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インド人が会社にやってきた

これは日本の中小企業(製造業)での話である。

その会社は自動車業界を支える30人規模の中小企業である。

現在の経営者は3代目の同族企業。

インドの同業者との提携を機に、インド人夫婦が派遣されてきた。

ふたりとも理工系大学を卒業したばかりの20代の若者。

来日したときにはすでの3D-CAD(コンピュータにより3次元設計ツール)を

使えるスキルがあった。(それも世界最高峰のツールを使いこなせる)

社内で日本人が教育しながら、設計業務に従事しはじめた。

まずはインド人男性が学び、インド人女性に教えていく日々が続く。

1年が経過したときに、その会社はどうなっていたか。

従来は設計業務にベテラン3名が従事していたが、現在はインド新人2名が

主力になっている。日本人ベテランより生産性が高く、給与は低い。

その経営者との会話から垣間見えてきたことは以下の通り。

従来の日本人設計者の生産性は、比較対象がそもそもなかった。

外国人設計者という比較対象があらわれても、2倍以上の生産性の違いを

短縮していこうという気概がない。(あくまで従来通りのマイペース)

日本人は間違いがないように慎重に設計するから、ある程度時間はかかる

という。インド人は自分の業務が会社の利益に貢献しているかを常に意識

している。多少間違いを含んでも、早く業務をこなすことを優先する。

修正プロセスを加味しても、間違いの少ない日本人より格段に速い。

高度な3次元設計ツールを使いこなすレベルが高いから、高額なそのツール

を与えても利益が出るが、生産性の低い日本人では利益が出ない。

ちなみにその高度なツールの日本での普及度は諸外国と比べて低いようだ。

日本人の生産性向上が叫ばれて久しいが、国も企業も解決策は出てこない。

国籍の問題ではなく、個人的資質の問題なのか。

家庭教育の問題なのか、学校教育の問題なのか、社会教育の問題なのか。

私には分析できないが、貴重なヒントがこの現場にはある。


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