世界で最も女性の社会進出が進んでいる国では男が”リサイクル”されている
「世界で最も女性の社会進出が進んでいる国」とは、北欧にあるノルウェーのことである。
まず、ノルウェーという国とは、どいういう国だろうか。
ノルウェーはスウェーデン、フィンランド、ロシアと国境を接する国で、人口は510万人(東京23区は1,327万人)、面積は38万平方Km(日本は37.7万平方Km)。
2014年の1人あたりGDPはUS$96,930.-で、同じく北欧に位置するルクセンブルクに次ぐ世界第2位だ(日本はUS$36,221.-で世界27位)。
特筆すべきは、世界で最も男女平等が進んでいると言われる国の1つで、兵役以外は社会において男女の差別がないとさえ言われている。
男女が経済、教育、保健、政治の各分野毎にギャップがあるかどうかを測定する指数であるGGI(Gender Gap Index)という指標は、同様に北欧のアイスランドに次いで、世界第2位となっている(日本は残念ながら102位だ)。
ノルウェーの税金は日本と比較すると高く、所得税は28~48%(日本は5~45%)、世界では一般的にVAT(Value Add Tax)と呼ばれる付加価値税(日本の消費税)は25%(日本はご存知の通り8%で、2017年4月に10%になる)。
また、食品に対するVAT(消費税)は15%となっている。
次に、こんなノルウェーの恋愛と出産事情をみてみよう。これはノルウェーの恋愛・出産事情にまとめた記事の和訳だ。
この記事は「子孫を残す」という人間の本能的な欲求を考えると、男にとってとても辛い記事だった。
少し長い記事かもしれないが女性の社会進出が最も進んだ国の1つにおいて、現実に何が起きているかを知っていて損はないだろう。
以下がその記事をオレが和訳したものだ。
~「ノルウェー人の男達の4分の1は父親になれない」~
2014年5月9日
ノルウェーの女性達は仕事も子作りも生産的だ。しかし、ノルウェーは多くの男達が決して父親になれない国でもある。
ノルウェーの女性達のほとんどは子供を作る。ノルウェーの統計による妊娠率は、ノルウェーの男達が父親になることがとても少ないことを示している。
45歳時点で子供がいない男の割合は、1985年の14%から2012年には23%に上昇している。
一方で、45歳時点で子供がいない女性の割合は1985年の10%から2012年に13%と、あまり変化がない。
◆男も子供が欲しい
なぜ多くのノルウェーの男達は子供がいないのだろうか?
国の発展はパラドックス(逆説的)である。
ノルウェーは世界の中でも有数の高い出生率を誇る国だ(*訳者補足:2012年時点で1.85人。日本は2012年時点で1.41人)。他のほとんどの国々より、高い出生率を有している。
ノルウェーは男女同権に関して、先駆け的な国としても知られている。
"ノルウェーの男と女の両方が、子供を持つことは人生の中において重要なことだと答えている。 少数の男女はあえて子供を作らないことを決意するが、子供を持ちたいという望みが変わることはない"と、An-Margritt Jensen氏は言う。
ノルウェーの科学技術大学での社会学の教授を務めるJensen氏は、ノルウェー社会の何かが変わったと結論付けた。
彼女はこのことについて、特に男性達からのインタビューを通じて何年もかけてリサーチを行った。
◆男達は仕事が辛くなっている
"ノルウェーの男達の切望は、ロケットのように急上昇していた" 、Jensen氏はそう説明する。
"一方で父親は、子供や家族とより多くの時間を過ごしたいと強く思っている。"
"だがもう一方では、発展を続ける仕事生活は、多くの男達にプロジェクトに没頭することを強いる。その結果、人々は全ての時間に仕事にアクセスできるようになる。"
"これらの要求は多くの男達にとって、結合させるのが困難だ。"Jensen氏は言う。
◆計画、計画、計画
以前は、子供は単純に生まれたものだった。
しかし現在それらは計画されている。妊娠すること、子供を作ることはいつがベストなのかの決定は父親と母親によって下される。
これは特に、高学歴の人達の場合であり計画することは特別なケースではなく、とても標準的なことだ。そして、ノルウェーの教育水準は急激に上昇している。
"カップルはいつも、子作りを遅らせる新しい理由を探している。男達は特に。子作りを始める前に、とても多くのやらなければいけないこと、経験しなければならないことがあるからだ。そしていつの日か、そのカップルは子供を作ることなく、別れてしまう。"
"多くの調査が、女性の方が男性よりも、人生においていつか子供を持つことに熱心であることを示している。"Jensen氏は言う。
女性が生物学的に妊娠できる年齢の間、彼女達は子供を作りたいと強く思う。
しかしながら、多くの男達は子供を作ることに疑問を持ち、それを先延ばしして、ついには、子供を持つことをあきらめてしまう。
その結果、女性が子供を作るとき、結局、既に子供がいる男達とそうなることが頻繁に見受けられる。
◆労働者階級の男達
Jensen氏は"中流の上"クラスの男達と労働者階級クラスの男達の両方にインタビューを行った。
ノルウェーでは中流クラスの層が拡大している一方で、労働者階級の層は縮小している。
特に中流、及び、中流の上クラスの男達が感じるキャリアのプレッシャーについての説明は、現代のノルウェーにおける国全体の流れと関連している。
一方で、労働者階級の男達は異なった生活をしている。
一般化することのリスクを承知の上で言えば、彼らの多くサッカーのような観客と一体になるスポーツのファンであることが多く、そして、余暇の時間を管理できるように、シングルのままでいることを好むことが多い。
また、とても単純に言えば彼らは女性から魅力的に映らない。
"労働者階級の男達が子供を持つとき、多くの場合は偶然、たまたまだ。"、Jensen氏はそう説明する。
彼女は、この労働者階級のグループが、とても喜びながら父親になることに専念する光景をよく見かけると強調する。
◆リサイクルされる男達
しかしながら、女性達は常に社会の子作りの柱になる。
言い換えれば、ノルウェーという国は、出生率が高いにも拘わらず、多くの男達が決して父親になれない国なのである。
実際に何が頻繁に起きているかと言うと、既に父親になっている男達が”リサイクル”されているのだーー
ケーゴ
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