トヨタ C+pod発表に伴うEVの未来

2020年12月25日、トヨタから超小型EV「C+pod」の限定発売開始の発表がありました。
当面の発売対象は、これまで超小型EVの普及に向けて検討を進めてきた法人や自治体向けとなり、一般ユーザーへの発売は2022年目途のようです。

今後はEV主体になっていくのか、気になったので、トヨタの今回の発表や
直近の発表などから、今後のEVの推移を考察してみます。

2020年12月25日のニュースリリース

2020年12月25日のニュースリリースの要旨です。
コンセプト
新型車C+podは、環境に優しい2人乗りタイプのEVとして誕生。
・人の移動における、1人当たりの高いエネルギー効率を追求。
・日常生活における近距離移動
・定期的な訪問巡回といった法人利用
・都市・山間部など、各地域に即した安心・自由かつ環境に良い移動手段
協調
トヨタは、EVのさらなる普及を進める為、ラインアップを拡充するとともに、「協調」の姿勢でオープンに仲間を募り、新たなビジネスモデルの構築を目指しています。
まずは日本で、C+podや歩行領域EV、TOYOTA i-ROADを用いて開始。
現在、200以上もの法人や自治体とともに検討を進めています。
具体
今回のC+pod発売を機に、EVならではの新たなサービスを実証的に提供していきます。
最適な充電設備工事とCO2フリー電力などのEV向け電力プランについて、
1つの窓口でサポートする法人向けワンストップサービス「TOYOTA GREEN CHARGE」を中部電力ミライズ(株)と共同開発。同社ならびに関西電力(株)、東京電力エナジーパートナー(株)と提携して同サービスを展開します。
さらに、観光情報とのセットでTOYOTA SHAREを活用し、利用者の観光・周遊促進を図る「EVカーシェア」など、順次進めていく予定です。

車両 諸元に関する考察

既に国土交通省から発表の超小型EVの型式指定車の寸法規格に収まっています。
エアコン、ヒーター等の快適設備、人や車両を検知する安全サポート機能、衝突安全ボディなど、機能は一般の最新車並みに充実しています。
その為か、類似EVに比べて重量も重たくなっています。
※トヨタ車体「コムス」より+270kg、
 日産「ニューモビリティ」より+190kg。

超小型EVといえば、華奢で軽量なボディ、というイメージでしたが、
数値上では、そんな印象はないようです。

EVの一番のコストを占めるとされるバッテリーは9.06kwh。
車両が小さく最高速度も低いからか、電費は「16km/kwh」(150km/9kwh)と、例えば日産リーフ(7km/kwh)と比較して高くなっています。
バッテリー重量は約60~70kgと推測します。
※リーフは40kwhモデルで約300kg。(9.06/40 × 300kg)

トヨタのビジネスモデル

ニュースリリース内のメッセージで、ビジネスモデルとして、
3つのシェアリングをあげています。
①電池シェアリング
②EVシェアリング
③情報シェアリング

①電池シェアリング
 既に、中国のCATL、BYD、パナソニック、GS YUASAなど、主要企業と
 提携しており、高性能なバッテリーを開発し、EVの普及および電池の
 リユースを含めたビジネスに向けて動いていると思われます。

②EVシェアリング
 2019年から実施している、トヨタ販売網を活用したカーシェアを、
 ブラッシュアップしていくものと思われます。
 ※カーシェアといえば、タイムズの印象でしたが、トヨタのカーシェア
  も評判が良いようです。
  参考資料:カーシェアレビュー

③情報シェアリング
 自動車だけでなく、人や物、あらゆるものとつながる事で、
 利便性の向上、サポートの充実を図るようです。
 具体的なイメージは湧きませんが、ウーブンシティ
 スマートシティ開発との繋がりもあるのでしょうか。 

EV開発に向けたトヨタの取り組みについて

2020年10月、政府から「2050年カーボンニュートラル」宣言がありました。
これまでも、京都議定書やパリ協定にもとづいて、環境問題への取り組みがなされていたと思いますが、改めて大きな指針として、カーボンニュートラル宣言がされました。

