感染症関連知見情報:2024.04.22

皆様

本日のCOVID-19情報を共有します。

本日の論文はJAMA系列より3編です。

1編目は、SARS-CoV-2感染に関連する長期的な身体的・精神的健康症状の有病率を、自己申告および血清学的検査結果に基づき、大規模集団の献血者において検討することを目的とした研究です。4週間以上続く長期症状は成人集団によくみられるが、SARS-CoV-2感染者では有病率が有意に高いことが示唆されました。
2編目は、2021年から2023年にかけて、妊娠中および最近妊娠したVaccine Safety Datalink(VSD)メンバーのサンプルにおいて、(1)ワクチン接種状況、(2)人種、民族、言語別にCOVID-19ワクチンに関する態度の傾向を評価することを目的とした横断調査研究です。多様性のある妊娠中および最近妊娠した被保険者の大規模集団において、COVID-19ワクチンの安全性に対する信頼の低下が認められました。
3編目は、COVID-19パンデミック時の医療従事者(HCP: Health care personnel)におけるCOVID-19検査の遅れに関連する人口統計学的因子を評価することを目的とした横断研究です。HCPを対象としたこの横断研究では、非ヒスパニック系白人のHCPおよび大学院卒の臨床HCPと比較して、非ヒスパニック系黒人のHCP、その他の人種の非ヒスパニック系HCP、およびその他のすべての専門職および学歴のHCPは、COVID-19検査が遅れる傾向がありました。

本日の報道は、政府行動計画の初の抜本改定や、「日本版CDC」が25年春の設立決定といった記事が要注目です。
また、劇症型溶血性連鎖球菌感染症に関する概説は、会員制記事ではありますが必読です。

最近の、このまとめを読まれている方はお気づきのことと思いますが、一時期、毎週のようにあらたな知見が揃っていた時期と異なり、トップジャーナルでも、重要な知見が少なくなってきました。これは、オミクロン株の出現によって、ウイルス毒性が低下したこと、生命を脅かす感染症では亡くなったことが重要なポイントになっているものと考えます。
一方で、生命には影響しないものの、Healthy Livingに大きく影響する長期的後遺症の報道は以前よりも少し増えてきました。また、5類感染症への指定以降、日本の報道のCOVIDへの関心の低下、手抜きは明らかです。報道機関の使命とは、皆に読まれる記事をかくこと、読まれる報道機関ということで広告収入が集まること、そして、社員を裕福にすることなのでしょう。人々の健康に関わる報道を徹底することで社会に寄与するなどという関心は全くないと感じています。ほとんどの報道紙において、きちんとした総括をしていないのがその証左なのです。総括をしても金にならない、だから、総括しない。素晴らしい唾棄すべきビジネス感覚です。

本配信は、本来、全く素性の知れないSARS-CoV-2ウイルスの特徴をシェアする目的で高橋が独自で行ってきました。
しかし、新たな知見もまだ出てくるものの、これまでの蓄積は十分にされて来たものと判断できます。
このような状況を踏まえて、本情報提供も一定の役割は終えたものと判断しています。

そこで、今週木曜日のまとめ配信をもって、COVID情報共有の第一弾終結とさせてください。
個人的な論文知見の追跡等は適宜行っていきますが、これは、メール配信ではなく、
https://note.com/kenzo_takahashi
でフォローいただけます。

高橋謙造

1)論文関連     
JAMA
Long-Term Symptoms Associated With SARS-CoV-2 Infection Among Blood Donors

