精神科医としての精神障碍や精神疾患を持つ人に対しての職業枠の移動に関する医療的な判断

○患者さんが現在の状況(職業枠)で回復傾向にある場合

現在の状況で回復傾向にある場合
より負担の大きいランクの高い職業枠へ移動させる事は
「負担が増える」という意味で
病状は悪化へと転じる。
より負担の少ないランクへ下げる事は「負担が減る」
という意味で病状は良くなる可能性の方が高いが
「状況が変化する」という意味で病状が悪化に転じる可能性も
含んでいる。
負担の大きい職業枠への移動は博打になるので、まず、
する意味がない。
本人が望む事は、病状の苦しみの少ない穏やかな生活であり、
責任と遣り甲斐の大きい給料の高い職業枠での仕事生活
を求めている訳ではない。
現在の状況において、病状が良い方向へと進んでいるならば、
現在の状況を永遠に継続する
という事のみが正解となる。
精神疾患や精神障碍に成っているもしくは
成った事の有る人にとって「病状が良くなっていく状況」
「最終的に寛解する状況」というのは「状況のパターン」
として稀有でありその状況の探索に成功したという事に対しては
感謝しなくてはならない。ありがたいと強く思わなくてはならない。
だから、「良くなってきたから、状況を現在よりも
負担の大きい職業枠へ戻してしまって問題ないですね」
という判断は、感謝が足りていない判断だと言える。

そもそも、精神障碍や精神疾患を持つ人にわざわざ負担の大きい
職業枠へ立たせる必要性がそんなに高まっている状況なのかを
考えなくてはならない。そんな、高いリスクを知りながらも、
彼女彼らをその席へ移動させなくてはならない程に、人材が
不足しているのかを考えなくてはならない。


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