コロナウイルス、海外から日本への厳しい視線

コロナウイルスやウイルス学に関して、私自身はド素人で、確定的な情報を語る資格はありません。ただ国際会議の運営などで、色々な国の人と接するにつれ、

「過去に経験したどれとも違う、海外から日本への厳しい視線」

を痛感します。コロナウイルスの感染に関して、事態が急激に変化しているいま、専門家でない自分が書く内容はノイズかもしれないし、アラート(警告)かもしれません。それはこの記事を読んだみなさんに、後日、評価いただければと思います。

私はいま、米国で開催される国際会議を運営する立場です。米国、ヨーロッパ、アジア諸国の人々と頻繁にやり取りをしています。そんな中、どうしても感じるのは、コロナウイルスに関する日本の緩さと遅さ、危機意識の欠如。「なぜ日本だけ緩い?、遅い?」という厳しい視線を、海外の同業者から感じます。

そう思うようになった直近の契機は、半導体のオリンピックともいわれるISSCC(International Solid-State Circuits Conference)。明日からサンフランシスコで開催され、それに付随して様々なミーティングが行われます。

あれ、これおかしいな?、と思ったのは、ミーティングの詳細を議論していくうちに、

「できれば日本人は無理して来ないで欲しい」

「日本で開催されるミーティングは、米国からは不参加を前提に進めて欲しい」

という意向が、海外のメンバーから(気を遣った)間接的な表現で(でも内容としてはダイレクトに)伝えられることが増えました。

個人的には、このように日本人が標的にされるのは、初めての経験です。アメリカ同時多発テロ(9.11)とそれに続く湾岸戦争の時、私は米国に居ました。日本からの出張が禁止される中、たまたま米国に居た私が論文を代理で発表しました。その時、日本人が米国に行くことに関して、少なくとも米国内では警戒はなかったと思います。

3.11の東日本大震災・原発事故の時には、確かに海外から日本への人の往来は遠のきました。ただこの時も、海外から日本人への視線は「同情」だったと思います。海外から日本に来ることは避けたいけれど、日本人が海外に来ることはもちろん拒まない。

そういった過去の状況と、今回のコロナウイルスの件は明らかに違う。ストレートに言うと、コロナウイルスの件では、海外から日本人に対して、別次元の拒否反応を感じます。日本人の能力はリスペクトしても、コロナウイルスに関しては呆れている、と言ったら言い過ぎでしょうか。

例えば、中国本土だけでなく、日本よりもコロナウイルスの発症例の少ない台湾でも、旧正月の休暇が延長され、人が密集しないように留意されているようです。大学だけでなく企業も活動が止めらたことが多かったようです。その分を埋め合わせるように、夏休みは短縮されるようですが。

一方、日本はどうでしょうか。私のような庶民のレベルでは、コロナウイルスに関して、政府のイニシアティブをさほど感じません。全体的にいうと、東京オリンピックのために多くの学校では、夏休みは前倒す方向のようです。つまり、海外の趨勢の真逆です。首都圏でもコロナウイルスの感染拡大が予想されているいま、日本は、このままの方針で突き進んで良いのでしょうか。

私自身はコロナウイルスに関して語るだけの知識もないですが、日々の実務を通じて、このように海外の視線と日本の現状が違い過ぎることに、とても違和感を感じています。ビジネスの最前線にいる方なら、なおさらでしょう。

そうこう悩んでいるうちに、日本の政府よりも先んじて、企業が様々な施策を取るようになりました。事業をやっていたら、政府の方針がどうあれ、自社が生き残るために、合理的な判断をするのでしょう。

先週は日本の様々な企業から「海外出張は原則禁止」という通知が相次ぎました。日本企業だけではなく、世界の多くの企業から参加取り消しが相次ぎ、2/24からスペイン バルセロナで開催予定だった、モバイル端末の世界最大の展示会MWC(Mobile World Congress)が中止に追い込まれました。

こうした動きは今後避けられないのだと思います。もっと言うと、もし日本での感染拡大が避けられないのならば、下記のようなヤフーの施策はとても正しいのでしょうね。

 ・コアタイムを正午~午後3時に短縮(通勤ラッシュを回避)
 ・不要不急の来客との打ち合わせは控える
 ・100人以上が集まる会合は原則として禁止

「ラッシュ避けて出社を ヤフー、100人以上の会合も原則禁止」
 https://www.sankei.com/economy/news/200214/ecn2002140043-n1.html

これから色々な事が起こるのでしょうが、政府は自分を守ってくれない、自分の身は自分で守るしかない。その意味では海外から日本への厳しい視線は、日本にいる自分にとって、現実を知る良いチャンスとも思います。




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