*SARS-CoV-2感染に関連する長期的な身体的・精神的健康症状の有病率を、自己申告および血清学的検査結果に基づき、大規模集団の献血者において検討することを目的とした研究です。
この横断研究は、2020年3月以降に生じた新たな長期症状およびSARS-CoV-2感染状況について、2022年2月22日から4月21日の間に調査を受けた米国赤十字社の献血者(18歳以上)を対象としました。すべての参加者は、2020年6月15日から2021年12月31日の間に、抗核酸カプシド抗体の血清学的検査を少なくとも1回受けています。
SARS-CoV-2感染は、自己申告により確認された急性感染または抗ヌクレオカプシド抗体陽性により定義されました。
主要アウトカムは、 2020年3月以降の新たな長期症状(5つの症状カテゴリー(神経系、消化器系、呼吸器系および心臓系、精神系、その他)を含む)でした。
調査を受けた818,361人のうち、272,965人(33.4%)から回答があり、238,828人が組み入れ基準を満たしました(138,576人[58.0%]女性;年齢の中央値[IQR]、59.0[47.0-67.0]歳)。SARS-CoV-2感染歴のある83,015人のうち、43.3%が新たな長期症状を報告したのに対し、SARS-CoV-2感染歴のない人では22.1%でした。年齢、性別、人種、民族、基礎疾患の数でコントロールした結果、SARS-CoV-2感染歴のある人は、ない人に比べて新たな長期症状のオッズが増加しました(調整オッズ比[AOR]、2.55;95%CI、2.51-2.61)。女性の性および慢性疾患の既往は、新たな長期症状と関連していました。味覚や嗅覚の変化を含むその他のカテゴリー(AOR、4.14;95%CI、4.03-4.25)、呼吸器症状および心臓症状のカテゴリー(AOR、3.21;95%CI、3.12-3.31)の長期症状は、SARS-CoV-2感染の既往と最も関連していました。精神的長期症状もSARS-CoV-2感染歴と関連していました(AOR、1.05;95%CI、1.02-1.08)。
本研究の結果から、4週間以上続く長期症状は成人集団によくみられるが、SARS-CoV-2感染者では有病率が有意に高いことが示唆されました。SARS-CoV-2の長期後遺症を定義し追跡するためには、感染していない対照群を用い、無症状または未確認の感染者を含む血清学的情報を用いた継続的な取り組みが必要であるとのことです。

Attitudes Toward COVID-19 Vaccines Among Pregnant and Recently Pregnant Individuals

*2021年から2023年にかけて、妊娠中および最近妊娠したVaccine Safety Datalink(VSD)メンバーのサンプルにおいて、(1)ワクチン接種状況、(2)人種、民族、言語別にCOVID-19ワクチンに関する態度の傾向を評価することを目的とした横断調査研究です。
13の医療システムと米国疾病予防管理センターが共同で行っているVSDの妊娠中または最近妊娠した会員を対象としました。ワクチン未接種、非ヒスパニック系黒人、スペイン語を話す会員がオーバーサンプリングされました。第1波は2021年10月から2022年2月まで、第2波は2022年11月から2023年2月まで行われ、データは2022年5月から2023年9月まで分析されました。
主要アウトカムは、自己報告によるワクチン接種状況、1価(第1波)または2価のオミクロンブースター(第2波)COVID-19ワクチンに対する態度でした。サンプルおよび回答に重み付けをした分析では、ワクチン接種の状況、および関心のある3つの人種、民族、言語グループ別に態度を評価しました。
回答者は1,227人で、全員が女性、平均(SD)年齢は31.7(5.6)歳、人種は356人(29.0%)が黒人、555人(45.2%)がヒスパニック系民族、445人(36.3%)がスペイン語を主言語として回答しました。回答率は、第1波では43.5%(1500人中652人)、第2波では39.5%(1456人中575人)でした。回答者は非回答者よりも、白人、非ヒスパニック、EHR(Electronic health record)によるワクチン接種を受けている可能性が高くなっていました。全体では、76.8%(95%CI、71.5%-82.2%)が1回以上のCOVID-19ワクチン接種を報告しました。スペイン語を話すヒスパニック系回答者は、1回以上のワクチン接種を受けた回答者の加重割合が最も高く、COVID-19ワクチンが安全であることに「やや同意する」または「強く同意する」の加重推定値は、1回以上の接種を報告した回答者(76%対50%;χ21=7.8;P<0.001)、非ヒスパニック系白人回答者(72%対43%;χ21=5.4;P=0.02)、およびスペイン語を話すヒスパニック系回答者(76%対53%;χ21=22.8;P=0.002)において、第1波から第2波にかけて減少しました。
多様性のある妊娠中および最近妊娠した被保険者の大規模集団におけるCOVID-19ワクチンの安全性に対する信頼の低下は、公衆衛生上の懸念であるとのことです。
**この研究結果は、流行当時に大手メディア等が配信していた情報や、Tweetなどで流布されていた懸念言説を指示するものです。この論文が、2014年4月になって発表されているということは、JAMA network誌の次なるパンデミックへのPreparedness(準備体制)を意識したものであると考えました。

