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掌編・短編小説

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2019年5月の記事一覧

2018年、平成最後の夏、僕は21歳で法学部の二回生だった。その年のセミは何故か異様なほど五月蝿く(怒りと性欲の悲鳴)不安と孤独が交差する日々に嫌気がさした僕は大学をサボって毎日同じ水族館に通い魚の群れを見て羨ましがった。ある日、イワシの群れが旋回する輝きをボーッと眺めていると左耳に凄まじい視線を感じた。視線の先には1人の少女が居て僕の左耳の穴をジッと覗いていた。何かを言いたそうな素振りはなく、た

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