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#参 すちゃらか撮り鉄旅日記/愛媛-高知-児島-高松日帰り突貫ツアー

JR四国は数年前から繁忙期には「若者限定四国フリーきっぷ」というものを販売している。
年齢の条件さえ満たしていれば、9980円をJR四国に貢ぐと3日間は特急の自由席に無料で乗れるいう代物で、僕はこれを使って正月に旅行をした。
これが何を意味するか。
_「かげろうの幼稚な日記がまだ2日分残っている」
これしかあるまい。需要がないのに供給はされる、いわゆる供給過多の状態となっている当日記だが、最終日まで書ききらないというのも後味が悪かろう。今回は2日目の日記である。

1月3日。2日連続でしおかぜ4号に乗車した。つまりは2日連続始発芸。趣味が絡めば苦手も克服できるのだから、無趣味なクラスメイト達が「趣味があっていいな」と口にするのも頷ける。
だが、前日とは違う点がある。

「6号車の海側の1番前の席に座った」ことだ。
前日座った席は終始静寂に包まれていたが、この席は音鉄垂涎の席である。何故ならば、ほとんどパンタの直下にあるため常にVVVFの唸り声を聴けるからだ。僕に音鉄の嗜みは無いが、それでも楽しいものである。
そういえば、前日にMAXコーヒーを帰りがてらに布教したあたりから僕には「MAXコーヒーの人」というイメージがあるらしい。不本意ながら、キャラ付け出来たのなら結構だ。

2日目は自転車は借りず、多度津で下車後に再び多度津カーブへ。

多度津駅の俯瞰。晴れ予報は一体なんだったのか、とTwitterのタイムラインが殺伐とした雰囲気に満たされていたのを思い出す。だが、今回はこの曇りが僕に幸運をもたらした。

この日の南風4号。ピント以外は
・2000系のみの6連。マニヤには「青6」と呼ばれている。なお5号車は隠れてしまった。
・四灯。多分曇りのおかげ。
・2121が先頭。この時2121は全検明けてから2週間も経っていなかった。
...などなど、激Vの条件揃い踏みであった。これ以来、アウトカーブの置きピンはまあまあ練習を重ねている。是非とも再戦したい編成である。

琴平発の7200系4連で丸亀駅へ。7200系の4連は初乗車だったが、ボックス席に地元の方と相乗りと洒落込んだ。
別れを惜しみつつ、丸亀駅の対面のホームへ歩みを進める。

曇りゆえに四灯カットをいただけたが、やはり撮り鉄は晴れてる時に限る。
あくまでメインの目的は撮り鉄だが、天気予報が違いすぎてたのでこれは不可抗力と言えよう。
ということで、今日は初めて最新式振り子気動車・2700系に乗るとともに、初めて土讃線の琴平以南への乗車を試みる。

大歩危付近の車窓。

あっという間の約2時間だった。車内は電車と錯覚しかねないほど静かだったが、加速度はそれに似合わない恐るべき代物であった。また複雑に入り組む大歩危の渓谷や、佃駅手前の大カーブの景色は鮮烈に脳裏に焼き付いた。
高知駅到着直前、正月から公園でイチャつく盛んなカップルさえ目に入らなければ気持ちよく旅を終えられたに違いない。

口直しというわけではないが、高知駅前を散策してみた。香川とは違って太陽がこれでもかと輝いており、気温も冬のそれとは思えなかった。香川に高知の爪の垢を煎じて飲ませたい気分になった。

手前から中岡慎太郎、坂本龍馬、武市半平太の銅像が順に並んでいる。彼らの視線は太平洋の向こうにあるアジアの島国に向いてるようにも見える。

高知駅の開札を出るとすぐにとさでん交通の電停が現れる。機能的にも見た目的にも美しい。いちA列車で行こうユーザーとしては、何とも言い難いグッとくるものを感じた。

駅前散策もほどほどに、次なる撮影地へ向かう。高知はJR線が生活の足らしく、各停が30分に1本あるし駅間距離も短いので便利だ。
その前に、売店で昼食のおにぎり(100円)と三時のおやつのかつおたたき弁当(1300円)を買った。どう考えても立場が逆だが、駅弁は帰りまで残しておく。