Race, Ethnicity, and Delayed Time to COVID-19 Testing Among US Health Care Workers

*COVID-19パンデミック時の医療従事者(HCP: Health care personnel)におけるCOVID-19検査の遅れに関連する人口統計学的因子を評価することを目的とした横断研究です。
2020年12月から2022年4月の間にCOVID-19の症状および検査を受けたHCPを登録した多施設、テスト・ネガティブ、症例対照ワクチン効果研究であるPreventing Emerging Infections Through Vaccine Effectiveness Testing研究のデータを使用しました。データ解析は2022年3月から2023年6月に実施しました。
曝露としては、COVID-19様症状の発現および症状発現初日から症状発現14日後までに発生したPCR検査結果としました。
患者の人口統計データ(性別、年齢、臨床的併存疾患)およびCOVID-19の特徴(ワクチン接種の有無、COVID-19の波)に注目しつつ、主要アウトカムは、症状発現からCOVID-19検査までの時間であり、早期検査(2日以下)または遅延検査(3日以上)と定義しました。多変量モデルを用いて臨床的併存疾患、COVID-19特性、検査部位で調整しながら、人口統計学的特性と検査遅延との関連を測定し、相対リスクと95%CIを推定しました。
合計5,551人のHCP(女性4859人[82.9%];25~34歳1,954人[35.2%];非ヒスパニック系白人4,233人[76.3%]、非ヒスパニック系黒人370人[6.7%]、非ヒスパニック系アジア人324人[5.8%])が最終解析の対象となりました。全体として、2,060人(37.1%)が検査を遅らせたと報告し、3,491人(62.9%)が早期に検査したと報告しました。非ヒスパニック系白人のHCPと比較して、非ヒスパニック系黒人のHCP(調整リスク比、1.18;95%CI、1.10-1.27)および非ヒスパニック系その他の人種のHCP(調整リスク比、1.17;95%CI、1.03-1.33)では、検査の遅延が高くなっていました。性別と年齢は検査の遅れとは無関係でした。大学院卒の臨床HCPと比較すると、他のすべての専門職および教育グループは有意に検査が遅れていました。
HCPを対象としたこの横断研究では、非ヒスパニック系白人のHCPおよび大学院卒の臨床HCPと比較して、非ヒスパニック系黒人のHCP、その他の人種の非ヒスパニック系HCP、およびその他のすべての専門職および学歴のHCPは、COVID-19検査が遅れる傾向がありました。これらの結果は、COVID-19への反応における社会人口統計学的格差と将来の健康被害軽減戦略を評価する上で、検査までの時間が貴重な指標となる可能性を示唆しているとのことです。

2) 治療薬、 ワクチン関連       
国内     

海外     

治療薬      

3)診断・検査、サーベイランス関連
変異株     

国内     
コロナ感染者数は10週連続で減少 定点あたり3.17人 
https://digital.asahi.com/articles/ASS4M25W9S4MUTFL00MM.html?iref=pc_special_coronavirus_top 
*「厚生労働省は19日、全国に約5千ある定点医療機関に4月8~14日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数は計1万8297人で、1定点あたり3・71人(速報値)だったと発表した。前週(4・26人)の約0・87倍で、10週連続で減少した。」  

インフルエンザ 「警報レベル」の都道府県なくなる 新型コロナも10週連続で減少 
https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20240419-OYTET50001/?catname=news-kaisetsu_kaisetsu-kikaku_shiritai
*「厚生労働省は19日、全国約5000か所の定点医療機関から4月8~14日の1週間に報告されたインフルエンザの感染者数が、1医療機関あたり2.69人だったと発表した。同5.10人だった前週(4月1~7日)からさらに下がり、4週連続で減少した。1医療機関あたりの感染者が最も多い山形県でも8.02人に下がり、警報レベルの流行が継続している都道府県はなくなった。
 一方、4月8~14日の新型コロナウイルス感染症の患者数は、1医療機関あたり3.71人と前週の4.26人より減り、10週連続で減少が続いている。」

