VRCに私が見た夢(そしてその続き)

書きなぐるような内容で申し訳ない。きっと乱文になっていると思う。それでも、今日ここで感じた事をどうか書き記させてほしい。

Vketというイベントには、私は思い入れがある。私がVRChatを始めたきっかけであり、当時は「VR機器が無くてもVRChatは出来る!」の文言に吸い寄せられるように、Surface Pro3のデスクトップでガクガクしながらVket4の会場に足を運んだのであった。

それは、まさに近未来だった。

立体的に作られた会場、都内にある様々な建物と、そこにあるはずのないものが、次々と現れる。イベントなどには全く縁のない人生を送ってきて、それでもそういうものに憧れがあって。それどころか、無意味に屋根の上に登ったり、商品の宣伝文句を一文ずつ読んだりして。

最後にクレジットを読んで、動く城のフィオさんとか、水菜さんとか、モスコミュールさんとか、時代を切り拓こうとした人がその会場を作り上げたと知って、妙に嬉しくなった。私が見ていた夢の一つが、そこに形作られていた。

そうして入ったVRChatの世界では、また別の体験があった。

文字通り自由で、独特な世界。人間だけじゃなく、猫や狐、バターまで。そんな思い思いのアバターを通して、沢山色々な人と話して。そんな楽しい場所がそこにあった。時期を置かずして、Questを手に入れてからは、文字通りぶっ倒れるほど遊び倒して、そしてその空間を体験した。

それでも、あの時の夢の続きは、そこにはなかった。Questの表現力の限界で、あの多大なパラリアルトーキョーは、PC Onlyのワールドであった。

とはいえ、そのほんの少しの寂しさなんて気にならないほど、VRCは刺激的であった。定期開催のイベントに参加したり、毎日Joinするフレンドが出来たりして、少しずつ、自分もこのコミュニティを形成する一人になって行ったのを実感していた。

このVRChatというものは、未だにユーザーが主体となって盛り上げているコンテンツであると思う。そういう意味では、身の回りにクリエイターは沢山いたし、いつか自分もそうなりたいと思っていた。ところが、少しずつ忙しくなっていく日常に合わせるように、私は「今自分のいる場所」に慣れつつあった。ログインして最初に開くのはいつもSocialで、Joinした先は真っ黄色で、それがルーティンとなっていた。

KnownUserになったころには、初心者案内をやろう!と息込んで、今でもとても良く遊んでいるユーザーを案内したりした。それですらその数回で満足してしまったのか、いつの間にかTutorial Worldにすら寄り付かなくなってしまった。自分の中でエッジが丸くなって、苔がつくほどに転がらなくなる感覚。複雑化していく人間関係とその心情を推し量って、何故か自分がVRCに参加したくなくなる日すらあった。

そんな中、我が親友……名前を挙げるのは恥ずかしいので、「あの子」と呼ぼうか。あの子は、突き進んでいた。幾ばくかの葛藤があれど、自分が楽しみたい。それをモットーに、持ち前のキャラと明るさで、あの子はどんどんと前に進んでいた。

そしてとうとう、ずっと口にしていた目標のうちの一つも、この前達成したらしい。

あの子にとっては、それはただの遊びの一環だったのかもしれない。それでも、私にとって、それは大きなハンマーを叩きつけるように、強い衝撃を与えてくれた。思えば、私がイベントに始めて参加した時も、彼に手を引かれていた。

気付けば、周りには挑戦者が溢れていた。

Quest界隈を盛り上げようと、Vketに相当する展示会を企画する人、アイドルグループを作って、ライブを行う人、自分の得意なことを生かしてそれを形にしたり、自分が与えられるものをイベントにしたりする人。初心者に目を向け続ける人や、必要な人の為に、ワールドを更新し続ける人。一からUnityやBlenderを勉強して自分の欲しいものを作る人。私が案内をしたユーザーは、今や自室を作ったり、集会を主催して目を見張るような人数を集めたりしている。他にも、沢山の人が。

誰もが、進んでいた。それに対して嫉妬を憶えるでもなく、ただぼんやりと眺めている自分の姿が、浮き彫りになったような気がした。

そんな中、Vket5に関する新情報として「Quest対応ワールド」が計画されているということが公開された。そのメンバーの中には、見知った顔が沢山いた。私よりもきっとずっと若い人も参加していた。

それを見た時、自分の中でぐぐっと熱いものがこみあげてくるような感覚があった。そうだ、彼らは、きっと夢をまだ見ている。近未来を、造っている。仕事としてやっていると言ってしまえばそれまでだが、私の目にはそういう風に映っていた。どこかぼんやりしていた自分の周りのクリエイター達の姿が、少しはっきりしたような気がした。

まず、Vket5Quest対応チームの皆さんには、最大限のエールを送りたい。決して簡単なことではないだろうけども、達成することを心より願っている。

そして、私自身も、これを機に、少し前進してみようかと思う。ひょっとしたら、直ぐに止まってしまうかもしれない。ゆるゆると続くかもしれない。それでも、今日ここで感じた事は間違いではなかったと思いたいから。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?