「だっこ」のバトン
「だっこ」とは、少し面倒だ。
なぜなら、忙しい私(大人)の手足を不自由にするからだ。
しかし、それは大人の都合なのかもしれない。
「だっこ」の価値とはなんだろう。
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15時ごろ。学校終わりの子どもたちが帰ってくる。「ただいまー」と、元気よく帰ってくる。ここはとある学童保育である。
今日は6時間目の子どもが多く、しっかり遊べない日でもある。短い時間でも外の世界に触れるために、散歩をすることがある。宿題が終わった人で、散歩に出かける。
RさんとKくんでお散歩に行くことにした。
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馴染みのある土地でもあり、未知だらけの土地でもある世界を2人の子どもが歩く。きっと安心と不安とドキドキを織り交ぜながら前に進んでいるんだと思う。私はそんな感情を含めて見守る。
そんななか、Kくんがいう。
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「だっこしてー」
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私は思う。
「えー、大変だしなー」
そう思いながら抱っこすることにした。すると、、Rさんが
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「えー、だっこしてほしいー」
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ということで、私の散歩は、「だっこ」の時間となった。そんななか印象的な会話があった。
キタバ「キタバ、ずっと抱っこするのは、大変なんだよー」
「だから、次は、キタバをおんぶして」
私は、少しふざけてみる。
RさんとKくんは「えー、絶対むり。重たいもん」
と、すごい拒絶ぶりを見せてくれた。
キタバは諦めず
「じゃ、RさんとKくんが、大人になったら、『だっこしてー』っていう子どもをだっこしてよ?」と言ってみた。
すると
「当たり前やろ!」
と間髪入れずに返ってきた。
そうか、僕は「だっこ」をしているだけではなく「だっこのバトン」を繋いでいるのかも知れない、そう思った。
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「だっこ」とは、どんな意味があるんだろう。まずどんな状態かを考えてみる。だっこの特徴は2つあると思う
①お互いに腕を回して、しっかりであり、優しくでもある力加減で、包む状態
②お互いにだっこ中は、だっこ以外の行動がほとんどできない状態
つまり、安定しながらも優しく包み、あなたとわたしだけの時間を過ごす状態ともいえる。ここで「だっこ」の意味を考えるとするなら、「かけがえのない‘’あなた‘’という存在を‘’受けとめる‘’というメッセージ」がだっこの意味なのかもしれない。
そして、RさんとKくんは、「未来の子どもをだっこする」と答えてくれた。それを意味するのは「未来の人(かけがえのない存在)を、忙しさなどの理由で、置いてけぼりにせず、しっかりと受けとめるよ」と約束してくれたように感じた。
世界に「だっこ」や「ハグ」が当たり前になるのは、個人的にいいことだと思う。なぜなら「かけがえのない‘’わたし‘’を思い出すから」。もちろん、信頼のある人同士など、制限はあると思うんだけど。
「わたしはかけがえのない‘’わたし‘’なんだ」
そう思える、未来を残していきたい。
私たち(大人)のあり方が、未来に何を残すんだろう。
そんなことを考えた一日だった。
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