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③社会人ストリートパフォーマー


上の写真は写真事務所で働いていた時のものです。
私はストリートパフォーマンスでは食べていけず、2年ほど就職しています。


2005年から2007年のことです。
最初の1年はアルバイトだったので、写真事務所には3年いました。
この写真はカメラアシスタントをしていた時のものです。
朝8時に出社して、夜は終電くらいか、終電後に帰っていました。
いつも0時前後くらい。

夜中の0時から1時までの1時間だけ集中してダンスの練習をしていたことを覚えています。
少しの時間しかないので、練習メニューも秒単位で作りました。
45秒これやる、20秒これやる、120秒これやる、、、みたいに。

目標は、1時間を10時間の価値にすること。

物理的に無理ですが、それだけ集中するぞ!と考えて練習していました。
今でも覚えているのが、最終的に辿り着いたメニューが、
最初の30秒は”祈る”とありました笑笑
なんの宗教もやっていないんですが、最終手段、、”祈る”

何を祈っていたかというと、
”ダンスを上手くさせてください。。”
でした。

一番になるような才能がないことは、、分かってる。
上手い人には辿り着けない、、分かってる。


でも、ダンスが好きなんです。だから、気持ちよく踊れるくらいの上手さで良いから、上手くしてくれって祈ってました。
あの時のガリガリな自分を抱きしめてやりたい気持ちになります。

頑張ったな、って。

今より良くなりたくて、祈るような事って、何かありますでしょうか。

誰に相談したって「祈れ」なんて助言、あまり出会わないと思います。
でも僕は祈ると良いよって普通に言います。自分やってたから。で、その後ダンスコンテストで優勝するのを知ってるから。
ずっと祈ってたって何も変わらないですが、何かをする前に祈るのは、集中力とアドレナリンが出ます。
効果があったと思います。

海外のスポーツ選手が祈る動作をするのも、理解できます。自分がノートに手書きで書いちゃってますから。
”祈る”って。

これは全くきっかけが無かったわけじゃないんです。

僕には勝手に師匠にしている人が三人いるんですが、そのうちの一人が、それをやっているところを見た事があります。

フランクというダンスの先生です。
僕はダンスを始めた最初の半年間、このフランクという黒人の先生にほぼマンツーマンで習っていました。
Poppin’というちょっとマニアックなダンスです。


その先生はダンスのゲストステージに上がるときにキスをした手を天と地にかざしていました。何を祈ってるんですか?って後で聞いたとき、「天と地があって私がいることに感謝し、最高のダンスができるように」と言ってました。
なんか頭に残っているんです。すごくシンプルで力強いなって。


せっかくフランク先生の話になったので、そのまま続けてみたいと思います。

先生のダンスレッスンはグループレッスンなのですが、生徒はいつも私一人かもう一人の二人しかいませんでした。何度か新しい人が来るのですが、次の週には来ないのです。

だから、ほとんどマンツーマン。

そこが気に入って、ダンス初心者の僕は、体験レッスンの時からこの先生に決めました。
他の場所は人が多すぎて前が見えなかったんです。。丁度ダンスブームの時だったので。

で、受け始めると、90分のレッスン中、70分くらいまで筋トレみたいなことをさせられるんです。かといってウェイトトレーニングでもない。
今でこそ、体幹トレーニングというものがありますが、まさにアレ。でも、そんなものがない時だったので、ただの筋トレにしか見えなかったです。

そんなことなので、ダンスを学びに来た人は、軒並み辞めていきました。
最後に残ったのは、僕と時々来ていたもう一人(その人は三浦大知さんのバックダンサーになってました)。

で、筋トレ後、レッスン中に言うわけです、タッチミーって。「私の身体を触りなさい」、、、身体の筋肉の動き方やリズムの取り方、体重移動の仕方など、本当に色々、触りながら教えて貰いました。

遠目で見るとヤバい景色ですが、本当です。
で、振り付けといったダンスの動きはほとんどせず、やっても最後の10分だけなんです。

レッスン中に話してた事が記憶にあるんで書いときます。すごく影響を受けています。

「君はまだ身体がダンサーじゃないから、私が器を作らなければならない。今ダンスのテクニックを与えても、全てドロップしてしまう。だから、器を作ろう」

「振り付けを教えるが、完璧にしようなんて考えなくていい。ダンスなんて全て勘違いや間違いからできてるんだ。完璧なダンス?そんなものは無い。それは君にしかできないダンスのことを言うんだ。真似できるダンスは結局誰かのダンスさ。評価は好きか嫌いかさ。」

「僕がもし完璧な歌舞伎をしたら、皆んな喜んでくれるだろうが、認めはしないと思う。でも、私しかできないものは、認めてくれると思う。カルチャーってそんなものさ、だから、最低限のルールを手に入れたら、自分のダンスを見つけると良い。誰も君に何も言えない。そうだろう?ドン・キャンベルは間違ってなのか酔っ払ってなのか知らないが、あのロックダンスを作ったんだ。上手いとか下手とかは自分が決めることさ。」

多分、下手な僕を慰めてくれていたんだと思います。ゴーマイウェイ!って。
振り覚えの悪い僕は、バックダンサーにはなれない。表に出るためには、みんなと合わせなくてはならない。でも出来ない。才能無いんだと思います。そっち方面は。

だから、これしか出来なかったんです。ダンスパフォーマーKERAというストリートパフォーマーの道。
これなら、一人で踊ることになるでしょ?で、思うんです。これで良かったって。

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一人でパフォーマンスのショーを完結させるには、一人で何役もしなくてはいけません。まして、仮面をつけていたので、喋りながらでは無いです。

見知らぬ人にとっては、ジェスチャーや表現が伝わらなければただの変質者です。

伝わる表現、使える表現に集中して人前に立っていました。

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