AT18所感

初めに

 Platinum Sensitivity. AT(Alliance tournament)18のチームのキャプテン、Kentlarquisと申します。ここでは、EVE Onlineの世界大会こと今年のATXVIIIで我々PSチームがどんなことを考えながら練習し、試合に臨んだのかを記していきます。今回、我々はBest6という過去最高の好成績を残しました。この好成績を残せたのは、チームメンバーの頑張りはもちろん、多額のisk寄付をしてくれた皆様や、応援してくれたEVE日本人コミュニティの皆様のおかげです。皆様に多大なる感謝をここに示します。
 応援してくれた皆様や、頑張ってきた選手の皆に対して「Best6いけました、ありがとう!」だけで済ますのもなんだかなあと思ったので、今年の感想やメタについて少し語っていきます。

5th!!!

練習段階


 夏にATの告知が出て、すぐに出場選手を募った。まず初めに声をかけたのが、Mark Bridgesだ。彼は我々チームのエースパイロットで、絶対に必要な存在だった。普段はEUTZのコーポで活動しているMark氏だが、そちらのコーポのAT練習に出るのは流石にTZが厳しいということで、傭兵枠の選手として去年から我々のチームで活動してくれている。去年からアライアンス外の人間を傭兵として選手登録できるようになったことによる恩恵を最大限に受け取れているのは我々のチームなんじゃないかと思う。
 去年、FITやコンプを考えてくれていた参謀役のneibis氏がEVEを休止してしまい、チームとしてはかなりの痛手を追っていた。(neibisさん戻ってきて)
 コンプやFITを考えることができる人間が減ったが、コンプを考えることができる数少ない貴重な人材であるMarkさんが去年に引き続き参加してくれたので致命傷は避けることが来た。私はノリとフィーリングでFITとコンプを作ってしまうので、理論的にコンプとFITを作ってくれる人材は必ず必要だったのだ。
 そこに選手を探し出してくれるリクルート担当のNightcap氏とコンプ表や出席表を作成してくれたIT担当のBart氏を加えたのが今年のPSチームの幹部メンバーとなった。
 今年からAT初参加のメンバーも多数いて、去年は参加していたが今年は不参加のベテランメンバーも数名いたが、悪いことばかりじゃなかった。去年Best16の成績、そしてAT17直前に行われた、AT17とほぼ同様のルールによるAT17Open Seriesトーナメントで10勝3敗で優勝するというかなりの好成績を残したため、(AUTZに限り)スクリム相手には困らなかった。(AUTZにほぼ選択肢が無いという説はある)
 去年に引き続きEsports petopiaチームと、今年から新たにPolaris Mercenary Allianceチーム、週末の朝方にはUSTZのRote Kapelleがスクリムパートナーになった。USTZのチームと定期的にスクリムが組めるようになったのは凄くありがたいことで、AUTZチームのメタはかなり独特なため、AUTZのスクリムパートナーのみだと一般的なメタを研究できない可能性が高かった。本音を言えばEUTZのチームとスクリムしたかったが、確実に人が集まらなさそうだったので諦めた。去年EUTZのチームと深夜の3時4時にスクリムしたことがあったけど、滅茶苦茶しんどかったから今年はやめようとメンバーの皆が口を揃えて言った。当然である。
 Ncoinチームともスクリムパートナーになれそうではあったが、週末の土日の朝をどちらも埋めるのは流石に厳しかったのでやめた。
スクリムパートナーに選んだ3チームはどれも良いパイロットを抱えていて、スクリムは充実したものになった。