最短24時間で死に至ることも 劇症型溶血性連鎖球菌感染症はどこから感染するのか 
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20240419/med/00m/100/005000c
*「STSSの中には感染源不明のものもあります。全身に溶連菌が侵入したのは間違いないものの、皮膚には一切の傷を認めず、どこが感染源かが分からない事例があるのです。
 243例のSTSSを解析した厚労省研究班の報告によると、243例中、感染臓器不明例が54例もあり全体の23%にも相当します。皮膚や筋膜に炎症が生じた例(病名でいえば、蜂窩織炎<ほうかしきえん>、壊死<えし>性筋膜炎)は129例で全体の56%しかありません。さらに興味深いのは「侵入門戸」つまり「どこから感染したか」です。通常、皮膚の感染症は微細な傷などから起こることが多いのですが、中には「傷がないけれど皮膚の下が腫れている」という事例もあります。つまり皮膚の表面ではない別のところから細菌が侵入して結果的に筋膜や皮下に炎症を起こすケースです。この報告では全体の51%の侵入門戸が「不明」とされています。つまり、報告された事例の約半数は「皮膚の傷から溶連菌が侵入したわけではない」「従来典型例と考えられていたSTSSと合わない」のです。
 STSSの原因となる溶連菌(溶血連鎖球菌)は、その特徴から主にA群溶血性連鎖球菌、B群溶血性連鎖球菌、C群溶血性連鎖球菌+G群溶血性連鎖球菌の3種類に分けられます。A群は健常者の咽頭や皮膚にも生息する菌です。B群は健常な女性の膣や肛門、直腸内に生息しています。C+G群は健常者の皮膚に生息しています。
つまりどの溶連菌も、誰の身体にでもいます。それが突然「暴れ出す」わけです。通常、A群が暴れ出せば咽頭(いんとう)炎・扁桃(へんとう)炎、B群が新生児に感染すると重篤な肺炎や髄膜炎を起こします。またC+G群は皮膚の感染症を起こします。いずれも重症化すればSTSSへと移行します。上述の報告で243例の内訳は、A群93例、B群39例、C+G群108例、不明3例でした。3種の溶連菌が起こしたSTSSはどの臓器に症状があったのかをみてみましょう。
 A群:壊死性筋膜炎(41%)、蜂窩織炎(25%)、感染臓器不明の菌血症(13%)
 B群:感染臓器不明の菌血症(45%)、肺炎および肺化膿(かのう)症(16%)、蜂窩織炎(13%)、髄膜炎(8%)
 C+G群:蜂窩織炎(43%)、壊死性筋膜炎(20%)、感染臓器不明の菌血症(25%)」

殺虫剤に強い個体がある「ネッタイシマカ」水際対策へ…感染症研、遺伝子解析し越境ルート特定図る
https://www.yomiuri.co.jp/science/20240420-OYT1T50144/
*「国立感染症研究所は5月にも、東南アジアの8か国・地域で、デング熱などの熱帯感染症を媒介する蚊「ネッタイシマカ」の大規模な遺伝子解析調査に乗り出す。ネッタイシマカは、遺伝子変異で殺虫剤に強い耐性を持った個体が出現している。日本では航空機に紛れ込んで見つかるケースが相次いでいるため、感染研は今回の調査で生息域などを解明し、今後の水際対策に生かす考えだ。
 ネッタイシマカは、台湾南部を北限として、東南アジア、中南米などに生息するヤブ蚊の一種。高熱や頭痛を引き起こすデング熱やジカ熱を媒介する。特にデング熱には有効な治療薬がなく、世界の死者は年間で推計約2万人に上る。
 感染研はこれまでベトナム、カンボジアの都市部で採集したネッタイシマカの遺伝子を解析し、標準的な殺虫剤成分ペルメトリンが効かない「スーパー耐性蚊」が確認されたとして2022年に論文で報告した。
 今回の調査は両国にタイ、マレーシア、シンガポール、ラオス、インドネシア、台湾を加えた計8か国・地域の国立研究所や大学と連携する予定だ。数百か所で計1万匹を目標に捕獲してもらい、感染研でゲノム(遺伝情報)を解析する。その上でスーパー耐性蚊の生息域の広がりや生殖能力などを把握し、国や地域別の遺伝情報の差を解明して越境ルートの特定を目指す。」

