COVID-19情報:2024.01.15

皆様

本日のCOVID-19情報を共有します。

今週から通常の情報共有になります。

まず、本日の論文はJAMAより3編、Natureより1編です。

JAMAの1編目は、鎌状赤血球症(SCD: Sickle Cell Disease)患者のワクチン接種に関する集団レベルの地域研究です。COVID-19の接種完了率はSCDのある人とない人では2倍近く低くなっており、この差は特に18歳から64歳の成人において大きくなっていました。
2編目は、米国におけるCOVID-19パンデミックと死亡場所の全国的かつ継続的な影響を調査した研究です。先行研究では、COVID-19がパンデミック発生直後の終末期におけるアクセスの問題をいかに悪化させたかが示されましたが。本研究では、パンデミックに関連した死亡場所の傾向の混乱が全国的に進行しており、COVID-19に関連しない診断にも及んでいることが明らかになりました。
3編目は、医療ミスとSARS-CoV-2との類似点(共通点)と非類似点を検証することで、アヘンの蔓延、銃による暴力、気候変動、将来の病原体など、現在進行中の健康問題や新たな健康問題に適用できる教訓が明らかにすることを目的としたViewpoint論文です。事例の検証等を引用して、4つの提言をまとめています。患者安全とCOVID-19の例は、継続的な予防志向の行動や政策を動機づけるには、データとストーリーの両方を継続的に広めること、強力で一貫したリーダーシップ、そしてあめと鞭の組み合わせが必要であることを示しているとのことです。

Nature論文は、COVID-19感染後の自律神経失調に関して既知、未知の知見について論じたReview論文です。2023年末時点での、COVID後症候群患者におけるANS異常に関する文献の最新情報を提供し、ANSがPASCに共通する特徴にどのように関与しているかについての理論的展望を検証しています。

報道に関しては、「多様なコロナ後遺症 国内発生4年 不明だった実態、徐々に明らかに」、「高齢者の居場所づくり 担い手はボランティア コロナでわかったこと」、「コロナ感染で留年して東大を訴えた東大生の「その後」 裁判に負け、SNSで中傷…でも「無駄じゃなかった」」の3編が必読です。特に、3編目の東大生の留年問題に関しては、明らかに東大側の対応に問題があります。どんな医療者が入れ知恵したのかは知りませんが、「詐病」などという「詐診断」をサイト上で公開したということは、医師法にも違反しているのではと思います。私にとっては母校でもありますが、とてもガバナンスがしっかりしているとは思えません。

高橋謙造

1)論文関連      
COVID-19 Immunization Coverage Among People With Sickle Cell Disease

