2019年ベストライブ

時代はNoteだと言う。
私も以前からの古いブログからこちらに移転してきた新参者。
https://www.ifca.or.jp/ceoblog/index.html
仕事の話やら旅の話やら、でも一番多かった音楽の話から書き始めよう。

毎年恒例だが、今年を振り返りベストライブを選出する。
2018年のBest5をまず振り返る。
1.Moonchild(Blue Note) 5/14
2.Bokante(Blue Note) 10/11
3.Jose James(Billboard) 11/2
4.Kamasi Washington(Billboard) 8/19
5. R+R=NOW(NHKホール/東京Jazz) 9/1

そして2019年は。
まず2019年に観たライブ一覧。

1/15     Robert Glasper Trio (Billboard Live Tokyo)
1/24    Tony Allen Sextet (Blue Note Tokyo)
2/8      Donny McCaslin (Blue Note Tokyo)
2/18    Marquis Hill (Cotton Club)
3/1      Avishai Cohen Trio (Blue Note Tokyo)
4/12    Snaky Puppy (Club Citta)
4/17    Meshell Ndegeocello (Billboard Live Tokyo)
5/8      Boz Scaggs (Tokyo Orchard Hall)
5/13     Hermeto Pascoal e Grupo (Billboard Live Tokyo)
5/14     Kendrick Scott Oracle (Blue Note Tokyo)
6/13     Christian Scott (Billboard Live Tokyo)
6/15     Tedeschi Trucks Band (Tokyo Dome City Hall)
6/16     Tedeschi Trucks Band (Tokyo Dome City Hall)

まずは上半期。JazzのRobert Glasper、Snaky Puppy、RockのTedeschi Trucks Bandと何度も観たアーティストは高い水準の凄い演奏を進化ししつつも観せてくれた。そして印象的だったのは、Marquis Hill、Kendrick Scott、Christian Scottといった新世代ジャズの面々。新世代ジャズと言う言葉は安易に使われ過ぎだが、彼らのステージはまさに「新しさ」と「斬新さ」を伝えてくれて深い感銘を与えてくれた。そして何よりもズバ抜けたリーダーが目立つではなく、バンド一体となったアンサンブルと新世代に属するサイドメンの演奏も堪能した。Marquis Hillとやって来た若手の注目株のJames Francies(キーボード)。John Ellis(sax)、Mike Moreno(g)、Taylor Eigsti(p,key)、Joe Sanders(b)と鉄壁の演奏を魅せてくれたOracleの面々等プレーヤーの充実振りにも目を見張った。

7/9       Punch Brothers (Blue Note Tokyo)
7/12     Punch Brothers (Blue Note Tokyo)
7/24     Nick West (Blue Note Tokyo)
7/27     Ghost Note(LA/May Fair Hotel)
7/28     Central Avenue Jazz Festival(LA)
     Chris Dave w/Kamasi Washington、Brandon Coleman w/Kamasi      Washington
8/16    Summer Sonic(Rita Ora)
8/18    Summer Sonic(FKJ、Alan Walker)
9/1       Charles Lloyd、Kamasi Washington(Tokyo Jazz/NHK Hall)
            Snarky Puppy、Chick Corea Akoustic Band(Tokyo Jazz/NHK Hall)

9/2      Kamasi Washington(LIQUIDROOM)
9/9      Camila Meza (Blue Note Tokyo)
9/13     Jacob Collier (Ebisu Garden Hall)
9/26     Flying Lotus w/ Thundercat (STUDIO COAST)
10/8      Rymden (Blue Note Tokyo)
10/20    J. Lamotta Suzume(Live Magic/Ebisu Garden Hall)
11/1      Cory Henry and The Funk Apostles (Billboard Live Tokyo)
11/7      Diana Krall (Tokyo Orchard Hall)
11/12    Joel Ross (Blue Note Tokyo)
11/20    細野晴臣 (東京国際フォーラム)

そして下半期。やはり海外でのライブは良い。LAではたまたまホテルのバーで観たGhost NoteはRobert "Sput" SearightのドラムとMononeonのベースを目の前で観ることができた。さらに翌日Central Avenue Jazz FestivalというジャズフェスではBrandon Colemanのバンド(ドラムはTony Austin、サックスはSly5thave)にカマシが飛び入り、さらに次のChris Dave Trioの演奏にもカマシが飛び入り。これが無料だからLAは凄い。
その他、Diana KrallのバンドでKarriem Riggins、Charles LloydのバンドにはJulian Lage、Eric Harland、Reuben Rogers、Gerald Claytonが、そしてカマシのバンドに加わったBig YUKI、フラローの前座にはLouis Coleと素晴らしいミュージシャン達の演奏も堪能した。

そしてベスト5を選出。
1.Christian Scott (Billboard) 6/13
2.Punch Brothers(Blue Note) 7/9&12
3.Camila Meza(Blue Note) 9/9
4.Kendrick Scott Oracle(Blue Note) 5/14
5.Kamasi Washington(LIQUIDROOM) 9/2

2019年のダントツは新作もリリースしたChristian Scott。新作ではブラック・ネイティブアメリカンの血を引く自分のルーツや、さらには人類発祥のアフリカまで踏み込んだ音像を提示、ジャズを軽く踏み越えた広大な世界観に身震いしたが、Liveでもジャズを超えたジャンルを感じさせないChristian Scottワールドは衝撃的だった。身のこなしや台詞にもカリスマ性があり次世代のスターの佇まいを魅せつけた。昨年R+R=NOWで格を上げたがさらに高みに登った2019だった。
そして、常に余裕で完璧な演奏をこなしてしまうPunch Brothersは初めて観たような驚きはないが、それでも圧倒的であった。Blue Noteがこんな興奮の坩堝になったのは初体験だったし、メンバーはブルーグラスがそれぞれの出自で楽器もブルーグラスそのものだが、体験としてはまさにジャズ的だった。実際メンバーの多くはジャズ界との交流も盛ん。そして彼らを率いるChris Thileの天才振りは健在。まさに時代の寵児そのもの。
チリの歌姫Camila Mezaの透明過ぎるほどの透明な歌声と演奏の絶妙なアンサンブル。Snarky Puppyの小川慶太の流れるようなドラミングも卓越していた。政情不安なチリに思いを馳せる彼女の心情も合わせてセンチメンタルなステージを堪能した。
そしてこれこそが新世代ジャズの具現化と感じたKendrick Scott Oracle。それでれのバンドメンバーの技術も素晴らしく脳が刺激され心に刺さるような演奏だった。Taylor Eigsti(p,key)、Joe Sanders(b)等、全員がバンドリーダー級の演奏で最高のアンサンブルを浴びて暫くは脳裏を支配していた。
Kamasi WashingtonのLIQUIDROOMは前日のNHKホールとは全く別世界の熱気と観客の反応、そしてそれに煽られバンドの演奏も最高だった。会場次第と観客でバンドの演奏はこうも違うのか、と感嘆した。中でもベースのMiles Mosleyが素晴らしくこのバンドの軸だと感じた。勿論、幼馴染の黒人ミュージャンに囲まれてもベストプレーを魅せたFrom JapanのBig YUKIにも拍手を贈りたい。

2019年はサマソニでのグラスパーのビーチステージが台風で中止という不幸もあったが、それ以外は素晴らしいステージの連続とラッキーな偶然の出会いに恵まれたLive Yearだった。

そして末尾は50周年を迎えた細野晴臣。展覧会、映画、記念LIVEと11月は細野氏に浸りきった。50年の年輪は当然だが、高田漣等のバックを務めた若手バンドの演奏はまさにラストワルツのThe Bandを彷彿させるものだった。


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