宇宙猫属の嘘。
2022年9月24日 宍戸健。
ノルウェーの裁判の3日目にクレイグ博士の尋問がありました。その質問の一つは、クレイグ博士側の弁護士がビットコインのホワイトペーパーやソフトウェアについて最初に誰とやりとりしていたかというものでした。その回答を聞いた直後に、世界で最も早くビットコインを見つけた一人のJustin Trammerは以下を自身のブログサイトで主張しています。
ようは「クレイグ博士(Satoshi Nakamotoとして)俺にリリース前のコードを見せたと証言したが、俺はそんなコンタクトはサトシからなかかったし、自分でBitcoin.orgのサイトにいって2009年1月8日にダウンロードした。」と行っているわけです。そして例のように「クレイグ博士は嘘つきで詐欺師だ。」と主張してるわけです。
さて、それではクレイグ博士は実際人に裁判の証言でなんと言ったのでしょうか。
Mans: "Did you share the code at any stage or discuss? Did you have problems writing or developing?"
CSW: "I didn’t really have early writing and developing problems. I had later problems. I shared (problems) with quite a number of people Ray Dillinger and Hal Finny, later on Dustin Trammel."
"Things were working quite well in my environment. The problem was more afterwards. When other people put it in their environment, when it ran on Craig’s computer set up Craig’s way everything was good."
"But what I forgot is not everyone has their computer set up my way. So there are a few crashes and failures in other peoples including Hal Finny’s."
マンス弁護士「いつの時点でコードを共有したり、誰かと話し合ったりしたのでしょうか?コードを書いたり、開発していたときに問題はありましたか。」
クレイグ博士:「初期の時点では(コードを)書いたり、開発で問題はありませんでした。後になってから問題が発生しました。Ray DillingerとHal Finny、それからDustin Trammelなど、多くの人と(問題を)共有しました。」
「私の(開発、コンピュータ)環境では、ビットコインソフトウェアは非常にうまく動いていました。後になって問題が多く発生したのです。他の人が自分の環境でソフトウェアを稼働させてからです。クレイグのコンピュータ環境でクレイグ流にセットアップして動かしていたときは、すべてがうまく行っていました。」
「しかし、私が忘れていたのは、誰もが私のコンピュータ環境を私の方法でセットアップしているとは限らないということです。ですから、ハル・フィニーを含む他の人たちの環境では、クラッシュや障害がいくつか発生したのです。」
この証言は裁判3日目のクレイグ博士の尋問約4時間中の1:06:06から確認できます。
というわけで、Justin Trammmelはクレイグ博士はそもそも「リリース前のコード送った。」とは一言も言っていないのです。「(リリース)後でコンタクトがあった。」と証言しているのです。それをTrammelは大きく勘違いして、しかもそれで「クレイグ博士が嘘つきで詐欺師だ。」主張しているわけです。しかも、この勘違いをもとに宇宙猫の弁護団に連絡し、急遽裁判所に参考人として証言すると名乗りでたのです。(これは裁判官により拒否された。)
さらにこれをBitcoin Magazineの裁判3日目の分析リポートとしてリポーター2名とゲスト1名、Justin Trammelの4名で「クレイグ博士は嘘の証言をしている。」ということを延々と全員で議論し、嘘を拡散しているというとんでもない状況です。
Justin Trammelの話す感じから受ける印象と自らが裁判所で証言すると名乗りでているところから、どうも勘違いを信じているようです。また、Bitcoin Magazineの3名もどうもそのようです。認知心理学では自分が強く信じていることと異なる新しい情報に出会ったときには、強いバイアスがかかりほんとに自分に都合が悪いことが「聞こえなく」(実際に脳が情報を変換するらしい。)なるそうですが、そんな状態かも知れません。
でも、Bitcoin Magazineのリポーターは裁判所で傍聴してるんですけどね。また、上のようにちゃんとクレイグ博士の証言を聞くとTrammelには送っていないことがわかります。洗脳されるとは恐ろしいことですね。
ちなみにJustin TrammelがSatoshi Nakamoto(クレイグ博士)に初めてメールを2009年1月12日に「ビットコインソフトをインストールして試しているよ。」と送っています。その直後にSatoshiは「(最初のバグを修正したので)Version 0.1.3にアップデートしろよ。」と返信しています。
https://www.bitcoin.com/satoshi-archive/emails/dustin-trammel/1/#selection-25.2370-25.2466
本日はここまで。
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