究極の疲れないカラダ【bookノートC】

疲れにくいカラダとして、自在に動く、柔軟なカラダをイメージする人がいるかもしれない。

けれど、そのために必要以上にストレッチをすることは、疲れ知らずのカラダづくりのためには、じつはほとんど意味がない。

なぜなら、歩く、走るといった私たちの日常動作はストレッチの動きではないからである。

日常動作に必要なのは、安定感やバランス感覚であり、ストレッチでは鍛えることができない。

私たちは日常の動きをするだけでも、じつは毎日怪我をしているといえる。

久しぶりに階段を歩いたり、長時間立ちっぱなしでいたりすれば筋肉は疲労し、細かい筋繊維が故障したり破れたりする。

日々壊れては修復することを繰り返すうちに、十分に回復しない部分の筋肉が硬く、短く、弱くなっていく。

そして関節の動きも制限されていくことで、カラダが硬く動かなくなっていく。

そのため、激しい運動をしていなくても、

「椅子から立ち上がるのがおっくうになった」

「階段を上がるのがつらくなった」

といった不具合が起こる。

これは「機能運動性」が衰えているサインだ。

機能運動性とは、

・柔軟性-関節の可動域

・安定性- 筋肉の強さ

・バランス -動きの協調性

の総合で決まる、思い通りにカラダを動かす能力である。

つまり、「究極の疲れないカラダ」を手に入れる鍵は機能運動性の向上にあるといえる。

カラダの痛みや歪み、柔軟性、使い方は、すべて機能運動性に関係している。

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痛みが出ている状態は、筋肉や靭帯、関節などの軟部組織が炎症を起こしている状態である。

修復がうまくいかないと、次第に癒着していく。

この軟部組織をリリースして動ける状態に戻し、

カラダの正しい使い方を知り、

その上で足腰の強さとバランス感覚を鍛えることで、

機能運動性が向上する。

ひいては一生動けるカラダが手に入るのだ。

一般的に人は、加齢が原因で不調になると考える。

しかし実際には、もともとカラダに悪かった場所があり、

それに対して治癒力が追いつかなくなったことが不調の原因なのだ。

年齢を重ねると筋肉量も減り、

血液の流れも悪くなり、

それによって細胞の回復が遅れる。

これが老化である。

運動や食事で遅らせることはできても、そのプロセスは、すべての人の中でつねに進行している。

「誰もがつねに老化している」ということは、

カラダの機能を高める努力を始めることに、

早いも遅いもないともいえる。

機能障害につながるカラダの動きをしているなら正し、

機能障害を防ぐためのトレーニングをする、

といったことを実践すれば、

たとえ今の年齢がいくつであろうと必ず効果は出る。

運動による効果は、特に今運動習慣がない人ほど感じやすい。

運動によってこれまで使われていなかった機能運動性が高まり、カラダも元気になるだろう。

言い換えると、老化は進んでもカラダを若返らせることはできるのだ。

もちろん、バランスのよい食事と十分な睡眠をとることがまずは基本であり、運動はプラスアルファである。

ではそのための、効果的な運動とは何かというと、調査・研究の結果、有酸素運動と筋力トレーニングだということがわかっている。

目安は、1週間に中程度の有酸素運動を150分、

カラダの全部位を使った筋力トレーニングを2回以上実践することだ。

661137人を対象にした大規模な調査の結果、このガイドライン通りに運動をこなした人は31パーセントも死亡率が下がったという。

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不調の原因がわからないときこそ、原因をストレスに求めてはいけない。