これを受けて、2020年12月17日、自工会(自動車工業会)豊田章男会長も
記者会見で、「自工会として全力でチャレンジする」と発表しています。

しかし、発表の中で、電動化=すぐにEV化ではない、事を強調されていました。
 point
・全てをEVにすると、現状の発電設備では足りない。
 火力発電所で20基、原子力発電所なら10基程度必要になる。
・充電に関する設備インフラも約14~37兆円必要になる。
・EVは部品点数も少なく、人や生産体制も変わる。

まとめとして、これまで自動車業界は二酸化炭素削減に向けて、努力を重ね、着実に成果を出している。電動化=EVと捉え、「日本は遅れている」、等の誤った解釈を聞くが、そうではない。
HVも含めた電動化比率は、日本は世界2位。
今後、カーボンニュートラルの達成に向けて、自工会も全力で取り組むが、エネルギー革命等、他の革命も必要。
※自工会 豊田会長の発言要旨

※その後、2020年12月25日に、経済産業省から成長戦略が発表

海外のEV

海外の販売、政策等の状況も調べました。
販売状況
2018年調査で、世界でEVは120万台。
主な内訳は、中国で70万台、米国で22.8万台です。
補助金
ただし、それぞれ購入に関して国や州から補助金が80~100万円程度出ています。
インフラも同様で、多くの補助金や国のお金で設置しているようです。
つまり、現時点では、EV単体では、ガソリン車に比べて競争力が低く
売れない為、何らかのサポートが必要な状態と言えます。
将来
それでも、GMは2025年を目途にEV比率を40%にする。
テスラは2023年に約260万円のEVを発売する、と言われており、開発に相当な力を入れて、イノベーションを狙うと考えられます。
中国も2035年にEV・FCVを50%、HV・PHVを50%にすると言われており、
こちらも国策として相当な力を入れて開発するだろうと考えられます。
 point
開発はEVだけでなく、日本が得意なHVも対象です。現在、「トヨタ、日産、ホンダ」で世界の8割を占めていますが、今後は比率も変わりそうです。

これからのトヨタのEV開発

C+podは、まずは普及の検討を進めてきた法人ユーザーや自治体を中心に
販売としています。
推測
コスト面、インフラ面等を考慮した結果、現時点では超小型EVが広がり
難い為、行政、他業界を巻き込み、法改正も視野に入れた大きな革命が
必要、との判断だと思われます。
やはり、車のEV化は相当な難題と考えます。

とはいえ、ここまで環境問題が表面化し、カーボンニュートラル、SDGs等の言葉が飛び交い、今後、EV開発の速度は世界的にも加速すると思われます。
課題と今後
1.バッテリー
EVで一番の課題と言われるバッテリーの開発は、時間がかかるかも知れませんが、例えば中国では、充電するのではなく、都度交換するタイプでの開発も進んでいるようです。
2.エネルギー革命
火力発電所を使用する限り、WtW(製造から走行までのCO2排出量)ではガソリンやHVに比べてEVは低いですが、仮に自然再生エネルギーが広がれば、EV車が優位になります。
※Well(製造)時の二酸化炭素排出量が少なくなるため
3.イノベーター
あらたなイノベーションを起こすには、新規参入が必要と言われますが、
自動車開発には、多くの資金が必要な為、参入障壁は高いと考えられます。
ただし、EVは、ガソリン車のような機械のすり合わせが少なく、技術面での参入障壁は低いとされています。テスラのように、多くの企業が参入すれば、技術的な革命は起こせる気がします。

まとめ

EVを普及させるには、相当な課題があると思います。
一番の課題は、現状に対する問題点を認識し難い事と考えます。
ガソリン車も低燃費になり、HV車も安価になってきた。何より、ガソリン
主体の社会を変えれるのか。ガソリンも結局無くならないのではないか。

しかし、もっと広い目で見たとき、このままでは地球が成り立たない、と
いう事で、環境保護、カーボンニュートラルなどの宣言がされました。
この大きな目線での動きは、世界的に加速するでしょう。

ぜひ、EV化の実現に向けて進んで欲しいと思います。

参考資料

トヨタHP
トヨタ 車両電動化への取り組み
東洋経済より
WebCGより
自工会 豊田会長(2020年12月17日)
中国 EV普及へ「電池交換型」
トヨタの超小型EV 電池を含めたビジネスの第1歩に
機械式駐車場 EV自動充電
日産リーフを購入。正直な感想
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