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The Satoshi Trial 8日目

2024年2月15日 宍戸健

「クレイグ博士はサトシじゃない裁判 by COPA」(通称:COPA裁判、サトシトライアル)続きます。本日審理8日目で、原告COPA弁護士によるクレイグ博士の尋問は7日目で最終日のようです。今日は前半はCOPA本体の弁護人をしていたHough氏で、後半はBTCCoreDev原告団を弁護を担当するGunning氏が登場しました。彼はHough氏より若く、今回初登場でいろいろ尋問がんばってた印象です。

本日もロンドン時間午前10:30から、昼休憩1時間を挟み午後5:00頃までずっとクレイグ博士の尋問が続きました。なので内容は非常に膨大です。メディアもいろんな報道をしていますが、どれもいろんな角度から短く切り取ってますね。なのでまったく異なる意見がいろいろあるように思います。

ぼくはいつものように、自分が気になった部分についてまとめます。

1.スケジュール

2.気になった部分
a.クレイグ博士が2016年に英BBCの取材で「クレイグ博士がサトシです。」と報道されたのですが、その時、BBCの記者RoryにBlock1の秘密鍵を使って署名したそうです。そしてその様子は2台のカメラで撮影されていた。後にクレイグ博士がその録画を請求したところ(おそらくKleiman裁判のため)「BBCはその場面のデータを無くした」そうです!ほんと闇は深いですね。

https://x.com/kurtwuckertjr/status/1757751889087607250?s=20

そして、BBCの撮影のあとで、Gavin Andreasenに初めて会って、彼と会話をしたあとで、彼に対して秘密鍵を使って署名しました。ただし、この時Gavinは(上のBBCではクレイグ博士のパソコンを使って署名したので)、別のPCで署名をしてほしいとのことで、ホテルから最寄りの電気屋に行って新品のPCを買って二人でソフトウェアインストールなどセットアップしてから署名したとのことです。(Gavinはその後現在まで、2016年当時に「サトシ探しゲーム」引き込まれたことを後悔してると2023年に追記してますが、クレイグ博士がサトシだと思うということについては撤回していません。

https://x.com/kurtwuckertjr/status/1757751889087607250?s=20

クレイグ博士はその後帰宅して、ブログを更新しました。その内容はジャン=ポール・サルトルの言葉をBlock1の秘密鍵を使って署名したように取れる記事でした。(正確に読むと、実際にはそう書いていないのです。)しかし、多くの人が勘違いして「この署名はちがうー。」と大騒ぎになり、「クレイグ博士は嘘つきだー。」という噂がさらに広がったのです。

https://x.com/kurtwuckertjr/status/1757724718117871672?s=20

ここで解説ですが、なぜクレイグ博士がサルトルの言葉を使ったかというと、サルトルはフランスの哲学者、文学者だったわけですが、1964年にノーベル賞を受賞しましたが、それを辞退しました。(正確には、受賞前に辞退することを手紙でスウェーデンのノーベル賞委員会に連絡していましたが、その手紙が届く前に受賞が決まった。)

サルトルは当時このように述べています。
「この種の栄誉を受ける作家は、自分自身だけでなく、その栄誉を授与した組織や団体をも巻き込むことになる。それゆえ、作家は、たとえ今回のように最も名誉ある状況下であったとしても、自分自身を組織に変えてしまうことを拒否しなければならない。」

クレイグ博士の考えかたもサルトルと同じで、Gavinのように対個人ではサトシ鍵を使って署名はするけれども、「パブリックには絶対しない。」「するとすれば、まずは私の研究と仕事の成果を見てサトシとして判断してもらい、確定したあとならサインする。」とずっと言われてます。

さて、最後にWikiLeaks, SilkRoadについてのサトシの発言です。クレイグ博士は自らがオーストラリア警察のデジタル鑑識官として、南米の麻薬マフィア撲滅作戦に参加したこともあるため、ビットコインがWikiLeaksやSilkRoadに使われることは大反対されていました。これ以降サトシのコメントは無くなりました。

https://x.com/kurtwuckertjr/status/1757801007831040462?s=20

3.まとめ文。本日はカリフォルニア在住のGavin Mehl氏の短いまとめを翻訳します。

サトシ裁判8日目のクレイグ博士の証言の要約。COPAによるクレイグ博士の最終尋問と、コアデブの弁護士による尋問。

尋問でハフ氏は、ライト博士が開示した追加文書について議論した。ライト博士は、それらが偽造であるとは主張していないと述べた。ライト博士はディスカバリー・プラットフォームで偽物を明らかにしたと述べた。

