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情シスの 資格取得は 良いこと尽くめ(字余り)

はじめに

イシイケンタロウです。ハケを作ってる会社の兼業情シスです。

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今回は情報処理技術者試験についてです。国家試験ですのでベンダーフリーな、どちらかといえば「学問としての情報処理」に寄った試験です。例えばWindowsやAWS、Oracleなどの商品仕様は問われずに、OSやIaaS、RDBMSという、より一般化された知識が問われます。

とはいえ試験範囲は決してテクニカル分野に偏っているわけではなく、競争戦略やマーケティング施策などのストラテジ分野から、人事法務会計などのマネジメント分野まで(途方に暮れるほど)広くビジネス全般に渡っています。

競争戦略論

私は情シス兼務になってから9つある高度区分に挑戦し、そのうちエンベデッド以外の8つの国家試験に合格することができました(いいトシなので旧区分も含みます)

知識を習得した結果、実感として圧倒的に業務遂行が楽になりました。これが何より最大のメリットですが、他にも良いこと尽くめですので、ユーザー企業情シスの皆さんに強くオススメいたします。

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合格すると自分もみんなも楽になる

このnoteを読んでくださってるのはkintone界隈の方々が多いのでkintoneで例えるけど、「この業務課題kintoneで解決できる?」と言われたとき、認定資格の取得や毎月のアップデート、各種連携サービスの機能把握、と知識を習得していれば、なんとなくざっくりでも実現のために必要なことが回答できますよね。

これと同じで情報処理技術者試験に合格していると、案件発生のタイミングで、そもそもの実現可否や、実現にはどの程度の投資が必要なのかなどを、なんとなく回答できる。自分で調べたり複数ベンダーさんに問い合わせたりなどの時間をまるっと消滅させることができ、関係者全員の満足度が著しく向上します。

情報処理技術者試験に否定的な方には「調べればわかることを覚えるのはバカバカしい」とよく言われるんですが、まさにこの「調べなくても良い」点が大きな時間を生み出すのです。自分だけじゃなくステークホルダー全員の時間の合計なので莫大な数字です。

もちろん十分条件とはなり得ないことは重々承知です。そもそも社会人生活の業務遂行において十分条件などありません。

また同時に必要条件でもないです。試験に合格しなくても問題なく業務遂行できる方はたくさんいます。

でもそれって本当に優れた方々だけですよね。少なくとも私は未経験の案件が発生する都度ゼロから自分で考えるなんてできません。そこで「巨人の肩」をお借りする方法を選択しました。結果としてこっちの方が間違いなく楽でした。

いわゆる守破離フレームワークです。教科書通りのことができて、その後それ以上のスキル取得を経てから、自分だけの課題解決に進むべきと考えた次第です。

ひとり情シスと情報処理技術者試験

ひとり情シスの方々にも情報処理技術者試験を強くオススメしたいです。メンターが居ないことに起因する悩みは概ね解決すると思いますので、それ以外をいくつか示してみます。

まずは業務遂行面ですが、前述の通り時間の余裕ができます。そしてマンパワー上アウトソーシングが必要になる場合でも、案件ハンドリングの主導権を自信を持って握ることができ、様々な状況で適切に判断や提案が可能です。また多少のトラブルであれば解決策が見えるので先回りして影響範囲を最小限にできます。

次に経験面です。高度区分の午後記述試験は事例問題です。状況を把握して問題を解決する、または現状から改善するなど、質量共にひとり情シスでは絶対に経験できない事例がたくさんあります。疑似体験ですがちゃんと経験値が蓄積されます。

さらにwebに溢れる成功事例ではなく失敗事例という点も疑似体験として貴重です。これはひとり情シスに限らないけど、失敗ばかり経験できる人なんていません。(過去問の数だけ失敗を繰り返す情シスがいたら普通は異動させます😅)

最後にシグナリング効果です。ひとり情シスの上司や経営者でIT担当の評価が得意という方は多くないでしょう。するとITスキルにおいて情報の非対称性が発生し、結果的に過小評価になりがちです。

