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グラス・グラス・グラス

村上春樹さんのエッセイかなにかで好きなエピソードがあって。
あの人は、たしか小説家になると決めた時から、体力をつけるためにマラソンをはじめたんですけど、いまではトライアスロンに出場するような超人なんですね。トライアスロンはラン、スイミング、バイクの3競技を1日で100キロくらいやっちゃう超人スポーツですが、春樹さんも最初から全部ができたわけじゃなく、ひとつひとつ着実に続けたからこそ、何キロも走ったり泳げたりするようになったんですよね。

でも、水泳の練習に関するエピソードで、「ある日突然、何キロも泳げるようになった」っておっしゃってたんです。理由を書いていたかどうか分かんないし、正確な文言は忘れたし、どのエッセイかも分からないけれど、すごく印象的なエピソードでした。もちろん毎日コツコツと、しっかり積み上げるということも大切なことの一つだとは思うのですが、自分のような人間でも何かをきっかけに、それまでの限界を簡単に超えちゃう、ってことはあったんですよね。その「ジャンプ」のようなものをできるように、あるいは引き寄せられるようにするためには、どうすればいいのかなあ?と頭の片隅でじーっと考え続けています、いまでも。

春樹さんが小説を書きはじめたときのエピソードも、なんだか似ています。
ファンであるヤクルトスワローズの試合を見ていて、外国人選手がヒットを打つんです。その打球を見ながら「あ、自分、小説を書けるかもしれない」って思った、って言ってたと思います。その天から降ってきたかのような感じ。でも天から降ってきたんじゃなくて、どう考えても自分の頭で考えて、自分がやりたいことをやってきたあの人だからこそ、そんなことが頭に浮かぶし、実際に書いちゃうんですよね。

頭と体を使って、考えて実践して、たまにちゃんと勉強する。
春樹さんのことを参考にしすぎると危ない気がするけど、やっぱりすごく魅力的でかっこいい人ですよね。

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