*鎌状赤血球症(SCD: Sickle Cell Disease)患者のワクチン接種に関する集団レベルの地域研究です。SCD患者はCOVID-19による入院および死亡のリスクが高く、COVID-19の予防接種により重症化リスクは低下するものの、研究は医療機関内に限られていました。
5歳以上の住民のCOVID-19ワクチン接種記録(2022年8月1日現在)をMichigan Care Improvement Registry(MCIR)から入手しました。SCD患者はMichigan Sickle Cell Data Collection (MiSCDC)プログラムとのリンクにより特定されました。STROBE報告ガイドラインに準拠して報告されています。
研究アウトカムはCOVID-19一次予防接種シリーズの完了でした。Ad26.COV2.S(Janssen)またはmRNA-1273(Moderna)またはBNT162b2(Pfizer/BioNTech)、あるいはその他のCOVID-19ワクチンの接種を1回以上完了したSCDの有無にかかわらない住民の割合を、全体および年齢層別に算出しました。分母はMiSCDC(SCD群あり)および2019年米国国勢調査(SCD群なし)からとしました。人種および民族のデータはMCIRでは過少報告であるため、本分析には含めていません。
相対リスク(RR)およびBreslow-Day検定による割合の比較にはSAS 9.4(SAS Institute Inc)を使用しました。
SCD患者3,424人(女性1997人[58.3%]、男性1427人[41.7%]、18-64歳2489人[72.7%])、SCDでない人9,416,991人(女性4789163人[50.9%]、男性4627828人[49.1%]、18-64歳607534人[64.5%])。SCD患者のCOVID-19予防接種率は33.5%で、SCDでない人の61.3%のほぼ半分でした(RR, 0.55; 95%CI,0.52-0.57)。
SCDのある人(範囲:17%-74%)、ない人(範囲:25%-87%)は、年齢とともに予防接種の完了率が上昇していました。年齢群別の相対リスクは、5~11歳が0.68(95%CI、0.55-0.84)、12~17歳が0.75(95%CI、0.64-0.87)、18~64歳が0.58(95%CI、0.55-0.61)、65歳以上が0.84(95%CI、0.75-0.94)でした。完遂とSCDの状態(有 vs 無)との関連は、年齢群間で有意に異なっていました(RR、0.68 vs 0.75 vs 0.58 vs 0.84;P<0.001)。
この集団レベルの研究において、COVID-19の接種完了率はSCDのある人とない人では2倍近く低くなっており、この差は特に18歳から64歳の成人において大きくなっていました。これらの結果は、SCD患者の半数以下しか予防接種を完了していないという医療システムベースの研究結果と一致していました。SCDコミュニティにおけるCOVID-19予防接種完了率の低さにしばしば関連する理由として、誤った情報や不信感が挙げられます。
この研究にはいくつかの限界があります。第一に、5歳から12歳までのワクチンが承認された直後に開始されたため、このグループでの予防接種を受ける時間が限られていること。第二に、予防接種のスケジュール規則(例えば、最短間隔)を考慮しなかったため、調査集団全体の予防接種率が過大評価された可能性があります。第三に、MiSCDCは複数のデータソースを用いて、有効な方法でSCD症例を同定しています。しかし、ミシガン州外で生まれた SCD 患者や医療サービスを利用していない SCD 患者が除外されたため、SCD 患者の予防接種率が過大評価された可能性があります。第四に、本研究は人種的、民族的に多様な州で行われ、SCD患者の割合も平均的であったものの、COVID-19に関連する政策や認識が異なる州では結果が一般化できない可能性があります。
今後の研究では、SCD患者とその介護者におけるCOVID-19ワクチンに関する見解を含めるべきです。そのような研究の結果は、予防接種率を高め、このハイリスク集団におけるCOVID-19に関連した罹患率や死亡率のリスクを減らすための的を絞った介入に役立つかもしれないとのことです。

