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【特別対談】カリスマ講師による「脳と頭の使い方」特別授業(出口汪×長倉顕太)

■概要
本ページは、カリスマ講師 出口汪先生との「記憶力を高める!脳と頭の使い方」についての特別対談記事です。主に、

・なぜ日本人の記憶力が低下しているのか?
・「脳のメカニズム」と「記憶の4つの段階」

についてお話ししています。

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覚えることより効果がある
「忘れないテクニック」の身につけ方

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長倉顕太(以下、長倉):
お疲れ様です、長倉です。
今日は教育、そして受験の専門家である出口汪先生に、頭の使い方と脳の使い方についてお話しを伺いたいと思います。
出口先生よろしくお願いします。

出口汪(以下、出口):
よろしくお願いします。

長倉:
ご存知の方も多いと思いますが、出口先生は受験業界のカリスマ講師として現代文の講師でありながらご自身で塾もやり、そこでもかなり結果を出されれています。

受験となると、現代文の授業の内容以上に、記憶が重要になると思うのですが、そこも研究されてきたと思います。

今の日本の受験だと、論理だけでなく、記憶も必要になってくると思いますが、
そこの部分はどのようにアプローチされていたんでしょうか?

出口:
当然のことですが、予備校の講師時代は成績を上げないと話になりませんでした。受験では、論理だけだと点は取れません。

そして、受験生が1番苦しんでいるのは、膨大な記憶量をどのようにこなしていくかというところです。記憶はある意味、1番つまらなくて単調で面白くないことだと思います。

ただ僕の場合は、結構大胆なやり方でやっていました。記憶することよりも、忘れないことをやっていました。

記憶したらずっと記憶しているとみなさん勘違いしていますが、記憶というのは刻一刻と減っていっています。

そして、忘れてぼんやりしている中に新たな情報を詰め込んでしまっています。前に記憶したモノは残っていて、その上に新しいモノ記憶がされると勘違いしています。

しかし、前に記憶したものはどんどん消えていく上に、新しい曖昧な記憶を入れていくので、頭の中がごちゃごちゃしてぼんやりしてしまいます。

そうすると、今度はその記憶した知識を使って文章を読んだり考えたりすることができなくなってきます。

長倉:
今はやはり本当に情報量がかなり
多い時代だと思います。

ほとんど受験生じゃない方が見ていると思うので、出口先生に聞きたかったんですが、とにかく今は本当に情報が多くて、スマホやSNSを見てガンガン情報が入ってくるので、とんでもない量をこなしていることになります。

そうすると、記憶や頭の使い方は曖昧のまま生きていくということになってしまうのでしょうか?

出口:
僕はこの時代こそ、逆に記憶しないことが、本当の記憶術だと思っています。本当にそれは必要な情報・知識なのか見極める必要があります。

というのも、記憶を維持することのほうがすごく大事なので、本当に記憶するべきものを選ばないと大変なことになってしまいます。

その時は面白い情報であっても、その情報がその後もずっと必要な情報かどうかは、考えなくてはいけないんですね。

そのために、まずなるべく僕は記憶をしません。
必要な情報なら、検索して調べれば良いと思います。

本を書く時は、曖昧な記憶のまま書けないので、必ず調べて整理するという頭の使い方が必要です。

また、記憶そのものに関して、あまりにも脳のメカニズムをみなさんご存知ないので一生を損していると思います。

日本人80歳以上の3割が認知症に!

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長倉:
脳のメカニズムについては、あとで詳しくお話ししていただこうと思っています。

僕は若い人たちに読書をしろと言う機会がありますが、記憶の重要性について若い人によく聞かれることが「読書しても覚えられない」とか「講座で学んでも覚えられない」といった悩みが結構多いです。

