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アドバイスは冷蔵庫の中に

アドバイスの難しさ

アドバイスをうまくもらうのは難しい。まず自分の状況を丁寧に伝えることが難しい。それができるんだったら大体アドバイスがいらないくらい自分で答えがみえちゃうくらいの話である。

そして人によって言うことが全然違う。一つずつ真面目に従っていると、あっちいったりこっちにいったりぶれて大変になる。時間を使っていただいたアドバイスなんかは何か従わないと悪いような気もするから厄介である。

アドバイスするのも結構難しい。自分の伝えたことを全部真に受けられても困る。「君がそこで頷いた奴は受け売りの奴ですよ」とか、「いやいや所詮1人の経験の話ですよ」とか、「僕責任はとれませんからね」とか思いつつぼそりぼそりと何かしらのアドバイスをひねり出すことになる。

そもそも人の人生に口を出すというのはとても難しく傲慢なことだけれども、アドバイスの受け取り方をお互い練習すればもう少し難しさが減るんだと思う。それがアドバイスは冷蔵庫にいれようね、ということ。

アドバイスという食材を「受け取る」が、「受け入れる」かは吟味する

これは尊敬する方から言われてすごく納得している話。まずアドバイスを「受け取る」ことと、「受け入れる」ことを明確に分ける必要があるということだ。

受け取ることは大事である。人が真剣に伝えてくれたことはまず一旦ちゃんと聞ききることが礼儀だ。どんな事を伝えようとしてくれているのか、何を直せば良いのか、具体的にはどんな行動を指して指摘をくれているのか。ここをまず1回聞いてみる。

相手の言葉が終わるか終わらないかのうちに「それって」とか「でも」とか「あれは」とか言ってしまうときはまずあまり聞けていない証拠だ。おすすめは「なるほど、XXの行動がXXだったというように思われたんですね」と相手の言葉を繰り返すことだ。そして「気にかけてくれて、言いにくいことを伝えてくれて、ありがとう」と思う。言えたら言う。

で、その次のステップが大事。良いアドバイス・フィードバックは積極的に味わって良いのだけど、それ以外のものは一旦吟味してから好きなものだけいただく、それが受け入れるということだ。

これはあたかもアドバイスが人からお裾分けされたお菓子や食材だとしたとき、何はともあれ冷蔵庫に入れるという事に似ている。美味しいお菓子はちょこちょこと食べたら良いだろう。

ただ僕らが今日のご飯に使う食材には限界もあるし、好みもある。一度もらったものをゆっくりながめながら好きな食材だけ取り出して料理しよう。5つのアドバイスをもらっても、1つだけ好きなアドバイスを受け取るくらいでちょうど良い。

アドバイスという食材=お題を自分なりに料理する

アドバイスをもらってもったいないのは、何も考えずに全部ごった煮にしたり、全部捨てたりするということだ。なかなか難しい食材もうまく料理を工夫すれば美味しく仕上がったりする、と信じてみる。アドバイスを食材としてとらえて、自分なりに料理をするための課題を頂いた思いなさい、とも言える。

例えば「親しみのもてる経営者」を目指して頑張っていたら、「威厳のある経営者にならなきゃだめだ。人はついてこない」とアドバイスをもらったとする。そこでもし「威厳」という食材をそのまま戴こうとすると、親しみ vs. 威厳の2択になってしまう。

大事なことはここでぐっと考えてみるということ。親しみとは何か、威厳とは何か。人がついてくることが大事なのか威厳があることが大事なのか。そうすると「人間的には愛嬌があるが、尊敬しついていきたくなる人の顔」だったり、「親しみがあって距離も近いが、締めるところは締める、厳しさも持っている、それについていきたくなるような人の顔」だったりが浮かんでくるかも知れない。そこまで料理してはじめてちょっと口を付けてみれば良い。

相手のアドバイスを自分なりにアレンジするという事。時に矛盾しているように思えることを止揚する努力を辞めないこと。それが食材を腐らずに活かすコツだ。

アドバイスという食材を栄養に変えるために

アドバイスはきちんと受け取る。でもそれを受け入れるかどうかは自分でしっかり吟味しよう。そして難しい食材も工夫次第で食べる事ができるのでチャレンジしてみよう。

冷蔵庫に入れることで、アドバイスという食材の温度がとれてその中身だけうまく受け取ることが出来るようになったり、たまーに冷蔵庫の奥の方から見つかった食材で面白い料理が食べられるようになればアドバイス受け取り上級者ではないだろうか。




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