Place of Death Before and During the COVID-19 Pandemic

*米国におけるCOVID-19パンデミックと死亡場所の全国的かつ継続的な影響を調査した研究です。
本研究は、Strengthening the Reporting of Observational Studies in Epidemiology(STROBE)報告ガイドラインに従いました。
全米を代表する米国疾病予防管理センター(CDC)のWide-ranging Online Data for Epidemiologic Research(WONDER)データベースから死亡率および死亡場所を検索しました。死亡場所は、病院、自宅、介護施設、ホスピス施設、その他(例:死亡場所不明)を含むCDC WONDER内のあらかじめ指定された変数定義を用いて記録しています。
パンデミックは相対リスク(RR)として定量化され、COVID-19パンデミックの発症前後で特定の場所での死亡リスクを比較しました。根本的な時間傾向を考慮するため、2017年3月から2020年3月までのデータを用いてCOVID-19前のモデルを、2020年3月から2023年3月までのデータを用いてCOVID-19後のモデルを構築し、区分OLS線形回帰を構築しました。当面の混乱と進行中の混乱の両方を近似するため、RRは2020年3月と2023年3月に計算し、すべての統計検定は有意水準P < .05の両側検定としました。
この質改善研究では、2010年1月から2023年6月までの3,800,000人の死亡(女性18 700,000人[48.7%]、男性19,600,000人[51.3%]、65歳以上21,200,000人[73.4%]、黒人4,700,000人[12.2%]、白人32,300,000人[84.4%])を調査し、そのうちCOVID-19に起因する死亡は1,000,000人でした。COVID-19パンデミックの開始時(すなわち2020年3月)、院内死亡率は11%増加し(RR、1.11;95%CI、1.05-1.17)、COVID-19以外の院内死亡率は13%減少しました(RR、0.87;95%CI、0.82-0.93)。非COVID-19による在宅死亡は19%増加し(RR、1.19;95%CI、1.13-1.26)、看護施設での非COVID-19による死亡は13%減少し(RR、0.87;95%CI、0.81-0.94)、ホスピス施設内での非COVID-19による死亡は22%減少しました(RR、0.78;95%CI、0.70-0.88)。
パンデミック開始3年後(すなわち2023年3月)、COVID-19以前のモデルを用いた予測と比較した場合、院内死亡率の増加は変わらず(RR、1.11;95%CI、1.05-1.17)、一方、非COVID-19診断の院内死亡率は有意ではない増加(RR、1.05;95%CI、0.99-1.11)を示しました。非COVID-19の在宅死亡率は流行前の傾向と比較して有意に上昇したままですが(RR、1.06;95%CI、1.00-1.11)、看護施設およびホスピス施設内での非COVID-19死亡率は有意に低下したままでした(看護施設: RR、0.83;95%CI、0.77-0.90;ホスピス施設: RR、0.84;95%CI、0.75-0.94)。
先行研究では、COVID-19がパンデミック発生直後の終末期におけるアクセスの問題をいかに悪化させたかが示されました。例えば、ワシントン州のメディケイド患者は、病院で死亡するか、ホスピスサービスを受けずに死亡する可能性が高くなっていました。本研究では、パンデミックに関連した死亡場所の傾向の混乱は、全国的に進行しており、COVID-19に関連しない診断にも及んでいることが明らかになりました。今回の研究は、CDC WONDERデータベース内の死亡場所変数の分類が不完全であるため、対応への補助を受けている施設をどのように分類すべきかがあいまいであるなど、限界があります。さらに、ホスピス施設利用の変化は、ホスピスケア全体のごく一部しか反映していませんでした。
パンデミックは終末期医療を逼迫させましたが、同時にホスピスの質に関する問題や、未公開株によって買収された営利目的のホスピスに対する規制など、以前から懸念されていた問題とも重なっていました。