 今年は1つのコンプに同じ船を複数選択するとポイントのペナルティが発生するようになり、TD,GDのT2が禁止された代わりにスクリプトが許可された。
 去年猛威を振るったBarghestフラッグを用いたミサイルKiteコンプはこれにより弱体化した。オーソラスやジャックドーを3隻スタックするとポイントのスタッキングペナルティがとんでもないことになり、他の船のポイントを下げざるを得なくなってしまう。船の選択肢がかなり狭められたのだ。とはいえ、ミサイルカイトコンプがまったく使いものにならなくなったわけではなく、スクリム当初ではbarghest抜きのcerberusとorthrus、jackdowを詰め込んだラピッドライトミサイルコンプはかなり良い勝率を誇った。しかしこのコンプはbarghest入りのミサイルカイトコンプに勝てないため相手のフラッグがbarghest以外でないと使えないこと、本番直前になってcerberusがナーフされたことでお蔵入りになった。
 
 当初、多くのチームが注目していたコンプはミンマターラッシュコンプだったように思う。今年はミンマター年ということでミンマター海軍艦のポイントが下がっていたので、ScytheFIをいれたミンマターラッシュは多くのチームが研究していただろう。どのコンプを考える際にもまず、ラッシュに勝てるコンプである必要があった。
 我々が強いと思ったのはロングレンジミディアムタレットを撃ちまくるBCコンプだった。流行りのラッシュに勝てることと、去年はミサイルカイトに勝てなかったこのコンプは今年の同型艦のスタッキングペナルティによってミサイルカイトが弱体化したことによって戦えるようになったと考えた。このBCコンプはスクリムで良い勝率を誇っていたが、カース入りのコントロールアーマーコンプ相手の勝率がどうにも悪かった。ここから我々はコントロールアーマーコンプを中心に研究していくことになる。
 アーマーBCにBB(ブラックバード)を詰めた新型のコンプ――去年我々が考案しAT17 Openseriesで無敗を誇った、Fujiコンプ――に関しては、BBを3隻スタックするのが難しかったため、研究を諦めた。実際は本番直前のexequrorNIのバフによって極端な弱点が少ない汎用的で強力なコンプであったことがTruthの試合から発覚したが、我々はアーマーコントロールコンプの調整に必死で、研究する余裕が無かった。


去年我々がOpenSeriesで用いたFujiコンプ
今年Truthが使用したFujiコンプ。ちなみにFujiという命名はTruthことHydraチームによるもの。

フラッグシップについて

 フラッグシップに関して、選択肢は3つあった。   barghest,vindicator,armageddonの3つだ。barghestの33kmスクラム、vindicatorの33kmウェブ、armageddonの70kmニュートの選択である。実際、今年はこの3つの船がフラッグとして圧倒的に多かった。barghestが一番人気で次にarmageddon、3番目にvindicatorの順だ。当然フラッグシップロックイン前はどのチームもフラッグの情報を秘匿していた。噂として「どこそこのチームはこれをフラッグにしたらしい」みたいな情報は入ってきてはいたが。結局、最終的に信じるのは自分の勘である。
 barghestはシールド、アーマー両用で使いやすいフラッグシップであることは分かっていた。しかし7~80点くらいのコンプは作れるけど、どうにもこれは強い!と自信を持てるコンプを作れなかった。
 armaggedonのニュートによるコントロールは非常に強力だが、armageddon自体に火力が無いことからフラッグとしての選択が躊躇われた。結果的にこれは正解でarmageddonフラッグを選択したRoteやtemplisは一度もフラッグを使わずに本戦の試合をこなした。これは恐らく、ExeqNIのバフによって強力になったBCコンプにコントロール関係なく火力で押し切られてしまうからではないかと思う。TruthのexeqNIのユーティリティHIスロットにリモートキャパシタトランスミッターが搭載してあるのを見た時に、armageddonフラッグに対する明確な解答を多くのチームが悟っただろう。
vindicatorのウェブは強力で、これに絡めとられたタックラーは死が確定する。barghestのスクラムを貰ったvengenceは生き残る可能性があるが、vindicatorのウェブを貰うと流石に生き残れない。コントロール同士の対決で有利に進むと考えたのだ。この段階でスクリムで一番勝率が高かったのがアーマーコントロールであったため、それを強化するVindicatorを選択した。この選択は悪くなかったように思う。

