膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼術後での膝蓋大腿関節(以下PF関節)の機能が制限されることがある。一般的に幼少期の初回脱臼が主であり、その後保存療法では再脱臼が44%程度であるが、疼痛・不安定感が残存する例が多い。手術法においても、膝蓋骨脱臼の成因が様々であり変法も含めれば180にも及ぶとされている。
今回は内側部より靱帯関節包での静的に整復位を保持する手術のリハビリテーションについての相談を受けた。
そこで改めてPF関節の復習。

膝蓋骨の形態分類
Wiberg分類
Ⅰ型 凸側で内外側の関節面がほぼ同じ大きさ
Ⅱ型 内側関節面は凹面で外側関節面より小さい
Ⅲ型 内側関節面は凸面で著しく小さい
Ⅳ型 膝蓋骨中央隆起または内側関節面がない
(Laurin CA, et al. 1978)

大腿骨滑車溝の角度 138±6°
大腿骨外側滑車傾斜角 大腿骨内外側上顆の結ぶ線と大腿骨外側滑車関節面をなす角 >11°

PF関節の形状としては大腿骨滑車溝が著しく減少している。また膝蓋骨関節面もⅢ〜Ⅳ型である。まず手術の様式より内側面のテンションが強い。いわゆるトラッキング異常がある。しかし再脱臼リスクもあるため術後では可動域を制限し愛護的に行った。

自動運動を考える中で僕の考えとして「余力がなければ動けない」と思っている。
これは「右に行くにはまず左の余力が必要」であり、「伸びなきゃ曲がらない」という風に一方向だけの思考ではいけないと思っている。運動のバリエーションであり、もっと限局的な考えをすれば、内側ファセットの前方滑りを出すには、外側ファセットが動かなければいけない。要するにPF関節を考える上でも挙上、下制、外内旋、外内転の一方向だけではなく、その運動が起こるための余力を作る必要があると考えている。

膝蓋骨脱臼に関してはまた次の記事で。

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