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愛で(めで)

自分はなんて殺風景な世界で生きてきたんだろうって思うことがあります。とくに他人というか妻と暮らし始めてからそう思うようになりました。マイナーチェンジのように部屋の模様がちょこちょこと変わっていって、僕が住み始めた約2年前とはもうまったく別の家になっています。自分は今の家が好き(もっと改良すべき点は多々あるけど)なので、いろんなことを一緒に変えてくれた妻にはまじ感謝って感じです。
殺風景と書いたのは、家の中に当たり前のようにぬいぐるみが常駐するようになったからだと思います。ぬいぐるみがいるだけで、ちょっとだけ景色が華やぐんですよね。いちじくのいちおくんやメタモン、玄関にはライチュウがいます。このぬいぐるみたちは全部妻のものなのですが、連れてきてしまったみたいです。僕はぬいぐるみを買ったことがたぶんないので、どういう理由でどういう動機でぬいぐるみを買うことになるのかわからないのですが、たぶん彼女には明確な連れ帰りたいという衝動があるんだろうなあと想像します。今朝も慌てて朝の準備をしながら「ああメタモーーン!」と叫びながら布団に逆さで寝転んでいるメタモンを愛でていました。
塾講師の仕事をしていて勉強に熱心ではないけどこの子は見ていておもしろいなあとおもう子がいます。その子は工作をするのが好きみたいで、なぞのキャラクターを自分で作って塾の勉強机に置いています。勉強をするでもなく暇さえあればそのキャラクターを見て手遊びをしているんですね。なんだか注意するのももったいなくて僕は笑いながら見てしまっているんだけど、他の先生にもれなく注意されて、勉強するふりをはじめます。既視感を感じながら、ぼくも仕事にもどります。
彼女らの姿があまりに素敵なので、じぶんも真似して何か買ってみようかなとか思うのだけど結局買えません。ほんとうに、こころから、は欲しくないんだよなあ。あの「愛で」をぼくもいつかなにかに向けられたらいいのになあ、と思いつつ、僕は今日も殺風景な机でパソコンを開き、殺風景な脳で生きていきます。スーーン。

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