COVID-19 and Patient Safety—Lessons From 2 Efforts to Keep People Safe

*医療ミスとSARS-CoV-2との類似点(共通点)と非類似点を検証することで、アヘンの蔓延、銃による暴力、気候変動、将来の病原体など、現在進行中の健康問題や新たな健康問題に適用できる教訓が明らかにすることを目的としたViewpoint論文です。事例の検証等を引用して、4つの提言をまとめています。
◯一般市民、専門家、政策立案者のための活発なプラットフォームの構築
・複雑な問題に取り組むための資源を集めるには、利害関係者が問題の重大性を理解する必要があります。
・1990年代後半以前は、医療ミスは複雑な医療の必然的な副産物と見なされていましたが、この問題に取り組むために、当時まだ発展途上であった患者安全分野の指導者たちは、宿命論的な受け入れ方を克服する必要性を認識していました。
・最小化の原因が何であれ、医療危機において変革のための活発な基盤を作るには、統計を十分に活用することが必要です。
・患者安全とCOVID-19の両方において、これは同じ戦略、すなわち類推と人間味のあるストーリーを用いて達成されました。1999年に発表された報告書『To Err Is Human』の著者は、10年前の有害事象に関する調査データを再利用して、米国における医療ミスによる年間死亡者数を推定し、そのプラットフォームを構築し、「医療ミスで亡くなる人の数は、毎日ジャンボジェット機が墜落するのに匹敵する」と伝えました。COVID-19の初期には、同様の例え(フットボールスタジアム1個分の死者数に匹敵する)が不信と自己満足を克服し、必要な注目を集めるのに役立ちました。
・被害と死亡の統計で犠牲者の総数を列挙することは不可欠ですが、大きな死亡者数は圧倒され、感覚を麻痺させることさえあります。このような無関心と闘うためには、個人的な体験談を通して脅威の犠牲を人間的なものにすることが不可欠です。同様に、COVID-19パンデミックの初期、ニューヨーク・タイムズ紙は「忘れられない顔」と題する記事を掲載し、「増え続ける死者の数に顔と名前をつけることで、COVID-19の人的被害を伝える」ことを目的としました。
◯問題を理解するための適切なメンタル・モデルの構築
・複雑な問題を理解するためには、多くの場合、新しい、あるいは再利用された認知アーキテクチャが必要です。何十年もの間、医療過誤は人間個人の過失の結果であり、過失があるとみなされた臨床医を辱めたり訴えたりすることで対処するのが最善であるという考え方が支配的でした。患者安全、航空や原子力など他の産業における過誤を研究した専門家、特に英国の心理学者ジェームズ・リーズンの研究から導き出された新しいパラダイム、今では有名なスイスチーズ・モデルにより、進歩がもたらされました。いわゆる組織事故は、不完全な保護層(スイスチーズのスライス)が並んでいるときに典型的に発生し、必然的なヒューマンエラーがそれをすり抜け、危害をもたらすというものです。システム思考とスイスチーズモデルは、今日でも患者安全のための支配的なパラダイムです。
COVID-19のレンダリングでは、スイスチーズの層は、それぞれが重症のCOVID-19にかかる確率を減少させる様々な慣行(例えば、マスキング、検査、ワクチン、換気)となりました。どの層も安全性を保証するものではありませんが、それらを組み合わせることで強固な防御につながります。この概念は、効果的なCOVID-19予防活動と政策の基礎となり、将来の医療脅威に対処する際に役立つことは間違いありません。
◯リスク評価と一貫した実施の課題
・医療の脅威による危害を防止する上で克服すべき主な課題のひとつは、人間は常にリスクを正確に評価したり、予測不可能な事態に対処したりすることができないということです。医療過誤やCOVID-19だけでなく、他の無数の健康脅威の場合、関連するリスクはしばしば確率的で時間差があります。リスクが予測不可能で、予防戦略が明白で即効性のある結果をもたらさない場合、人々の安全な実践に一貫して取り組む意欲は低下します。
・例えば、患者安全においては、処置前のタイムアウトや手指衛生を一貫して行わなかったとしても、通常は危害につながることはなく、危害が生じたとしても、その危害は数時間から数日後に顕在化することがあります。このように、確実で即座に悪い結果をもたらすことがないため、リスクを低減する行動の一貫した適用を促進する取り組みが難しいのです。私たちは、このような活動の価値を教育し、プロフェッショナリズムをアピールし、アカウンタビリティ(説明責任)を果たす手段(監査、地元や公的機関への報告、インセンティブ、罰則など)を制定することで、このような活動を促進するしかありません。
・同様に、ある活動からCOVID-19のリスクを推定することは非常に難しくなっており、COVID-19の発症につながる曝露は数日間は現れないため、自己判断に任せるしかなく、安全ガイドラインに従うことを選択する人もいれば、従わない人もいます。これはパンデミック(世界的大流行)においては危険な状況です。義務化は適切な対応のように思われるかもしれませんが、米国のような個人主義の伝統が強い国では、義務化の押し付けは必然的に強い反発を生みます。COVID-19の重要な教訓は、将来の健康危機において、指導者は脅威の大きさと予防活動の利点をよりよく伝える必要があるということです。
◯警戒の維持と後退の防止
・重大な脅威と闘うために安全な行動を実施することに成功しても、その行動を人々や組織に継続させることは、時間の経過とともに難しくなります。患者安全とCOVID-19が示しているように、この漂流傾向への対処は、専門家と一般人の環境では異なります。
・ほとんどの患者安全活動は、専門家の行動と医療機関の方針と実践に焦点を当てているため、リスク低減活動を標準的な行動と実践に組み込むことは可能かもしれません。しかし、このような比較的管理された環境であっても、近年、後退の強いエビデンスが見られ、安全分野の再活性化が求められています。それでも、COVID-19のように、対象集団が専門家ではなく一般集団である場合、予防活動の順守を維持することはさらに難しくなります。予想通り、COVID-19の予防活動(マスキングやワクチン接種など)の遵守率は低下しています。しかし、根本的なリスクが比較的安定している医療過誤とは異なり、COVID-19では、脅威レベルの大幅な低下に伴って(そして部分的に説明されて)後退しています。その結果、感染の潜在的な害(例えばLong-COVIDのリスク)を軽視したり、予防活動の価値に関する誤った情報が広まったりすることで、多くの人々が現在の、確かに低いリスクレベルを受け入れているのです。
◯結論:患者安全とCOVID-19の例は、継続的な予防志向の行動や政策を動機づけるには、データとストーリーの両方を継続的に広めること、強力で一貫したリーダーシップ、そしてあめと鞭の組み合わせが必要であることを示しているとのことです。