薊野(あぞうの)エキセンにて。ご覧の通り、6連の収まりと首カックンがかっこいいのだがAFがお暴れあそばせだった。〇ね(直球)。

布師田(ぬのしだ)-土佐一宮(とさいっく)にて。立ち位置を定められず、柱が被ってしまった。
適当に2700の回送などを捕獲した後、徒歩で土佐一宮駅へ。

土佐くろしお鉄道の車両で高知駅へ向かう。
この車両の形式名は忘れたのだが、なんと転換クロスシートが備えられていた。四国内では、同シートは香川でしか見られないと思ってたのでびっくりだ。

まだ帰りの南風の入線まではだいぶ余裕があるが、正月なので上り側先頭は自由席であった。
つまりフリーきっぷでもかぶりつき席を取れる、と。
学生のうちは指定席は使うまい。ここでかぶりつき席を取らねばのちのち後悔するやもしれぬ。

高知駅に到着した時点で、ホームに並ぶ客は僕だけだった。勝利を確信した。心中でロッキーが「エイドリアーン!!!」と雄叫びを上げる。

南風入線。ここまで来たら車内清掃が終わるのを待つのみだ。この時には結構な列になっており、かぶりつき席のことは抜きにしても早く並んでよかった、と胸を撫で下ろした。
_僕はまだ油断していた。

やがて車内清掃が完了し、おもむろにプラグドアが開く。悠々とした足取りで右側最前列へ向かう。無事にかぶりつき席争奪戦(参加者1人)には勝利した。したのだが...。

...なんたる恥さらしであろうか。あれだけの列を成していたら、デッキに立ち客が溢れてくることぐらい容易に想像できるのが普通だ。
心中でアゲインストの風が吹き荒れ、ノートルダム大聖堂が全焼し、セカンドインパクトが巻き起こった。

とはいえ、流石は2000系。その風格は他の車両と一線を画しており、行きに乗った2700系とは違うようなディーゼルエンジンの雄叫びが「世界初の振り子式気動車だ」と強く訴えているようだった。定員オーバー、定刻通りに高知駅を出発する。

予め買っておいたかつおたたき弁当。3時間も外を連れ回したため若干偏っていたが、ここまで鮮度を保ち続けた高知のかつおには頭が上がらない。
美味しそうに見える写真を撮ってなくて申し訳ないが、振り子と渓谷美を横目に食べるとめちゃくちゃ美味かった。

やがて阿波池田駅に到着すると、ここで立ち客はかなり減った。恐らく剣山に乗り換えるのだろう。
また、ここから琴平駅に到着するまではフォロワーさん一行が同乗していた。生憎僕は相席だったので満足に会話は出来なかったが、それでも別れる時には大きく手を振った。

琴平からは再び立ち客が増え始めた。金刀比羅宮の参拝帰りだろうか。僕の「せめて瀬戸大橋のかぶりつきだけは」という淡い期待もあえなく潰えた。

そんな思いをよそに、南風は児島に到着。2時間強で四国山地と瀬戸内海を縦断できるスーパーアトラクションエクスプレスともここでお別れだ。

続いてマリンライナーで高松へ東進。奇跡的に相席とはならずにくつろげた。それにしても、速い...。さすがは関西の主力車両。

高松から乗車する147M 快速サンポートはずっと乗ってみたかったネタ電だ。なにせMT比が1:3というもはや客車列車も同然な編成なので、下り側先頭車はほぼ無音であった。一本、上り側先頭車は独特のVVVFを轟かせており、僕はこっちの方が好みだ。

多度津で下車し、帰りのしおかぜを待つ。その間南風が来たので、申し訳程度に147Mも絡めて撮影してみた。

多度津駅のウィリーウィンキーの骨なしチキンを頬張りつつ帰路へつく。頬張ると言えるほどの量ではなかったのだが。これにて1日で四国4県と岡山を1日で巡る日帰り突貫ツアーは終了だ。我ながら、長旅ご苦労である。

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