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「目からウロコのコーチング」 播摩早苗さん

今日は、マコなり社長の動画で紹介されていた、本書の感想です。
「目からウロコのコーチング」播摩早苗さん
https://www.amazon.co.jp/dp/B00PU5KZQ4/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1

 まず、部下の管理とは、「怒る」「注意する」「脅す」事だ、と思う人がたくさんいると思いますが、「部下を承認して自立をサポートする方が、全体の効率はよくなる」とし、その理由や方法が明確に記載されています。
 管理職の方には、ぜひ読んで欲しいですし、それ以外の方、例えば、親子、友人関係、先輩後輩など、様々な人間関係で応用できますので、より多くの方におすすめの1冊です。

私なりの要約でまとめていきます。
 
「コーチング」とは
 これまでの「コーチ」とは有能なプレイヤーである上司が自身のノウハウを的確に指示する事で、部下も成功できる、という考え方でした。
 ところが、これではコーチの指示がないと動けない為、現在の厳しいビジネスシーンには対応できません。自分で考える部下が必要なのです。
 管理職は、自分の優れた所を見せるのではなく、部下に仕事の喜びを知ってもらう事にコミットする、そうすれば結果的に両方を手に入れられる。相手軸を基準として考える事です。

「部下の答えを質問する。」
 従来のビジネスシーンでは、指示命令が普通でした。
 ところが、これでは自発的に行動できません。
 自発的な行動を促すには、質問する事です。
 答えは部下の中にある。それを引き出して、自らの回答で前向きに進む事をサポートする事です。もし失敗したら、と部下が恐れないようにサポートする事が大事で、日ごろからの信頼関係が大事です。

「よく聴く」
 これまでは、話を聴いているようで、実は来ておらず、自分の意見を押し付ける上司が多かったです。これでは、コーチングにはなりません。
 コーチングの基本はよく聴く事。よくある間違いは、部下の問題解決に自分がのめりこむ事です。あくまで部下から引き出す事が大原則です。

「承認」
 むやみに褒める事はよくない、と相手に強く当たる上司が多いです。
 これでは信頼関係もできず、部下の勇気づけにもなりません。
 褒めるのではなく、「承認」します。肯定的にメッセージを送ります。
 その際は、Iメッセージが有効です。

「Iメッセージ」
 通常は、「あなたのせいでこうなった。あなたにこうなってほしかった」等のYOUメッセージを話します。
 これでは、相手を変えようと操作する事になり、思うようにいきません。
 そうではなく、自分を基軸にしたIメッセージで話す事です。
 例えば、遅刻した相手に「待っているから早く来てね」と自分の気持ちから伝える事で、相手は否定の気持ちは持ちません。

「聴く事、信じる事」
 話を聴くとき、自分のふるいで聴くと、つい話の途中で口をはさんだり、相手を否定してしまう事があります。
 これでは、部下は相手軸で考え、その場を収めるように話すしかありません。
 そうではなく、相手軸で話を聴き、部下のいう事をまずは信じる事です。
 部下は社内顧客です。部下の言葉に100%耳を傾け、承認し、その上で意見を伝える事が大事です。部下から意見が聴けない時は、「あなたはどうしたいの?」と聞いてみてください。

「エネルギー」
 会話からは、勇気や、やる気などの感情や、逆に意気消沈や憎しみを感じたりします。
 部下にとって身近な存在になりたいと思うなら、そのメッセージを言葉として表現しなければ、相手には伝わりません。
 その為にはIメッセージです。ただし、メッセージと行動が統合されている必要があります。部下は、あなたの事をよく見ています。

「ペーシング」
 コミュニケーションの入り口では、態度や表情などのペーシングと呼ばれる部分が重要です。
 言葉だけでは、相手の信頼を得る事はできません。
 挨拶、態度、表情が重要です。言語そのものが相手に伝わる要素は10%に満たないとのデータもあります。部化との距離をつめて信頼関係を得るには、自分から変わらないといけない、という気持ちを持ちましょう。