そこに国家試験に合格という、評価者にも周囲にもわかりやすく、さらに他企業のIT部門とも比較しやすい物差しを用意することによって、上司や経営者による、より正当な評価が期待できます。

組織の場合は羅針盤的な使い方で

ひとりじゃない情シスに話を戻します。歴史の長い老舗であればあるほど、社内独自のノウハウだらけになりがちです。市場からの期待とのズレが大きくなっていることに気づいても、社内に解決策がないかもしれません。

そこで情報処理技術者試験です。先述した過去問の事例は、業種業態こそ多様ですが、解決すべき課題や現状からの改善点は一般化されています。自社の状況に当てはめられる箇所が少なからずありますので、ざっくりとした方向を定め、誤った対応や無駄な投資、そして時間の浪費を防ぐという効果が期待できます。

理想はユーザー企業における情シス全員が、すべての情報処理技術者試験区分を網羅することです。百歩譲って合否は別と考えても、最低限合格を目指した学習はしてほしい。

ただそうはいっても実現のハードルはかなり高く、道のりは遥か遠いです。その代わり実現できたら競合他社との大きな差別化になります。シグナリング効果は当然市場にも影響するからです。

とりあえずやってみようそうしよう

まずは基本情報技術者試験に申し込みしてみてください。私を含め『マラソン大会にエントリーしないとジョギングできないタイプ』には必須の行為です。実は最近値上がりしたんですが、それでも各社ベンダー試験に比べたら破格のお値段です。

学習は公式サイトで公開されている過去問から始めましょう。新しい年度から気が済むまでさかのぼって解いて、わからなければググる。これの繰り返しです。私は他に翔泳社のテキストを買いましたが、過去問だけで合格する方もたくさんいますので無理にお金を使わなくても大丈夫です。

そしてその後の応用情報技術者試験にも合格できたら、いよいよ高度区分挑戦です。私のオススメはインフラ系ならネットワーク、それ以外の方はデータベースです。この2つは午後Ⅱが論文じゃないので取り組みやすく、初戦に最適です。

そこを経たら次が本命のプロジェクトマネージャです。高度区分同士を比較しての優劣は不毛といえば不毛なんですが、プロジェクトマネージャ試験合格後に習得できる知識とスキルは万能に近く、個人的にはあらゆる業務遂行に役立つ感覚を持っています。情シスだけじゃなく全社会人に取得してほしいと思うくらいよくできた試験です。

余談ですが昨年のプロジェクトマネージャ試験合格者数は948名です。東大卒が毎年3000名ちょっとですから、合格すれば東大卒よりだいぶレアな存在になれます(複数区分合格すればさらに希少なSSRです😁)

プロジェクトマネージャ試験合格後の区分選択はもうお好みで良いのですが、最終的に全試験区分の合格を目指し学習してください。知識が点から線へと繋がり、そして線から面へと広がっていく過程を実感できます。

この段階になると、学習以前の案件発生都度調べていた業務遂行方法に比べてだいぶ楽になっていることが肌感でわかると思います。

おわりに

頑張って合格したとしても、使わなければしばらく経つと忘れてしまうかもしれません。でも受験勉強や外国語学習の経験がある方は思い出してください。

「一度も習ったことがない」と「一度覚えたけど忘れた」の間にある天と地以上の歴然とした差の存在は、その知識やスキルが急に必要になった時にきっと明確になります(どこかで読んだうけうり詳細失念😔)

もっとも、R3さんのコラムにも書かれてたけど、業務独占じゃない国家資格取得なんて、そもそもやらない理由しかないです(忙しい、意味がない、休日が潰れる、疲れている、お金がかかる、時間がない、もう若くない、難しそう、勉強ヤダ・・・)

ただここまで読んでいただいたとおり、その先に良いことがたくさんありますので、是非やらない理由を乗り越えてください。生きた証拠が言ってると思って信じてみて!最終学歴より最新学習歴ですよ!

今回も長文最後までお読みいただきありがとうございました。

最後って書いたけどまだあった追記

スミマセンひとつだけ。情報処理安全確保支援士についてですが、受験と合格は本当にオススメだけど、資格の維持については各位ご判断ください。私は合格後に資格を維持せず放棄しました。ご参考まで。

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