その一方で、今の日本の現状では、80歳以上の3分の1が認知症になるというデータが出ていて、僕はかなり恐怖だと思っています。3分の1というのはものすごい数なので。

そういった意味でも脳の使い方・頭の使い方を知るだけでも脳が活性化されると思います。

出口:
そうですね。医学的な部分もあるかもしれないし、認知症にもさまざまな原因があると思いますが、体験的に思うことが文学者に認知症が少ないことです。

例えば、川端康成は70−80歳になって絶筆というか、死ぬ間際まで作品を書いています。あと政治家は、80歳以上が普通に現役で頑張っていますよね。

頭を良い方に使っているか、悪い方に使っているかは別として、少なくとも文学者と政治家は、頭を使っていると思います。

70-80歳で作品を生み出したり、権力闘争をしているわけですから。
頭をきちんと使うと、恐らく使わないより遥かに認知症になる可能性が少ないと僕は思っています。

長倉:
そんな中で、これだけ情報が多くなってきたので、最近本当に国語力がなくなったと言われています。

それも含めて、出口先生とは論理や読書のプログラムを一緒にやらせていただいています。

これらをやっていく中で、やはり脳の使い方が色んな意味で重要だなと思っています。

例えば、対人関係や仕事をこなしていく上でもそうですが、とにかく情報が大量に入ってきて曖昧な記憶だけが蓄積されていきます。

その中で、人間関係や仕事をうまくやろうとすると無理が出てくるような気がしています。

出口:
そうですよね。やはり記憶の仕方をしっかりと理解するだけでも、全然生き方が変わってきますね。

それともう1つ、記憶と論理は表裏一体で切り離せないので、記憶の部分が分かっていないと、いくら論理を身につけようと思ってもうまくいかないんですよね。

だからこれ(論理)もすごく大事だなと僕は思っています。

長倉:
そんな中で、出口先生が記憶術・頭のメカニズムについてもよく解説されていると思いますが、その辺ついては、あとでお話ししていただければと思います。

なので今日は記憶がどうして重要なのか、そして現代人が、記憶できなくなってきてしまっている現状について出口先生にお伺いしました。出口先生どうもありがとうございました。

出口:
ありがとうございました。

エビングハウスの忘却曲線の「本当の意味と使い方」

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長倉:
今回は科学的に、というより記憶の仕組みですね。脳がどういう形で記憶をしているのか、ご存知の方もいるかもしれませんが、改めてここでどういう仕組みになっているかをお伺いしたいと思います。

前回は、出口先生に忘れないことの重要性についてお話ししていただきましたが、まさにそれ(忘れないことの重要性)が分かりやすいのが、エビングハウスの忘却曲線という話がありますが、こちらについてお話しいただければと思います。

出口:
これは結構古い実験データなんですが、無意味な音の記憶という実験で、記憶したら正確な数字はデータを見ないと分からないですけど、その日のうちに80〜90%くらい人間は忘れてしまうというデータがあり、1年後にはほとんど残ってないそうです。

ただ、これは参考程度だと思うのが、我々は無意味なものを記憶するのではなくて、ある程度論理的に理解をしたり整理すると、数字が全然違ってくるというところです。

ただ、間違いなく体験上分かるのは、我々が思っている以上にこの実験では、忘れるのが早いということです。

短期記憶と長期記憶を知れば「脳の仕組み」がわかる!

短期記憶と長期記憶

本当に必死で覚えても、次の日には半分近く忘れてしまっているのが現状ではないかと思います。
この中でもみなさんに、どうしても知ってほしいことは何かと言いますと、記憶には短期記憶と長期記憶があるということです。

脳のメカニズムから言っても、記憶の場所が違います。短期記憶というのは、海の馬と書いて海馬(かいば)という脳の前の方で一旦保管します。
それに対して長期記憶は、側頭葉(そくとうよう)で保管します。
保管場所が違ってくるんですね。

例えば、コンピュータで言えば、小さなメモリとハードディスクみたいな感じかもしれません。忘れなかったらいいのにと思うかもしれませんが、脳は忘れるようにできています。

例えば暗算をするとします。3×4=12
そうすると、例えば1繰り上がってとか2繰り上がってとか、頭の中で計算しますよね。

その1、2というのは一旦記憶してるんですね。それが短期記憶なんです。

ただ、暗算とか計算をするたびに、いくつ繰り上がったとか全部記憶して忘れられなかったら、多分無意味な数字で頭の中が爆発しますよね。

我々は言語情報だけではなくて、視覚情報とか、朝起きてから色んな情報が入ってきて、それを全部記憶していると、恐らく数時間で発狂するのではないかと思うんですよね。そのため、忘れるようにできています。

しかし、(必要な情報を)長期に記憶しないと、試験でも使えないですし、記憶した意味がないですよね。

一夜漬けというのは、短期記憶だと効果があります。その代わり、1週間後には全て忘れてしまっている状態です。中間・期末の直前で一夜漬けというのは、そういう意味では効果があるかもしれませんが、実際に力がつくかと言われたら全くつきません。

いかに短期記憶ではなくて、長期記憶に持っていくのかが重要です。
その記憶の状態を、自分でどうコントロールできるか、それがすごく大事になってくると思うんですよね。

「記憶の4つのステップ」を知れば効率よく勉強できる!