Nature
Post-COVID dysautonomias: what we know and (mainly) what we don’t know

*COVID-19感染後の自律神経失調に関して既知、未知の知見について論じたReview論文です。
これらは、Long COVID、ポストCOVID症候群(post-COVID syndrome)、SARS-CoV-2感染急性後遺症(PASC: Post-acute sequelae of SARS-CoV-2 infection )などと呼ばれるものです。
PASCは様々な形で現れ、あらゆる臓器に影響を及ぼし、その症状は自律神経系(ANS: Autonomic nervous system)の関与を示唆しています。
これまでのところ、PASC患者におけるANSの調節障害に関する研究は、主に観察的、記述的なものであり、症状のインベントリーや、客観的ではあるが間接的な心血管系の機能測定に基づいており、ANSの副腎髄質、ホルモン、腸神経の構成要素にはほとんど注意が払われていません。
このような研究では、自律神経機能障害の症候学的性質は考慮されていません。2023年末時点での、COVID後症候群患者におけるANS異常に関する文献の最新情報を提供し、ANSがPASCに共通する特徴にどのように関与しているかについての理論的展望を検証しています。以下がポイントになります。
・post-COVID syndromeの多様な性質は、ホメオスタシスにおいて多くの役割を果たし、本質的にすべてのストレス因子に対する反応を調整する自律神経系(ANS)の関与を示唆しています。
・ANSの概念は、神経内分泌系、免疫系、炎症系、および中枢自律神経ネットワークが発見される前に広められたものであり、拡張自律神経系理論にはpost-COVID syndromeの知見を取り込んだ更新が必要です。
・COVID後の自律神経失調症に関する論文類は、自律神経機能障害の症候性を考慮しておらず、症状目録や客観的だが間接的な心血管系の測定に基づいた観察的・記述的なものが多く、ANSのホルモンや腸の構成要素は一般的に無視されてきました。
・post-COVID syndromeのような多系統の調節障害を理解するには、自律神経系を介し、ホメオスタシスとアロスタシスを決定する、フィードバック制御された可塑的ネットワークを考慮する方向にシフトする必要があるとのことです。

2) 治療薬、 ワクチン関連       
国内     

海外     

治療薬      
米製薬企業、新薬開発で明暗 コロナ「勝ち組」は苦境:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN09D970Z00C24A1000000/
*「米製薬大手の業績や株価は、新薬の開発で明暗が大きく分かれている。新型コロナウイルスのワクチン開発で「勝ち組」とされた米ファイザーがヒット薬不在で低調な一方、肥満症薬が米当局に承認された米イーライ・リリーは市場の評価が高く、株価が急騰している。
「2023年は我々にとって悪い年だった」。米製薬大手ファイザーのアルバート・ブーラ最高経営責任者(CEO)は「JPモルガン・ヘルスケアカンファレンス」でこう認めた。コロナ関連の販売急減とヒット薬の不在で、2023年7〜9月期は約24億ドル(約3500億円)の最終赤字に。人員削減など40億ドル規模のコスト削減に取り組む。」

3)診断・検査、サーベイランス関連
変異株     

Long COVID
多様なコロナ後遺症 国内発生4年 不明だった実態、徐々に明らかに
https://www.asahi.com/articles/ASS1D7JW4RDVUTFL01W.html
*「米エール大の岩崎明子教授(免疫学)らの研究チームは昨年9月、免疫機能に関わる物質に変化が生じていたとする論文を英科学誌ネイチャーに発表した。後遺症が1年以上続いている人の血液成分を解析したところ、ストレスがかかるときに増えるホルモン「コルチゾール」の量が半減していることがわかった。コルチゾールが減ると、低血糖や低血圧になり、集中力の低下や疲労感・倦怠(けんたい)感につながることが知られている。
 また、免疫を担うリンパ球の一種で、細菌やウイルスなどの病原体に対する抗体をつくる「B細胞」や、ウイルスなど体内の異物を排除する「T細胞」の増加や、体内に潜む「ヘルペスウイルス」の再活性化も確認された。
 研究成果は、コルチゾールの減少が一部の症状の一因となっていることや、コロナウイルスの体内での残存やヘルペスウイルスがコロナ後遺症の引き金になっている可能性を示している。
 岩崎さんは「後遺症は心理的な問題ではなく、身体的に変化が起きていることが明らかになった」と話す。
 岩崎さんによると、後遺症患者の血液データをAI(人工知能)が分析することで、94%の精度で患者を見つけることができるといい、「診断のバイオマーカー(指標)開発や、治療法の治験につなげていきたい」とする。
 また、コロナ後遺症により、認知機能障害やアルツハイマー病のリスクが上がるという報告も海外で相次いでいる。厚生労働省の診療の手引の編集委員会メンバーの下畑享良・岐阜大教授(脳神経内科)は「新型コロナは認知症の新たな危険因子。脳にも影響を与えると知ってほしい」と警鐘を鳴らす。」