ライト博士は、証明パッケージに基づいて、身元証明が最初に明らかになった場合にのみ、ジェネシスブロックの1番目と9番目に署名するつもりだったと主張した。

ライト博士は、Gavin Andresenが署名した時点ではNcryptの電子メールにアクセスできなかったと述べている。

マデン博士の反証について、ライト博士は専門家の証言ではないと主張した。しかし、裁判所は、ライト博士が自身の専門家が十分でないと主張した後、反証の専門家とみなすことはできない。

ハフ氏はギャビン・アンドレセンの署名イベントとマトニスの報告書を検討し、ライト博士の専門家である高博士は、ライト博士が現在証言台で論じているような問題を提起していないと指摘した。ライト博士は、弁護団に追加の専門家を要請したが、実現しなかったと述べた。

ライト博士は、鍵の入ったハードディスクを衝動的に破壊したと主張した。

アガー・ハンセンについては、11月に訴訟を起こしたライト博士は述べた。

ライト博士は、リークされたカルヴィン・エアーの電子メールが彼に署名を促すものであったことを否定した。ライト博士は、nChainの株式は売却したが、まだコンサルティング料を受け取っていると主張し、Ayre氏はこの訴訟に直接資金を提供していないと述べた。ライトは、4つの政府と契約したが、まだ何のためかは言っていないと言い、ハフがそれを遮った。証言は彼の特許に関するものだった。

ハフが、もしこの訴訟で負けたとしても、ライトはサトシを名乗るのかと質問。
ライトは、サトシとして知られることは気にしないと答えた。
もし敗訴しても、イギリスとアメリカで60件の特許訴訟を起こす準備ができている。

COPAは「ライトはサトシではない。」と最終弁論で締め、ライト博士は「私はサトシである。」と証言して終了した。

コアデブの弁護士ガニング氏がクレイグ博士の尋問を開始。
ライト博士は現行の英国法に従いコアデブに対しても和解を提案したと証言した。

ガニング弁護士は、ライト博士がサトシのような知識を持っていないことを示そうと、ビットコインソフトウェアの技術的なニュアンスについて議論する。
ライトはそれぞれの申し立てを否定し、それぞれが誤りであると述べ、ソフトウェアの詳細について議論する。

ガニング弁護士は、ライト博士が誤っていると主張する反対尋問で、誤って独立した主張を行う。

ガニング弁護士は2009年のライト氏の電力使用について質問し、ライト氏は商用電力との情報防衛口座の記録がないことを認める。彼の弁護士は電力会社に問い合わせたが、そこまではさかのぼれないという。ライトが持っていた唯一の記録は、個人使用のみの少額だった妻の口座だけだ。(宍戸健;東京電力の場合は利用停止後、7年間は請求データを保存しているようです。)

ガニング弁護士、ウィキリークスがビットコインを使うことへのサトシの反対を持ち出す。これにてコアデブ弁護士の尋問は終了。

メラー判事は過去の記録、ラテックスファイルについて、またなぜライトのスタッフが彼の名前の入ったホワイトペーパーにアクセスしたのかについて質問する。

メラー判事は次に、設定された信託と、知的財産がライトの債権者に提出されたかどうかについて質問する。

メラー判事は知的財産について尋ね、ライトはビットコインのホワイトペーパーのドラフトに価値があると思わなかったのかと尋ね、ライトは思わなかったと答えた。

このラウンドは4-3でCOPAに軍配が上がったが、これはライトが教授の報告書(名前は不明)に対する確かな専門家の反証があると主張しなかったためで、反証はないようだ。

4.Coingeek Kurt Jr.氏のThreadまとめ。(英文のみ)気に入ったら投げ銭お願いします。(HandCash: kurt)

5.他参考記事


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