マダニ感染症で宮崎県日南市の70歳代女性が死亡…発症前に庭仕事、かまれた痕 
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20240420-OYTNT50062/
*「県薬務感染症対策課によると、女性は体調不良を訴え、4月6日に入院。9日にSFTSが判明し、その後に死亡した。女性は発症前に庭仕事を行っていて、ダニにかまれた痕が確認されたという。[PR]県は農作業や庭仕事、野外レジャーの際は肌の露出を減らし、マダニへの有効成分を含む虫よけスプレーを使用するよう呼び掛けている。」

海外       

4)対策関連
国内      
「日本版CDC」25年春設立決定 理事長選びが信頼性左右 
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA188XV0Y4A410C2000000/
*「厚生労働省は設立時期の決定を受け理事長の人選に入る。機構は政府が全額出資する特殊法人で、厚労相が理事長を任命する。専門性や国際性に加え、国民への説明能力や中立性が求められる。
新型コロナ禍では専門家と政府の役割分担が曖昧だった。政府との距離感を問われる場面もあった。
米国では国立アレルギー感染症研究所長を務めたファウチ氏が新型コロナ禍当初から厳しい感染対策を求めた。トランプ前大統領との対立もいとわず科学的な知見から対策を呼びかける姿勢が国民から支持を受けたとされる。
感染症対策を担う組織間の連携も必要となる。感染症危機への対応は内閣官房に23年に設置された内閣感染症危機管理統括庁が一元的に担う。一方で厚労省の感染症対策部は平時から分析や検査などを担当する。新機構は両組織と協力し、専門家の立場から知見を提供する役割を負うことになる。」
*厚労省が使いやすいからといって、どこぞの老害を据えるような再犯をしないようにしていただきたいものです。
公務員の利権を最優先するのか、国民の生命、健康を優先するのかは言うまでもありません。

感染症対策「社会・経済活動を考慮」 政府が計画改定案 
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA196NH0Z10C24A4000000/
*感染症危機、国が調整・指示=「機動的」に対策切り替え―政府行動計画、初の抜本改定へ 
https://sp.m.jiji.com/article/show/3217077
*「新たな重点項目としてワクチンや物資、水際対策などを追加した。ワクチンの製造体制を強化するため、医療機関や研究機関の連携を推進し企業の研究を支援すると唱えた。流行の初期段階でも迅速に検査できるようにすると記載した。
医療逼迫時には適時適切に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置といった強い対策をとると掲げた。検査や医療の提供体制の整備、ワクチンや治療薬の普及、社会・経済状況を見ながら感染対策を柔軟、機動的に修正すると盛り込んだ。
予防接種に伴う事務のデジタル化を推進するよう記した。国と地方自治体の連携体制の構築の重要性も説いた。
コロナ禍ではワクチンや治療薬の国内開発が遅れ、先行する海外製品の輸入に頼った経緯がある。検査体制の整備に手間取ったほか、マスクなどが不足し買い占めなどの混乱が生じた。
教訓を受け、平時から医療物資の備蓄を進め、感染拡大時には事業者に生産を要請し物資が行き渡る仕組みをつくる。
政府は次の感染症流行への対応策を進める。対策の司令塔となる「内閣感染症危機管理統括庁」や専門家組織「国立健康危機管理研究機構」の設置などを決めた。感染症拡大の際に国が地方自治体に指示する権限を与える仕組みも導入する予定だ。」

海外       

5)社会・経済関連     
<新型コロナ>将来の新感染症へ備え 板橋区、20~23年の対策を冊子に 保健所体制や経済支援など 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/322714?rct=t_news
*「新型コロナの感染拡大を受けて、区が2020年1月31日「健康危機管理対策本部」を立ち上げてから、5類感染症に移行した23年5月8日までの1193日間の全記録。保健所の体制強化や医療機関との連携、PCR検査やワクチン接種、区民や区内事業者に行った経済的支援などをデータを盛り込んで示した。
 担当者は「経験のない危機を共に乗り越えてきた区民や医療機関、民間企業の人たちに広く見てほしい」と話した。B5判、カラー全160ページ。区役所1階区政情報課で1500円で販売。区のホームページでは無料公開している。」


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