シンプルに考える【bookノートB】

「ビジョンはいらない」

「モチベーションは上げない」

「イノベーションは目指さない」

「ビジネスの本質は、ユーザーが本当に求めているものを提供し続けること」

ユーザーのニーズに応える情熱と能力を持つ社員だけを集め、彼らの能力が最大限に発揮される環境づくりに注力する。

「自分の感性で生きる」

「ライバルではなく、ユーザーだけを見る」

「覚悟を持って過去の成功を捨てる」

ビジョンを掲げると、それに縛られてしまう。

未来を予測するよりも、目の前のことに集中し、ニーズに変化の兆しはないかと神経を研ぎ澄ますことのほうが重要である。

イノベーションを目指すことで、かえってイノベーションが遠ざかってしまう。

ユーザーにとっての価値を極限まで追求した先に、イノベーションが生まれる。

ビジネスを取り巻く環境はめまぐるしく変化し続けている。

「明日、何があるかわからない」という不安を消そうとするのではなく、

不安だからこそ自分なりに先を見通す努力をして、変化に素早く対応する必要がある。

ビジネスの本質とは、「求める人と与える人のエコシステム (生態系) 」である。

お腹がすいた人においしい料理を出す。

手持ちぶさたな人に手軽なゲームを提供する。

人々が求めているものを感じ取り、それを具体的な形にする技術を磨き続け、ニーズの変化にいち早く対応する。

ユーザーが真に求めているものを生み出すために集中することがビジネスの成功につながる。

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会社は、「人」がすべてである。

どんな人が働いているかによって企業文化が決まり、企業の盛衰が決まる。

本当に優秀な人が求めているのは、お金でも地位でもなく、業界トップの「すごい人」と一緒に働くことである。

社内に「すごい人」がたくさんいれば、自然と優秀な人を引き寄せる。

採用戦略の根幹は、優秀な社員が能力を思う存分発揮できる環境を整えることだといえる。

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自分の感性を信じ、自分が「面白い」と思うものを追求する。

様々なゲームをやり尽くし、気になるアプリを片っ端からダウンロードして試す。

だからこそ、モノの良し悪しがわかり、感性がどんどん磨かれていく。

ユーザーの気持ちに思いを馳せながら、自分の感性を追求すれば、自然とユーザーに喜ばれるものに近づいていくのだ。

「空気を読まない」のも「すごい人」たちの共通点である。

彼らは上司や仲間に臆することなく自分の意見を述べ、ときにはダメ出しをすることもある。

それは、彼らが職場で批判されることよりも、ユーザーのニーズからズレることを恐れているからである。

ユーザーが求めているものから、ほんの「1ミリ」ズレただけでも、

つくり上げたプロダクトは相手にしてもらえないというマーケットの厳しさが骨身に沁みているのだ。

職場の空気を読まず、ユーザーのニーズをシンプルに追求する人だけが、ずば抜けた結果を出せる。

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ビジネスにおいて、ヒト・モノ・カネなどのリソースはいつも足りないのが現実だ。

大切なのは、その中でいかに知恵を絞って結果を出すかである。

リソースに恵まれた環境よりも、「何もない」環境のほうが、自分を鍛えることができる。

リソースが足りなくても成功できるという確信は、ビジネスパーソンの自信の源になる。

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企業は常に新しい価値をつくり続けなければならない。

過去の企業の盛衰を研究すれば、同じことをやり続けている企業が衰えるという法則が見えてくる。

成功を捨て続けるという文化を定着させる。

成功を捨て続け、新しい価値の創造に挑戦し続けることは、その人の「市場価値」を高める唯一の方法である。

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社会人は、「教育を受ける」という受け身の意識でいてはいけない。

実現させたいものに向けて「成長したい」という主体性があるのが当たり前だ。

主体性を身につける唯一の方法は、本人が自分に足りないものを自覚することだけである。

会社や上司にモチベーションを上げてもらわなければならない人は、プロ失格である。

問題なのは、優秀な管理職が部下のモチベーションを上げるために余計な時間をとられることだ。

これは非生産的であり、企業にとっても管理コストの上昇を招く。

優秀な人の足を引っ張るモチベーションの低い社員は必要ないのである。

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ビジョンとは企業の目指す姿、つまり未来を示すことである。

未来のことは誰もわからない。

変化の激しい現在、「わからないこと」をさもわかったかのように語るのは無責任である。

未来を予測するよりも、目の前のことに集中し、ニーズに変化の兆しはないかと神経を研ぎ澄ますことのほうが重要である。

人々がビジョンを求めるのは、将来の不安を誰かに解決してほしいと思っているからだ。

しかし、これこそユーザーの変化に敏感に反応するために必要な「危機感」が失われてしまうので危険である。

こうした野性的な感覚を磨いていなければ、変化の時代を生き抜くことはできない。

組織の力を最大限に発揮させるうえで、経営者は最も大切なことだけをシンプルに伝えることが重要だ。

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差別化を追求すると、ライバル企業のことばかり意識して、ユーザーが求めていることから離れてしまうのだ。

差別化をしたければ、ベンチマークをした商品の中で、ユーザーにとって最も価値のある部分にフォーカスし、それを磨くことが不可欠だ。

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イノベーションを目指すことで、かえってイノベーションが遠ざかってしまう。

なぜなら「新しいことをやりたい」というのは自分本位だからだ。

「目の前のニーズ」に愚直に応え続けることが、ビジネスの成功確率を高めるために重要なのだ。

ユーザーにとっての価値を極限まで追求した先に、イノベーションは生まれるのだ。

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「シンプルに考える」 森川亨 著
ダイヤモンド社

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