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マザーグースの忘れられた謎々⑩

今回は『トゥイードルダムとトゥイードルディー』についての私説です。

(原詩)
Tweedledum and Tweedledee
 Agreed to have a battle,
For Tweedledum said Tweedledee
 Had spoiled his nice new rattle.
Just then flew by a monstrous crow,
 As big as a tar‐barrel,
Which frightened both the heroes so,
 They quite forgot their quarrel.

(意訳)
トゥイードルダムとトゥイードルディー、喧嘩をすると合意した
「ディーが僕の素敵な新品のガラガラを取った」とダムが言ったからだ
ちょうどその時化け物のようなカラスが飛んで来た
(でかさはタールの樽くらいだ)
英雄たちは大いに恐怖した
喧嘩のことはすっかり忘れた

(考察)
TweedledumとTweedledeeは「名前は違っていてもほとんど同じもの」と説明されることが多いのですが、この詩の中の単語をよく似た単語に置き換えると隠れたお話が見えてきます。

・spoiled(壊した、奪った)とspotted(汚した)
・RATTLE(ガラガラ)とBATTLE(戦い)
・crow(カラス)とclaw(爪)
・frighten(怖がらせる)とrewrite(書き直す)
・barrelには「(万年筆の)インク室」という意味もある

RATTLEのRの文字の底の部分を誰かがインクで汚してBATTLEにしてしまったのです。それで喧嘩が始まった。
その汚れを爪で引っ掻いて消したためBATTLEはRATTLEに戻り、2人も喧嘩のことを忘れてしまったというわけ。

(答は?)
詩文に謎々の答が折り込まれているかどうかを検討します。

Tweedledum and Tweedledee
 Agreed to have a battle,
For Tweedledum said Tweedledee
 Had spoiled his nice new rattle.
Just then flew by a monstrous crow,
 As big as a tar‐barrel,
Which frightened both the heroes so,
 They quite forgot their quarrel.

上記より、詩文にはTwin brothers
またはTwin baby brothersが答として折り込まれていると考えられます。
(ガラガラをめぐって激しく争う双子の男の赤ちゃん、くらいか)

(異型推定)
この詩の形式は英雄詩体2行連句(heroic couplet)のようですが、元々は3行目のForが無くて1,2行目と3,4行目が逆だった、という可能性もありそうです。

(参考)
Tweedledum said Tweedledee
 Had spoiled his nice new rattle.

Tweedledum and Tweedledee
 Agreed to have a battle,

Just then flew by a monstrous crow,
 As big as a tar‐barrel,

Which frightened both the heroes so,
 They quite forgot their quarrel.

(これだとtwinとbabyがきれいに並ぶ)

(次回に続く)

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