国内        
新型コロナ6週連続で増加 年末分、被災地で拡大懸念 厚労省 
https://www.sankei.com/article/20240110-H7ZC3QVRLJMELAM626HHTWMOGA/
*「今回の集計期間後に発生した能登半島地震の影響で、石川県の一部の報告は含まれていない。被災地では、新型コロナの他、インフルエンザ、ノロウイルスの感染報告があり、拡大が懸念されている。厚労省は、避難所での感染対策として、マスク着用や手洗い、換気などを呼びかけている。
都道府県別で1医療機関当たりの感染者が多かったのは北海道12・28人、長野10・65人、愛知9・19人。少なかったのは沖縄3・02人、神奈川3・11人、大阪3・38人など。石川は5・42人で、前週比1・15倍だった。」

海外       

4)対策関連
国内      
コロナ4年「次の危機に備え」 林官房長官 
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024011500825&g=cov
*「林芳正官房長官は15日の記者会見で、新型コロナウイルスの国内初確認から4年が経過したことを受け、「教訓、経験も踏まえて内閣感染症危機管理統括庁を中心に次の感染症危機に備えたい」と述べた。
 林氏は「能登半島地震に伴う避難所生活でも感染症対策は重要だ」と指摘。消毒や換気の徹底を呼び掛けた。」

避難所の新型コロナ、どう対処? 珠洲で赤十字救護班が巡回診療
https://www.asahi.com/articles/ASS1D7JS0S1DPISC01C.html
*「巡回初日、90代の夫婦と娘2人の4人家族のうち1人が新型コロナの症状を訴えた。多田さんは「インフルエンザの患者もいたが、ほとんどは新型コロナ患者。家族単位、部屋単位で広がる感染者をどう隔離するかが課題だった」と振り返る。
 この家族は教室から放送室に移ってもらったという。感染者だけ車の中にとどまってもらうなど様々な隔離策を感染症の専門家チームと連携し、検討した。避難所によっては、段ボールで仕切る方法が取られた。
 3日間で約40人を診療。けがの処置や薬の処方のほか、高熱で低酸素状態に陥った90代男性の救急搬送もあった。」

海外       

5)社会・経済関連     
高齢者の居場所づくり 担い手はボランティア コロナでわかったこと
https://www.asahi.com/articles/ASS1C639NS13TOLB00D.html
*「長崎市東山町の斜面地中腹にある、大浦保育園。昨年12月下旬の寒空の下、集まってきたのは高齢者だ。「寒かね」「元気しとった?」
 毎週火曜日、保育園の一室は地域住民の交流の場になる。高齢者の健康づくりのため、ボランティアで運営している「サン賛サロン」だ。利用者は60代から95歳まで、約70人。口コミで広がり、周辺地区に住む人も集まるようになった。
 サロンは簡単な運動から始まる。足の指で手ぬぐいをつかんで持ち上げたり、お手玉を弾ませたり。その表情は真剣そのもの。この日の後半は、園を利用する放課後児童クラブ(学童保育)の小学生50人もレクリエーションに参加。高齢者からは笑みがこぼれ、あちこちで大きな笑い声が上がった。」

