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『すずめの戸締まり』感想文

昨日観てきたので感想文を書こうと思う。

最初に映画冒頭についての文句だけ言うけど、CMがクッッッッッッッソ長くてびっくりしちゃった。
20分あった。正気か?上映時間2時間20分じゃなくて2時間じゃん!
質屋の広告がちょっと新しくなってて面白かった。あのハッカーは何???

この映画、個人的には『天気の子』や『君の名は。』よりも好きかもしれない。『天気の子』は苦手寄りだったから比較に出しちゃいけない気もする。

映像がとても綺麗だった。
今回廃墟がいっぱい出てきてたけど、その人工物が緑に覆われていく画のノスタルジックさが好き。今回先に観てた彼女が「ジブリみたいだった」と言ってて、その感じわかる~~~ってなった。ミミズも祟り神みたいだったね。後戸を閉じた後の雨みたいな光の粒もジブリ感を加速させてた。そう思うのはハウルの精霊のイメージかな。
作画でいうと千香(愛媛の子)と夜におしゃべりをするシーン。異様にぬるぬる動いてた。布団を並べておしゃべりするっていうだけのシーンだったけど、もぞもぞ加減とか寝がえりなんかが細かく描かれてたのでとても印象に残っている。

個人的に一番好きなシーンは、ラストですずめが「おかえりなさい」って草太を迎えるところだった。
予告編でも印象的に使われていた「いってらっしゃい」「いってきます」っていう言葉なんだけど、これはもちろん作中にも出てきてた。ただ、出てきてた場面が問題。
作中ですずめが当時そこで生活していた人々の声を聴く、っていう描写がある。「いってらっしゃい」っていう言葉が多く出てきたのは、すずめの実家である宮城の後戸での出来事だった。この場面では「いってらっしゃい」「いってきます」っていう声はいっぱいあったんだけど、「おかえりなさい」「ただいま」に相当する声が一切聞こえなかったように思う。すずめは被災した3.11でお母さんを亡くしている。同じように、家を出たきりそのままもう会えなかった家族がいっぱいいたんだろうなと思った。
そういう表現があった中で、最後すずめが草太と再会し「おかえりなさい」という言葉をかけることができたってことが、この映画のラストとしてとても綺麗な形だと思ってちょっと泣いてしまった。

エンドロールでの再会行脚もよかったね。

キャラクターも良かったな。等身大って感じがした。
すずめがお母さんと同じ看護師を目指してることが、すずめにとって一種呪いのようなことになってないか最初心配だったんだけど、あのおばさんがいるならきっと大丈夫だと思う。お母さんの形見の椅子も「ちゃんと大事にしてたのはいつまでだっけ」って言ってたから、きっと自分の人生を歩めてる。
すずめがおばさんに躊躇なく迷惑をかけられるのも、自分を押し殺すことなく接していられるのも、おばさんがとても良い家族だったからなんだろうな。おばさんもあんな好感どストレート男が身近にいて気づかないはずないんだから。そのくらいすずめを大事にしてくれていたんだろうな。駐車場での本心も、みんな一度は思うことだろうしね。
それはそれとしてすずめはクソガキではあった。子供特有の自己中心さというかなんというか。
正直気持ちはわかる。もし自分がああなったらうまいこと言えずに青い顔して黙り込むだろうしな。ダイジンに大嫌いとも言ってたけどあの時点でのダイジンって完全に悪役だったもんなぁ……
クソガキではあったけどクソガキがクソガキのままでいられるんだからとても良いことだと思う。

こんなところだろうか。芹沢さんはあの髑髏の指輪はやめといた方がいいと思う。

そうだ、ラストのシーンでもう一つ。
この映画では鍵を開け閉めする場面が強調して描かれてたけど、その最後が自転車の鍵を開けることだったのも個人的に好きだった。映画冒頭の再現っていうのもそうなんだけど、常世だとか草太の部屋とかの非日常的空間への開錠じゃなくて日常へ戻っていくための前向きなシーンになっている。気がする。本当に個人の印象で全く根拠もなーんにもないけどわたしはそうおもいました。

おしまい

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