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透明人間現る・・・

K.S.R.C ResearchReport File No.010010
オリジナル公開日 1999/4/19 報告
2022/4/17追記
2022/4/25更に追記
報告者:KS

 もし透明人間になることができたら、何がしたいか・・・
女風呂を覗きに行く、女子更衣室潜入あるいは女子寮侵入であろうか。
そういった下劣な欲求はともかく、犯罪に利用したら完全犯罪も自由自在だろうし、戦争へ使われたらそれこそ無敵の軍隊の誕生だろう。

今回のリサーチではその透明人間の可能性を考察してみることにしよう。

 透明人間のイメージといえば、包帯でぐるぐる巻きになった人間の図を思い浮かべる人も多いことだろう。その包帯を取ると中には何もない。そんなイメージではないだろうか。
 人体を透明にするための方法には、薬物を利用する方法か遺伝子操作によるものが考えられそうだが、果たして人体を透明にすることなど可能なのであろうか。

 我々が自分の体を見たとき、透明な部分はない。一見、爪が透明に近いように見えるが、爪は透明ではない。しかしである。
 我々の肉体を構成している体組織の中に、実は1ヶ所だけ透明な部分があるのだ。それは、”水晶体”だ。水晶体とは眼球の内部に存在するレンズ状の組織である。
水晶体は進化の過程で透明度を極限まで高めたタンパク質のかたまりだ。その水晶体と同じように体中の組織を変化させ、人体を構成する細胞の一つ一つを透明化することができれば、透明人間が誕生するのだ。

 しかし、全ての体組織を透明化することが可能だとしても、透明人間には大きな落とし穴があるのだ。それは、透明人間のヒントになったあの”水晶体”にあるのだ。

 そもそも、水晶体とは何をする組織かと言えば、目から入ってきた光を眼球の奥にある角膜に投影するためのレンズの役目をする組織なのだ。もし、人体の全てが透明になってしまったら投影すべき角膜も透明になってしまうことになり、本来映像が映るべき角膜に映像が映らないことになる。つまり、目が見えないことになるのだ。透明人間は、他人からも見えないが自分でも他人を見ることができないのだ。

 もうひとつ、もっと大きく深刻な問題がある。それは血液の中のヘモグロビンだ。ヘモグロビンは血液を赤くしている要因で、体中に酸素を運ぶという大切な働きをしている。が、もし、ヘモグロビンが透明になってしまったら、酸素を運ぶという極めて重要な仕事ができなくなってしまうのだ。そう、透明人間がそのまま生き続けることは不可能なのだ。

 では、透明人間は完全な空想の産物でこの先どんなに科学技術が進んでも現れないのであろうか。
人体そのものを透明化するのでなければ、可能性はあるのだ。
いや、実はもう実現されているのかもしれない!

 それは、ステルス技術である。

 この手の技術は軍事分野での研究が最も進んでいる。湾岸戦争で一躍有名になったステルス技術だが、その応用で研究が進んでいる新迷彩服「ステルス迷彩」がそれだ。

 ステルス戦闘機はレーダーで捕らえることが難しいだけであって、肉眼でみることができないわけではない。しかし、ステルス迷彩は肉眼で捕らえることができないことが最大の目的なのだ。イメージ的には映画「プレデター」の宇宙人のつけていた装置を思い浮かべてもらうと良い。あるいはゲーム「メタルギア・ソリッド」に出てきたステルス迷彩そのものだ。(※2022/4/17補足:現在では攻殻機動隊の方がメジャーかもしれない)

 原理は簡単だ。後ろの風景を自分の前に投影させてやれば良いのだ。が、実現はそう簡単ではない。既知の技術を用いるとすれば考えられるのは、光ファイバーの利用であろう。光ファイバーを利用すれば、確かに後ろの風景を前に映すことは可能だ。数千~数万の光ファイバーを組み合わせて自分の体を取り巻くスーツを造ることはできるかもしれない。が、そのスーツの見てくれは決してほめられたものではないだろうし、動きやすいものでもないだろう。まるでマシュマロマンのような形状になるであろう。

 もっと、スリムなものが実現できる素材はないのか。実は、光ファイバーの応用とも言える素材が開発されている。”受発光ビーズ”というものがそれだ。この受発光ビーズはアメリカ国防総省(ペンタゴン)で極秘に開発されていたものだが、最近になって情報がわずかだが漏れてくるようになった。
 このビーズは周囲の光を取り込むと同時にその情報を発光する事ができるという。もしスーツの全身にそのビーズを付ればどうなるか。風景を取り込んだビーズは隣のビーズにその映像情報を伝達する。この繰り返しにより背景の映像を前に投影する事ができるのである。
 実は、このステルス迷彩スーツはもう実戦に投入されているという情報もある。湾岸戦争時、ステルス戦闘機があれだけメディアに出たのは、実はこのステルス迷彩の存在を隠すためではなかったのかとも言われている。

 軍事技術が民間レベルへ降りてきたとき、その応用は計り知れないものがある。このステルス迷彩技術も民間レベルに降りてきたとき、どんな応用品が生まれてくるのだろうか。一日も早く応用製品を見てみたいものである。


<2022/4/17 追記>
上記リサーチは今からおよそ四半世紀前の報告であるが、その後時代は進んだ。
以下の2つの動画はアプローチは違うがステルス迷彩技術の応用事例である。

 これらすらもう数年前のことであるが、民間の技術としてここまで研究が進んでいるということは軍事技術としての進化は図りきれないものがあるだろう。

<2022/4/25更に追記>
ロンドン拠点のスタートアップ企業『Invisibly Shield Co.』は、被写体を透明にするステルスシールドの開発に成功したことを発表した。

半円柱状のレンズを張り合わせることにより光の屈折を上手にコントロールして、シールドのすぐ後ろの物を観測する人から離れた左右に屈折されている。逆に遠くの光は観測者に届きやすいようにレンズの形状が工夫されているのだ。

クラウドファンディングサイト『キックスターター』で資金を調達したところ、既に目標金額を大きく上回る資金があつまり、2タイプのサイズの透明ステルスシールドの販売が決定した。

210mm×310mmの小さなサイズは49ポンド(約7800円)、フルサイズは650mm×950mm×250mmと厚みもあり、299ポンド(約47600円)となっている。



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