3月31日、棒々鶏の思い出

3月31日。なにか、大晦日とは違うけど、明日から、また新しい何かが起きるような、そんな気がするこんな日に、noteを始めました。

2020年の3月31日、僕は当時働いていた仏壇修理の仕事を辞めました。今日はその当時の話を。

僕が仏壇修理の仕事をしていたのは、1年半くらい。それ以前は10年以上、生協の宅配ドライバーの仕事をしていました。今後の人生、このままで良いのだろうか?何か自分にしかできないことはないのだろうか?拗らせて拗らせて、生協の仕事を辞めて、面白そうだから、という簡単な理由で、仏壇修理の仕事の門を叩いたのです。

仏壇の修理…何をするんだろう?
まずは、お客様から預かった仏壇の解体から。ニッパーで釘をひとつひとつ外していき、枠組みを解体して、全てのパーツを分解していく。
それを洗浄して汚れを落として、漆を塗り直し、金箔を貼り直し、新品同様に復活させるのです。新人の僕は、仏壇の解体が主な仕事で、毎日毎日、形の違う仏壇の解体に悪戦苦闘していました。

半年ほど経って、少しずつ仕事にも慣れてきたころ、当時の社長が昼休みに近所の中華料理屋さんへ連れていってくれました。

お店に着くと社長は、「俺、ここは毎日のように来てるからな!全部のメニュー食べたことあるよ。今日は何にするかな… お!この、ぼうぼうどり、旨そうやな」 と言いました。


ぼうぼうどり

ぼうぼうどり



あぁ、バンバンジーのことか。…


仕事辞めよう。


言い訳がましく、ここでの確認しておきたいポイントを。

・メニュー全部食べてると言いながら、旨そうやな、という矛盾したセリフ

・メガネをしっかり外したうえで出た「ぼうぼうどり」

・全部食べてるならその時「ぼうぼうどり」はどうやってオーダー通ったのか
(すいません、このぼうぼうどり下さい…?)

そんな思いが棒の、いや僕の頭の中を巡り、
あ、ここ長く働けないかも、と思ったのです。

3月31日になると毎年、あのぼうぼうどりの仏壇修理の仕事のことを思い出します。

明日から新しい生活が始まる方たちへ。

上司や社長が、漢字をナチュラルに、それは南アルプスの天然水のように自然に、言い間違えることがきっかけで、ここで働いて大丈夫なのかと不安になることがあると思います。

聞き流して、忘れてもいい。でも、僕のように、ぼうぼうどりがきっかけで辞める人もいる。それは人それぞれ。

「なんで前職を辞めた、という質問ですか?…前の会社の社長が、棒々鶏をぼうぼうどりと読んだからです。」

なんて、次の転職先で言っちゃダメよ。

そうしてなんとか拾ってもらった今の会社で、僕はいつも通りの4月1日を迎えます。

全ての新生活を迎える皆さんに、幸あれ。

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