「部下のやる気をさげる上司」
 部下は自分の個を上司に受け入れて欲しいと考えています。
 ところが、他の一般論や似たものと同じにくくられると、遠くにいる感じがして信頼してもらえません。
 部下を否定せず承認し、質問を繰り返して、部下から答えを探しましょう。考え判断する力は一夜にしてできるものではなく、常に質問されて常に自分の中から答えを出す癖ができてから、やっと軌道にのります。

「達成目標のビジュアライズ」
 アメリカの心理学者マスローによれば、人間の欲望には優先順位があると
言われています。そして、一部の階層の欲求だけを重要視して、他の心の中の出来事を切り離す事は無理があると言われています。
 ところが、会社では仕事の事だけに集中、という事がよくあります。
 しかし、先に述べたようにそれはできません。
 「売上アップでライバルに勝ちたい」「ぜいたくがしたい」「きれいになりたい」など、直接仕事に関係ない事でも、目標にする事は良い事です。
 この時、より具体的にイメージする事が大事です。そして成し遂げた状態をしっかりと映像化します。この時の注意は、決してコーチが目標を設定しない事です。

「質問をクリエイトする」
 私たちの頭の中に、より多くの視覚情報があると、次の行動を起こしやすくなります。
 ところが、人は情報をひとかたまりにして脳に収納する為、いきなり多くの細かい情報はイメージできない時があります。
 相手のイメージを細かくし、共有するには、相手の言葉を鵜呑みにせず、言葉の本質を明らかにしていく必要があります。例えば、赤という言葉にオレンジやピンクが含まれる人もいますし、消防車の赤だけ、という人もいます。コーチは、当て推量する事なく、具体的な映像として見えない言葉は全て本質を明らかにする、という位の心構えでいて欲しいと思います。

「コーチングにおけるアドバイス」
 コーチングにおける指示命令に近い行為をアドバイスといいます。
 アドバイスとは、自分主体の行為ではありません。
 相手の為に行う行為です。
 相手はじっとだまって聴いているとストレスレベルがあがります。
 基本は、相手の話を聴きます。全てを聞き終えた後、求められたらアドバイスしましょう。例えば、「何かサポートできる事はありますか」などです。

「エネルギーロスを自覚する」
 肉体とは別に、精神エネルギーとして、エモーショナルエネルギーがあります。
 このエモーショナルエネルギーが枯れると、言い訳を探すようになり、チャレンジする前に降参している状態になります。これがエネルギーロスです。
 心のなかに、何か気になる事として残っている「未完了」があると、そこにエネルギーを使い、エネルギーロスに繋がります。
 また、怒る事で一時的なカンフル剤を得る「怒ること中毒」の人もいます。
 これら、未完了や怒ること中毒の人は、結果的にエモーショナルエネルギーを消耗します。そうならないように、まず自分に意識を向け、自覚するという姿勢でスタートする事が大事です。

「コーチングのストラクチャー(構造)」
 コーチングで大事な事は、相手が「行動」へとつなげていく事です。
 ふわふわして目的のはっきりしないコーチングでは、具体的な行動にはつながりません。
 コーチングの構図は、①目標②現状③原因(背景)④行動⑤アドバイス、フォローです。
 原則は、①目標-②現状=取り組みべき行動 です。これを念頭にコーチングを行い、具体的な行動に結び付ける事が重要です。
 また、フォローも大事です。これは過保護ではなく、必要なサポートです。

「相手を人生の主人公にする」
 コーチが「相手は主人公だ」という意識で質問や承認を行えば、相手はより自分自身を深く見つめ直し、有意義で充実した生活を送れます。
 コーチングの際、質問に対して、「これは自分にはどうにもできない」という回答がありますが、相手が自分の行動に責任を取っておらず、結果として悪い流れになっている事が多いです。
 自分が主人公となって、行動を起こして変化の波を広げるサポートをしていきましょう。
 部下は社内顧客です。部下の成長と共に自身も成長する事ができる、真に価値ある仕事が管理職です。

 
 

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