人間のカラダのありとあらゆる場所には、侵害受容器という、異常を検知し、痛みの信号を脳へ送る受容体がある。


信号を出すには閾値と呼ばれる基準があり、ストレスを感じればその基準が下がることになる。

よって、ストレスの多い状態だと、カラダの痛みも増すのである。

たとえば、デスクワークが多い人は首への負担が大きい。

もともとさほど感じていなかった首の痛みも、

仕事でストレスが溜まれば痛みを感じ出したり、

あるいは首からくる頭痛を感じたりすることが起こりうる。

ストレスマネジメントで痛みがなくなることは確かにある。

しかし、なんでもかんでもストレスを原因にするのは問題である。

特に、痛みの原因がはっきりわかっていないときこそストレスを原因にすべきではない。

痛みの原因にはあらゆる可能性が考えられるからこそ大切なのは、「診断」に焦点を当てることだ。

自分はどういう症状なのか、

何が原因なのか、

有効な治療方法は何か、

どのようにカラダの使い方を変えてトレーニングすべきか、

これらが明確になってはじめて将来の健康を手にすることができる。

世の中は様々な治療法の話で溢れているが、

何らかの方法で痛みがなくなっても、機能運動性が落ちたままでは、いつまでも痛みの予備軍から抜け出せない。

痛みを感じたときは、痛みが何から起こっているのかを知ることが大切だ。

たとえば、腰痛のほとんどのケースは機能障害に起因していることがわかっている。

そのため、動けないほどの重症患者でなければ、腰痛の患者はできるだけ動ける範囲で動くことをすすめられる。

そして、実際、急性で激しい痛みを伴う場合以外は、動いた方がラクになる。

だからこそ、「正しいカラダの使い方」を知ることが必要になる。

間違ったカラダの使い方をすれば、動くたびに痛む箇所を壊していることと同じだが、

正しいカラダの使い方をするだけで、

壊れてしまった部分に負担をかけることもなく、

次第に痛みからも解放される。

だからこそ、高額な医療を受ける前に、まずはカラダの使い方を知るべきなのだ。

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機能障害は日々の生活習慣から起こる。

間違ったカラダの使い方の典型的な例としては、猫背で椅子に座ることである。

その姿勢を続けると、つねに腰と股関節まわりの筋肉に負荷をかけることになる。

長い年月をかけて自ら腰を痛めつけていくということになってしまうのだ。

1回の優れた治療を受けるより、正しいカラダの使い方を学んで、日々実行することのほうが、カラダにとってはるかに価値がある。

ダンスやヨガをしている人の怪我の原因の多くは、オーバーストレッチが原因だ。

「筋を痛めた」というときは、筋肉の一部である「腱」が故障していることを指す。

筋肉そのもの、骨そのものよりも、接合部のほうが壊れやすい。

つまり、頻繁に壊れるのは、筋肉が腱に移行する部分や、腱と骨の接合部なのである。

もちろん、症状によっては、ストレッチは有効である。

だが、このような場合、ストレッチを続けていては症状が悪化してしまうので、筋肉を鍛えるトレーニングに切り替えるべきだ。

水泳は自転車と同様、カラダへの負担が少なく怪我もしにくいエクササイズである。

しかし、骨に対する負荷が足りないため、骨粗しょう症の予防には効果的ではない。

むしろ、骨密度を減らす可能性すらある。

骨密度の減少は、股関節を始めカラダ全体が骨折しやすくなるという恐ろしい状態である。

その状態を防ぐべく骨を強化するには、筋肉同様、骨にも負荷をかけてやる必要がある。

よって、骨粗しょう症の予防には重力をかけるウェイトトレーニングが絶対だ。

自分のカラダが動くようになれば、それに合わせて負荷もあげていくことが大切である。

加えて、食生活も大事にしていかねばならない。

骨密度は30歳をピークに徐々に減少していく。

ビタミンDを合成するために日光にしっかり当たること、

小魚などでカルシウムを積極的に摂取すること、

そして、ときにはサプリメントでも栄養を補い、骨の健康を守ることが大切である。

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アメリカの医療は実力主義の自由診療であり、医者が治療費を決める。

おそろしく高額な最先端の医療も存在するし、病気になって入院し、医療費が払えずに破産してしまう人もいる。

そのため、人々は、健康は自己責任で守るという意識が高く、

自分の症状を徹底的に調べ上げ、

医者や医療もしっかり選ぶ。

そのため、診断結果の説明も、具体的に詳細に求める。

日本人は、アメリカ人に比べれば治療において受け身で、

自分の症状を専門家がなんとかしてくれると思い込んでいるが、

あくまでも決断は自分ですべきだ。

自分のカラダを他人に委ねることは絶対にしてはいけない。

自分のカラダは二度と買い替えができない。

健康にお金をかけること、

健康状態をリサーチすることについて、

今一度真剣に考えるべきである。

もちろん、自分でリサーチを行うことにはメリットもデメリットも存在する。

特にインターネットの情報だけで自己判断するのは大変危険である。

大切なことは、医療を受けるにしても決断は自分自身で下すこと。

そして、自分の症状は自分で治すという意識をもつことである。

「世界の最新医学が証明した 究極の疲れない体」
仲野広倫 著
アチーブメント出版

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