一般化の難しさとゼロベース思考

どこまでいっても、人は自分の見えているものしか見えぬ、ということなのだなぁと思います。

一般的な「タイの人」とは?

日本語で発信されているニュースと、「私の周りのタイ」には違和感を感じる事が割と多かったりします。
ニュース記者さんたちは一般化されようとしていますが、結局のところその発信者の周りの出来事を類推していることが非常に多いのです。
信頼性が高いのは統計データとかですが、欲しい情報は得られない場合が多いです。

新たに海外で働き始めた方々は、人やGoogle、Youtube、GPTに聞いたり、色々と調べると思います。

そして、ネット上や前任者との引き継ぎ、同僚との会話などから「タイでは」「タイ人とは」という言葉をよく聞く事になるでしょう。

意外と、見えている世界は狭いもの

在住やその地、業界を知る日本人にありがちな解説として「タイでは●●なんですよ」と旅行者や出張者に言ってしまう事があります。(私もそうです)
定期的にタイツイッタラー界隈で炎上する、タイでは1か月約5万円で暮らせる~とかもそうです。

タイではこうだ、というのはあくまでその人の経験でしかなく、しかも殆どの人は経験年数、言語的な距離から圧倒的に少ない中で類推をしたり、主語を大きくして物事を伝えています。

「普通」ってなに

そして、タイ社会の難しい点として、「普通」がかなり捉えづらいことがあります。「普通さぁ、一般的に」が口癖の日本人からするとかなり捉えづらいのではないかと思います。
(日本でも格差が問題になっていますので、昔より「普通」は見つけられないでしょうね。)

なぜ、普通が見つけづらいのでしょう?

よく言われることの一つとして、貧富の差がとても大きい事(以下記事)や、教育による差もありそうですが、
そもそも日本人が出会えるタイ・タイ人が、かなり偏っていることがあると思います。

例えば駐在員だと日常生活でタイ人に触れ合う機会は
・ドライバー
・会社の同僚・部下
・小売店、ゴルフ場の店員
・コンドミニアムの警備員

とかそんなものじゃないでしょうか?

実は、普段から接していて、その人となりまで知っているタイ人は
30人にも満たないのでは?と思います。

ヒトのソートした情報はどこまでいっても井の中の蛙

n=30以下、または特定の集団と接する中で自分の経験・体験から得られたもの、これってかなり偏りが出やすい訳です。

私の認知も偏っています。私が知ってる主なタイ人はMBA時代の友人、家族、同僚、妻の友人などですから、地方の人たちとかその他の人は全然知りません。

※夜な夜な出張者への「タイあるある」が披露されていたであろうレストランの例

でかい主語の話をする時は

出張者や旅行者対応として、ネタとして言わなきゃいけない時もあるとは思うんですが、
・自分の心の中では「私の知る限りですが」という思いを持っておくこと、
・バイアス(色眼鏡、自分の経験からこれはきっとこうだと決めつけること)をかけず、ゼロベースで物事を見ること、
これらが大事なんじゃないかと思います。

言い続けていくと自分でも「タイはこういうものだ」と思ってしまうのが怖いところです。

ゼロベースで捉えられない人の例

ゼロベースで物事を捉えられないと、自分の都合の良い「タイ」「タイ人」しか見られなくなってしまいます。

以前にタイ在住10年以上の方とお話しする機会がありました。
その際に、「そういえば、冠水はすぐする割に電線地中化も進んでますし、タイのインフラの進み方って面白いですよね~」という話をしていたところ
「タイで電線地中化?無理無理!!君はまだ浅いから知らないだろうけど、そんなのこの国では無理だよ」という驚愕のコメントを頂きました。

バンコクでは電線地中化はガンガン進められている公共事業なのですが、どうやらその方は(近い業界にいても)ご存じなかったようで、最後まで受け入れてもらえませんでした。

極端な例ですが、「自分の中での●●」が固まってしまい、他の情報を受け入れづらくなってしまうのかもしれません。

※この記事は地中化エリアの進捗や、工事エリアを説明する2019年のものですが、それ以前から結構な大通りでもやってました。

バイアスがかかったまま物事を捉える癖がついてしまうと、
十分な情報が得られないまま行動や意思決定をしてしまい、思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれません。

まとめ

ゼロベースで物事を捉えるために私は、
「自分もその人も、限られた経験の中で話をしている」ことを思い出すよう心がけています。
予想やこうだったらいいなぁという期待をするのはいいですが、想定と違う、都合の悪い情報が出てきた時にちゃんと受け入れるのが大事です。

ちなみに、タイ人でも「普通」というのはすごく難しいものの見方のようです。
筆者はつきあいたての頃、妻(タイ人)に「こういう時、普通のタイ人はどう考えるの?」と何度も聞いて「いや、普通なんて知らんし。」とよく怒られたものです。

ではまた。

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