして、社会で求められているとされる「主体性」でもある。

では、いかにして、社会のルールを学ぶのか。私は3ステップで考えてみた。

①仲良くなる
②仲良い子が困る
③お互いに模索して、小さい「社会のルール」が生まれる

つまり社会のルールは、教えられるものではなく、関係の中で「生まれちゃう」ものだと。

では、私(大人)ができることはなんだろう。
私がよくあるダメダメなループを紹介したい。

①私(大人)が監視する
②先回りして注意する
③体験を奪う

これをどう変えたらいいのだろう。
私は、いいループを考えてみた。

①信頼して見守る
②子どもたちの模索を、一緒に考える
③体験を育てる

このダメダメループから抜け出すために、このようにまとめてみた。

①私(大人)が監視する⇆ 信頼して見守る
②先回りして注意する⇆一緒に考える
③体験を奪う⇆ 体験を育てる

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今回のプロジェクトは、
①信頼してラジコンを走らす(信頼して見守る)
②警備員に怒られて、なぜダメだったか一緒に考える(一緒に考える)
③次どうするか考えて、やってみる(体験を育てる)

このように回ったのかもしれない。
でも、学童中に、私は全部がこのように回っていないと思う。

「見栄えが悪い」という声に私は負けてしまうことがある。

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「やらかし」が難しい社会。
なぜ「やらかし」が難しい社会になってしまったのだろう。それは「万物のサービス化」にヒントがあると思う。今、すべてのものがサービス化し、良くも悪くも「大人の世界」が拡大した。学童保育も、サービス化し、子どもの放課後でさえも「大人の管理下」になったと言える。

そして「大人の管理下」になってしまえば、子どもの「やってみたい!」に伴ってやってくる「やらかし」が、大人の目に入ってしまう。先回りしてしまう。

そして、子ども同士での「模索」の体験を奪ってしまうのだと思う。

この難しい環境(社会システム)の中で、私たちは「そもそも本当に大切なことはなんだろうか?」を問い直し、考え続け、模索し、対話し続けて、社会に漂う「見栄えが悪い」という声に向き合う必要があると思う。

子どもに「幸せな子ども時代」を。

そのために、私ができることを考えていきたい。

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