AT本戦

1戦目 A band a part


 1戦目の相手はA Band a part 古参のチームで、戦績こそ良くはないものの、AT参加経験が豊富なチームで油断はできなかった。このチームは我々と同様Vindicatorフラッグを選択していて、ヘビーアーマーコンプを好んで使うことが過去のATから判明していた。band a partのチームキャプテンが「1戦目さえ抜ければどうにかなる」みたいなことを言っていたらしく、恐らくVindiフラッグを用いたヘビーアーマーコンプが出てくるだろうと予想していた。そのため、トーナメントブラケットが確定した当初はヘビーアーマーコンプに強いラピッドライトカイトコンプを使おうと思っていたが、cerberusのナーフによってこのコンプが使用不可能になり、新しいカイトコンプを作る時間もなかったため、こちらもvindicatorフラッグとレシャクを積んだヘビーアーマーコンプを出した。
 想定通りに、相手はヘビーアーマーコンプを出してきて、ミラーマッチになった。ヘビーアーマー同士のミラーマッチは相当な数練習していたため負けることはないだろうと考えていて、結果はその通りになった。BSのメインDPSが敵のBSに火力を投射している間にこちらの小型艦が敵のタックラーやロジを落としていき、ロス0で勝利となった。

2戦目 Bright side of death

 2戦目はBright side of death これも経験豊富なチームで、予選でOdinに勝利してこのブラケットに進んできたチームだ。ロシア系のこのチームは確かな腕前を持っているはずだったが、彼らが本戦の初戦で使用したものはtrig艦をコアとした風変わりなヘビーアーマーコンプで、このコンプには脅威を感じなかった。trig艦自体のスペックは高いが、ポイントが重くて、非常に使いづらいものであったので、trig艦を3つも積むのはやりすぎだというのが我々の認識だった。このコンプが来てくれた方がありがたいということでラッシュやカイトに使う船をBANしておき、このTrigコアコンプを相手が出しやすいようにした。
 こちらはBS3隻のヘビーアーマーコンプで、今回も自信のあるヘビーアーマーミラーに臨んだ。敵はtrigコアアーマーコンプを出してきたため、試合内容も全てこちらの目論見通りに運んだ。

3戦目 Volta

 3戦目はVolta 去年にも3戦目であたり、敗北を喫した強豪チームだ。1,2戦目ではラッシュコンプを使っていたが、恐らくbarghestフラッグのカイトコンプを使ってくるだろうと予想していた。この試合では本来フラッグvindiとwidowを使ったとっておきのアーマーECMコントロールを使うつもりだったが、BANがきつかった。abaddon,ponti,magusがBANされ、ponti,magusがBANされたときはアーマーstorkとbifrostを使うことは考えていたが、abaddonの代用は思いつかなかった。widowコンプのポインントはかつかつで、abaddonの代用となるredeemarはabaddonよりポイントが高いのだ。abaddonと同じ19点で、abaddonと同じ役割を果たせる船がいなかった。
 結局、我々は2戦目で用いたのと同じ3BSのヘビーアーマーコンプのCDDをTD,GDを積んだアーマーstorkとbifrostに置き換えたものを出した。このコンプの懸念点は当然、アーマーstorkとbifrostだった。柔らかくなったが、代わりにMIDスロットにTD,GDを積めるからタンクするのではないかという理論だったが……タンクしなかった。CDD BANを想定してなく、テストも行っていなかったため当然だが、CDDから撃ちぬかれてリンクを失った我々の船は次々に沈んでいった。
 この敗北で痛かったのはこちらのフラッグvindiが沈んでしまったことだ。とっておきのwidowコンプもフラッグの力が無くてはパワーが半減する。今思えばabaddonのポイントでCDDをコマンドシップか何かにして、無理やりwidowを出すべきだった。


実際は75Bどころではない。WEB1本で70Bかかってるから総額は150B以上である。

4戦目 Arrival. 

