GRIT やり抜く力を手に入れる【bookノートB】

「グリット」とは、「長期的な目標を追求する情熱と粘り強さ」のことである。

現代は実にネガティブな情報と不安が蔓延した時代である。

自分が本当に望んでいる目標を設定し、困難にぶつかっても最後まであきらめない。

こうした姿勢を学ぶことが難しくなり、幸福で有意義な人生を送るための手法を、誰しもが必要としている。

どうすれば人生に情熱を見出し、どうすればそれをあきらめずに最後までやり抜くことができるか。

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夢をつかむ能力というのが生まれついてのものではなく、努力と実践で伸ばせる。

夢の達成は、まずその方法を知ることから始まる。

グリット(やり抜く力)の中でも、最も重要な「本物のグリット」とは、情熱を持って高い目標を追求する姿勢である。

同時に周囲の人の畏敬の念を引き起こし、より良い人間へと成長し、精神的な持続的幸福を獲得し、ポジティブなリスクを冒し、最高の人生を送りたいというモチベーションを引き出すものでもある。

本物のグリットは、

「情熱」
「幸福感」
「目標設定」
「自制心」
「リスク・テイキング」
「謙虚さ」
「粘り強さ」
「忍耐」

の8つから構成される。

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成功者に共通する3つの特徴

①情熱

②粘り強さ

③長期的な目標

彼らは内側から輝きを発し、大きな困難に負けず、現実離れした目標でもあきらめることなく追い続けているのだ。

グリットは目的を追求する際の「行動のタイプ」を表す。

魂が燃えるほどの感覚を伴うという点で、単なる誠実性とはまったく異なる。

グリットは、高い目標に対する情熱的な追求の姿勢であり、周囲の人の畏敬の念を引き起こす。

より良い人間へと成長し、精神的な持続的幸福を獲得し、有益なリスクを冒し、最高の人生を送りたい。

こうしたモチベーションを、他者の内面からも引き出す。

良いグリットは、自分のためであると同時に、人々にも良い影響を与えるものなのだ。

満足感のある質の高い人生を送るには、「困難で具体的な目標」が欠かせない。

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実現したい目標が何なのかわからないという人に、2つの質問を投げかける。

「死ぬ間際に自分の人生を振り返ったとき、あなたが後悔するとしたらどんなことか?」

「後悔しないために、今、あなたにはどんな変化が必要だと思うか?」

この問いから導かれる壮大な目標の達成に向けて、最後までやり抜くために必要なのが、グリットだ。

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グリットは先天的なものではなく、後天的に育てられる能力である。

生まれながらの知能をほめられて育った子どもは、自分の強みや才能は先天的で伸ばせないと考えるようになるという。

一方、努力そのものをほめられて育った子どもは、何事も粘り強くがんばれば、じきに習得できると考える。

後者を「しなやかマインドセット」と呼ぶ。

グリットを高めるには、この思考が重要になる。

その人自身の内側から湧き出てくる目標でなければ、人は輝けない。

何歳になっても、夢を追うことを決してあきらめない姿勢こそが重要となる。

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我が子が恐怖を感じるであろう競争を、その子の人生から1つ残らず取り払おうとする親は、「ヘリコプター・ペアレント」と呼ばれる。

