THE SECOND 2024の話

◾️大会全体の傾向と特徴が見えてきた
2大会を終えて。
「トーナメント制」「100名の客採点」という特徴的なルールにもとづくこのTHE SECONDという賞レースの傾向が見えてきた気がします。

まず、優勝の要件。
地味だけど台本と技術、特に台本上のボケやツッコミのワードがしっかりしているということだと改めて感じました。
6分×3本という長い持ち時間を観客に飽きさせずに勝ち切るためには、とにかく、ひとボケひとボケのワードがシンプルに強くなければダメなんだろうな、と。
派手なキャラとか熱いストーリーの勢いだけでは持っていけない世界というか。優勝しても、ゴールデンタイムのTVバラエティにバンバン出るというよりは、劇場で箔がつくみたいなメリットがデカくなってくる賞レースなんだろうなと思います。

次に、目の前の1試合で高得点を獲るための条件。
これは、客票を獲るために、振りや仕掛けに時間を使いすぎずに、細かく笑いを重ねていくこと。
やっぱり、序盤で観客に「大丈夫か?」って思わせてしまうと厳しいと感じました。(去年のギャロップの決勝も典型的な"タメ命"のネタでしたが、マシンガンズのガス欠に救われた感がありました)

最後に、ベスト8に残るための条件。
これはもう「前回残ってないこと」です。新しい物好きというか、判官贔屓に近いファン心理ですね。
今年は連続出場が金属バットだけでしたが、根強いコアファンを抱える金属バットが特殊だっただけとも言えます。

◾️コンビごとの感想
・ガクテンソク
1番ストレートに面白いコンビだと思います。こういうコンビが優勝できる大会だということが分かったことが、今大会の最大の発見であり、喜びでした。
ここ数年、こういう上方の正統派をフリにして東京地下の奇天烈なコンビを持ち上げる内輪っぽいノリがどーも苦手だったので、この結果は嬉しいです。

・ザ・パンチ
営業っぽい空気感で、明るく楽しく笑わせることに関しては最高峰のコンビだと思います。
ただ、前回のマシンガンズ同様、この手のコンビは決勝でガス欠を起こすのがパターン化されてしまった感がありますね。さすがに観客の飽きがきてしまうのかと…準優勝が最高到達点なんかなと感じました。

・金属バット
賞レースにおける彼らの明確な弱点が2つあって、「緊張してセリフをミス」「ネタ選択をミス」です。
去年は前者、今年は後者が響いた感がありました。
僕は大好きですが、彼らのネタはテーマがハッキリしている方が幅広くウケが良い気がします。
THE SECONDにエントリーしている漫才師の中では、金属バットが1〜2位を争うくらい好きなんですが…

・タモンズ
台本も技術も実にしっかりしていて、現に準決勝まで進んでいるにもかかわらず、正直さほど印象には残りませんでした。
もうちょっとボケのキャラ、特に口調の作り物感が抑えられたら、より良かったのかもしれません。

・ハンジロウ
上手くて幅も広い、優秀なタイプの漫才だと思いましたが、ボケの発想がもう一つ深いところに来なかった気がしました。設定の良さを、言葉の面白さが超えてこなかったというか。
あとは、色々できることを見せようと、欲張りすぎた感もあります。コンカフェのコントが軸なら、最初のしゃべくり部分は無くてもよかった気がしますし、最後にナゲットでつなげるところも、ちょっと無理矢理感があった印象です。

・ラフ次元
最高でした。こういうギミックの漫才は大好きです。
タメの段階で弱目のボケを連発せざるを得ないスタイルのネタなので、その時点で観客が離れてしまったんですかね。
でも、彼らはもっと分かりやすく仕掛けが凝った、賞レースでも勝てるネタはたくさん持ってるはずなので、次回に期待です。
あとはツッコミのリアクションがちょっと軽かったかな。有田さんの「知らないふりしてリアクションしてますもんねw」的なコメント、最初はちょっと酷いなと思ったけど、今にして思えば、あれは「あのくだりはもうちょい自然にやんなよ」という評価だったのかなと思い直しました。

・ななまがり
めちゃくちゃ面白かったですけどね。
こういう発想勝負の大喜利漫才って、どのボケが誰にハマるか分からん世界なので、みんなにとって尻上がりに盛り上がっていく構成にしづらいんでしょうか。
かつ、当たり外れの激しいボケなので、どれかのボケがハマっても、次のボケでスッと冷めちゃうみたいなことがあるのかも。
結果的に、1点の数の勝負に負けた感があります。

・タイムマシーン3号
もう完全な好みの世界なのかもしれませんが、ザ・パンチに劣っている点は何もないように見えました。ザ・パンチの分かりやすい明るさに、さらに知恵と工夫が乗っかってる感。
観客票特有の、売れてる方に対する逆風はあったと思います。あとは、ワードが強いコンビって、全然そんなつもりなくてもドヤ感をこっちが勝手に感じてしまうことはあるかも。

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