 4戦目はarrival ルーザーズブラケットに放り込まれて、後がなくなった我々は、一番自信があるvindicator widowのアーマーコントロールを使い続けて行けるところまで行こうという結論になった。相手はラッシュコンプを使用してきたが、ラッシュ相手のマッチアップもかなり練習したもので、スムーズな勝利を収めた。

5戦目 Nano Fiber Tokens

 5戦目はNcoin ATの練習が始まった直ぐ後に一度だけスクリムをした相手で、去年も一度のスクリムと本戦での対戦を一度経験しているチームだった。スクリムで戦ったNcoinのコンプは良いものではなく、我々のスクリムパートナー達に比べて操船技術にも見どころはなかった。しかし、どのスクリムパートナーよりも真面目で、準備が早く、一番好感が持てるチームだった。だからこそ、スクリムの時点では見どころが無かったチームだったが、我々のどのスクリムパートナーよりも良い成績を残せたのだと思う。           armageddonNIのニュートはこちらのロジを苦しめ、widowをニュートアウトし、こちらのVCには悲鳴が飛び交っていた。vindiのアーマーが削られ、もう少しでこちらのロジが決壊するといったところで、こちらのダメージドローンが敵のロジを落とした、そこから徐々にこちらは立て直して勝利を収めることができた。

6戦目 Tuskers

 6戦目はTuskers 私はかつてここに所属していたこともあったため、彼らの操船技術の高さは良く知っていた。TD,GDのコントロールに重きを置いているチームで、TD,GDをガン積みしたNighthawkというとんでもない船を用いたアーマーbarghestコントロールを持ってきた。これに対して我々は前回、前々回の戦いで用いたものと同様のvindi widowコントロールコンプを使用した。deaconがBANされていたため、ロジはthalia2隻となり、ポイントが重くなった分、stormbringerをmoaに落とさざるを得なかった。当然ながらmoaが全くtankせずに落ちた。そこからじわじわとこちらの小型艦が落とされていき、敗北。この敗北で我々のAT18は終了した。


 今回のATで学んだことは、自信のある一つのコンプを使い続けてもある程度は勝てるということだ。しかし、TOP3等の上位を狙うなら多様なコンプを確保しておく必要がある。今回の大会での見どころの一つとしてodin対volta戦が挙げられる。ここで凄いのは戦いの内容よりも、OdinがBS4隻のtinkerコンプをvolta戦まで隠し持っていたことだ。ポイントのスタッキングペナルティが重く、BS3隻のtinkerコンプすら作るのが難しいと思っていたが、ravenを用いてBS4隻を収めたとっておきのコンプを他の戦いでは出さずにここぞというときのためにとっておいたのだろう。初戦からびびりまくってフラッグシップを全力投入し続けてきた我々に必要なのはこのような我慢と丹力なのではないか。

報酬の話


 Best6まで残った我々にはCL8隻、FG8隻の合計16隻のATシップが渡されることになりました。報酬の割り振りはおおむね確定していて、念願だった本戦出場選手全員にATシップを渡すことができるし、補欠のメンバーにも何人かATシップを渡せることになった。補欠も含めて全員渡したかったけど、流石にそこまでの数は用意出来なかったから練習への出席率や雑務を手伝った割合、貢献度なんかで決めて数人の補欠メンバーに渡すことが決まりました。
 当然、リーダーである私もATシップを受け取ることになって、資産が3~400Bほど増える予定だけど、船が増えただけでiskは増えてないのでATシップに装備させるモジュールを買うiskがありません!!来年はATシップのついでにiskも貰えるようになんないかな……
 というわけで来年もATの参加選手を募集してます!(あと寄付も)その年初参加の人でも練習の参加率と貢献度が高かった人はATシップ貰えてたりするのでよろしくお願いします!


今年のATシップ GeriとBestla
Geri格好良くないか?名前はちょっとアレだけど

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