こうした状況下で育った子どもは、目標を達成することの意義や、勝っても負けても結果を受け入れる必要性を学ぶ機会を失ってしまう。

周囲の大人のこうしたふるまいは、子どものモチベーションだけでなく、子どもの脳にも影響を与える。

何もしていないのに報酬が得られると、「部分強化消去効果」という反応が起こり、報酬が欲しいときに努力せずただ待っているようになる。

子どもの評価基準が緩くなるにつれ、努力せずとも自分が優秀だと思う子どもが増えた。

その結果、本当に秀でるために必要なものを、子ども自身が学べなくなった。

困難な目標を乗り越えた経験がなく、そのスキルを身につける場も乏しい。

こうした背景からも、いっそうグリットの育成が必要とされている。

高いグリットを持っている人物でも、良い側面が出るときと、悪い側面が出るときがある。

ただ、忍耐強く、情熱的なだけでは、本物のグリットがあるとはいえない。

本物のグリットを持った人は、その喜びを他の人と共有することで、チームワークや友情を育む。

そして、周囲の人が自身へ期待感を寄せるきっかけをつくる。

間違ったグリットの場合は、喜びを誰とも共有することはない。



本物のグリットを持つ人の特徴は、主に以下の通りだ。

・希望にあふれ、楽観的であること

・他者の承認を得るためではなく、あくまで自分の目的達成に注力する謙虚さを持つこと

・失敗から学び、自分の能力を信じ続け、本物の自信を抱いていること

・「受け取る人」ではなく「与える人」であること

・自分にとって重要なことのみに適切に集中すること

・ありのままの自分でいること

・前述した「しなやかマインドセット」を持ち、努力が成功の鍵だと信じていること

これらの要素は、訓練によって誰でも習得できる。

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公平さや正義感といった普遍的な価値観をもとに、信念を貫き通した人々は、「ラシュモア山グリット」に分類される。

これは、アメリカ史上最も偉大な4人の大統領の胸像にたとえたものだ。

最も多くの人が分類されるのは、外部からの見返りがなくとも自分の目標を達成する「日常のグリット」である。

これに分類される人たちは、無欠勤日数の最長記録を持っていたり、他人の壊れた自転車を直すことに熱心でいたりするなど、日常のあらゆるところで発見できる。

私たちは彼らから良いグリットを構成する資質を見つけ、その価値を見出し、他者と共有しなければならない。

本物のグリットに必要な親切心や謙虚さを発揮することなく、他の強みによって偽りの成功を手に入れようとすると、かえって自滅に追い込まれる。

例えば、周囲からの称賛を得るために、困難なことを成し遂げたかのように見せかける人たちは、「虚栄グリット」の持ち主に分類される。

そのほかにも、目標達成に固執するあまり、ネガティブな結果を生む「強情グリット」や、さほど困難でない障害を乗り越えた場合にも執拗なまでに自分を賛美する「セルフィーグリット」がある。

これらは悪いグリットの典型例だ。

本物のグリットを持つことは、周囲からのサポートを重視し、自分の考え方を省みる機会と、柔軟性を持つことなのである。

本物のグリットは次の8つから構成される。

それは「情熱」「幸福感」「目標設定」「自制心」「リスク・テイキング」「謙虚さ」「粘り強さ」「忍耐」である。

グリットが高い人は必ず情熱を持っている。

情熱を注げる目標があれば、自分の潜在的なリソースを集結させ、プロジェクトを最後までやり遂げやすくなる。

ただし、情熱は興味とは性質が異なる。

あらゆることに手を出すと、エネルギーが消耗され、1つのことに充分費やせるだけのエネルギーを残せなくなってしまう。

本当にときめきを感じられるものに力を注ぐようにしたい。

幸福感もグリットの重要な構成要素の1つだ。

なぜなら、ポジティブ心理学によると、

人は何かに成功して幸せになるのではなく、「幸せだからこそ成功する」ためだ。

幸せな人は、

「ポジティブ感情」
「エンゲージメント」
「ポジティブな人間関係」
「意味や意義」
「達成・成功」

という5つの行動特性を持っている。

これらを最大限まで高めるには、自分の強みを生かした目標設定を行う、自分が感謝したことと、それがなぜ自分の身に起こったのかを書き出すといった方法を試すとよい。

本物のグリットを持つ人は高い目標を掲げる。

目標は私たちの注意力を重要な事柄に向け、高い目標ほど大きなエネルギーを引き出す。

目標を他者に打ち明け、周囲から励ましやサポートを受けることも、プラスの効果をもたらしてくれる。

具体的には、

生きているうちにやっておきたいことの「目標リスト」をつくる、

目標について思い出させるメールが自分のもとに定期的に届くようにする、

といった方法がおすすめだ。

グリットを磨くことで、後悔と悲嘆にくれることのない人生を歩める。

一人一人がベストを尽くすところから変化は始まる。

理想につながる道を走りだすのに、遅すぎることはない。

たとえ「自分には高い目標がない」

「自分にはそんな目標を達成できない」と考えている人でも、

「後悔のない人生を生きたい」という願いは、共通してあるだろう。

人生の最期を迎える際、悔いを残さないために、自分にとって何が一番重要なのかという問いと深く向き合うことは、よりよく生きる一歩となるであろう。

グリットの構成要素を高めるためのエクササイズについては、本書を参照。

「実践版GRIT」
キャロライン・アダムス・ミラー 著
すばる舎

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