コロナ感染で留年して東大を訴えた東大生の「その後」 裁判に負け、SNSで中傷…でも「無駄じゃなかった」 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/302653?rct=coronavirus
*「一連の経緯について、こちら特報部が報道した3日後の8月4日、杉浦さんは友人や教養学部の学生自治会長とともに、記者会見に踏み切った。
 会見の少し前、教養学部はコロナに感染した学生が定期試験を受けられなかった場合の代替措置を廃止していた。「自分への対応に納得できなかっただけでなく、学生に寄り添わない東大の姿勢に問題があると感じた」
 「将来を棒に振る」という周りの意見もあって悩んだが、会見では実名と顔を出した。「声を上げるなら、覚悟を持って、正々堂々とやるべきだと決断した」
 一大決心に対し、東大の反応は歩み寄りに程遠かった。翌日、ウェブサイトに掲載した反論文書で成績評価は正当だと強調。杉浦さんの症状を「重篤であったとは認めがたい」と断じた。杉浦さんは今も憤る。「診断書と異なる大学の見解が事実のように広がり、交流サイト(SNS)で『うそつき』と中傷を受けた」
 同月19日、杉浦さんは東大を相手取り、留年処分の撤回などを求めて提訴。サイトに出した文書で詐病扱いされ、精神的苦痛を被ったなどとして、100万円の損害賠償も請求した。」
*当事者の杉浦くんとは実際に感染時の状況について話を聞きましたが、とても詐病と言えるような状況ではありませんでした。
どんな医療者が入れ知恵したのかは知りませんが、「詐病」などという「診断」をサイト上で公開したということは、医師法にも違反しているのではと思います。

職場でコロナ感染「労災認定は難関」の大うそ 勤務先に協力渋られ「泣き寝入り」も…実際の認定率は? 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/302396?rct=coronavirus
*「過労死弁護団全国連絡会議幹事長の玉木一成弁護士は「労災を申請すると労基署が調査に入り、(何らかの)法律違反が見つかる可能性があるため、事業主側は嫌がる。症状が重くないと、申請をあきらめる人は多いと思う」と説明。特定社会保険労務士の藤浦隆英氏は「感染対策の不備の指摘や対外的なイメージ悪化を懸念するのではないか」との見方を示す。」

広がる「眠育」コロナ禍経て注目 早寝で生活習慣改善:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE18A300Y3A011C2000000/
*「子どもに睡眠の大切さを教える「睡眠教育(眠育)」に取り組む小中学校が広がっている。新型コロナウイルス禍で生活リズムを崩した子どもが増え、心身の健康増進を図るために注目された。早寝する児童や生徒が増えたケースもあり、生活習慣の改善や不登校の減少といった効果が期待されている。
「寝る前にスマートフォンを見ると良い睡眠が取れなくなります」。2023年11月下旬、福岡県春日市の春日東中学校で、筑紫女学園大の大西良准教授が生徒約600人に注意を呼びかけた。中高生は最低7時間の睡眠が必要で、平日と休日で睡眠時間をずらさないことなどをポイントとして伝えた。」

23年の倒産件数、4年ぶり8000件超…中小向け「ゼロゼロ融資」の返済本格化が影響
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20240115-OYT1T50160/
*「東京商工リサーチは15日、2023年の全国倒産件数が前年比35%増の8690件だったと発表した。増加は2年連続で、15年以来、8年ぶりの高水準になった。コロナ禍を受けた実質無利子・無担保の中小企業向け融資「ゼロゼロ融資」の返済が本格化したことが響いた。」

中国のビザ免除、日本置き去り 「相互主義」の壁厚く:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM21BB60R21C23A2000000/
*「中国が日本人に対する短期滞在ビザ(査証)の免除措置を再開しない状況が続いている。新型コロナウイルスを封じ込める「ゼロコロナ政策」を2023年1月に終え、免除対象国を広げてきたものの、日本は含まれていない。中国人の訪日にも同様に免除する「相互主義」を要求していることが障壁になっている。」

千葉県庁近くに「接待部屋」国道工事贈収賄、コロナ後公共事業依存か
https://www.asahi.com/articles/ASS1D6JDJS1DUDCB00B.html

コロナ後、人口減、教員不足、どう向き合う 古田・岐阜知事に聞く
https://www.asahi.com/articles/ASS1D7JZJRDXOHGB006.html


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?