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長倉:
そんな中で、出口先生から記憶には4つの段階があるというのを伺いました。その4つの段階というのがファミリア、リコグニション、リコール、オートマティックです。

これも結構知っといた方がいいと思うんですが、記憶をしようと思った時に、こういう段階があるというのを冷静に見れることによって、対処法や対応法が出来ると思います。こちらについて、お伺いしたいと思います。

出口:
ファミリアというのは「どこかで聞いたことあるな」っていう感覚です。
記憶してないけど、どこかで聞いたことあるな、という感覚です。
知っている まではいかず、「なんとなく知っているな。」という感覚です。“なんとなく”がつくのがファミリアです。

これは実際に、ほとんど日常生活の役に立ちません。話の中で「それ知ってる。聞いたことある。」という会話ができるくらいのものです。

リコグニションというのは、例えば試験で言えば、選択肢があれば答えられるレベルです。しかし、選択肢がなかったら答えられないという記憶の状態です。これは記憶はしているけれど、はっきりとした記憶ではないということです。

3つ目は、リコール。
これは選択肢が無くても思い起こすことができるレベルです。
例えば受験で言えば、選択肢のマーク式問題の際は、点を取るためでしたらリコグニションで問題ありません。

しかし、記述式の問題つまり、国公立のレベルだと、リコグニションでは点が取れず、リコールのレベルまで記憶をしないということが言えますよね。

オートマティックというのは、僕はよく身体化と言いますが、身についてしまっているもの。一生物ですよね。

例えば、我々が言葉を使う時は(言葉は)自然に出てきますよね。この状態は、オートマティックです。そうすると、日々いろんな情報がある時に、リコグニションのレベルなのか、リコールのレベルなのか、オートマティックのレベルなのかということを、しっかり判断しないといけません。

この4段階を知っていると、もっと良いのは、どんどん忘れるけれど、忘れかけた時にもう1回繰り返すことで、一年後の記憶量が倍増していきます。

1回やったことをもう1回やると、時間的ロスだと思うかもしれませんが、それは勘違いです。

2回目の時に、まだ忘れてない・忘れかけた頃に繰り返すと、仮に80%は覚えているとすると、残りの20%の労力だけで済みます。

忘れかけている、つまりファミリアという状態の時は、すぐ思い起こすことができるんです。そのため、全くゼロから20%覚えるのは大変ですが、一旦記憶したものをもう1回繰り返せばすぐ蘇ってきます。

3回、4回やると、受験でも1年間で4、5回繰り返せば、だいたい1年後の記憶が定着しています。そう考えた時に、いかに反復するかが重要です。

例えば、リコグニションの状態になっている時に、一定の時間が立つとファミリアになります。

そして、ファミリアの状態になってくると、記憶を呼び戻すことが難しくなります。0からもう1回やらなければいけなくなります。

ということは、ファミリアにならない、リコグニションの時点でもう1回繰り返すということが重要です。

オートマティックの状態にしようと思ったら、絶えず使っていくといいです。では、この情報はオートマティックの状態にしたい情報なのか、あるいはリコールの段階なのか。

リコールであっても、放っておけばリコグニションになってしまいますので、リコグニションになった時点で、もう1回確認するなどします。

こういう風に情報量を自分の中で、脳のメカニズムに従ってコントロールすると、もちろん記憶できるだけでなくて、無駄なものは記憶しなくなります。

さらにもっと良いのは、どんどん頭が活性化していきます。それと論理をうまく組み合わせることによって、俗に言う頭がいい、あるいは80歳になっても頭がキレてるという状態になるのではないかと思います。

長倉:
今の話は本当に興味深いなと思います。多くの人は多分、覚えているか覚えていないかだけで決めていると思います。4つの段階があるということを知るだけでも、全然アプローチが変わってくるということですよね。

今回は、出口先生に脳の仕組みから、記憶のやり方についてお伺いいたしました。
出口先生、どうもありがとうございました。

出口:
ありがとうございました。

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