結局のところ、人は直接会ってみないとわからない。

(2018年5月6日にFacebookにアップした文章です)

記者・ライターと呼ばれる仕事をしていて良かったなと思うのは、「結局のところ、人は直接会ってみないとわからない」という実感を持てたことです。

テレビやラジオ、ネットニュース、新聞などを通じて、いろんな芸能人、著名人、政治家などの情報を知り、「この人、考え方が合わないなあ」、「好きじゃないなあ」と感じることって結構あるじゃないですか。でも、取材という形でそういう方々と会うと、最初に持っていた印象がガラッと変わった経験が結構あるんですよね。だから、どんな印象も「直接会ってみないとわからない」というところで踏みとどまって、ひどく悪くならないんです。

例えば、評判があまりよろしくない人間だったのに、会ってみたらその人の魅力がダイレクトに伝わってきて、「こりゃあ、この人に頼まれたら、騙されてもいいって思うかもなあ」と納得したことがあります(取材場所は議員会館・・・)。外見が凄い好みのアイドルがいて、会ってみたらとてもよい方だったんだけど、(あくまでも僕的には)内面的な魅力がピンと来なくて、何度か取材するたびに「好み」という感覚が薄まることもありました。

反対に、取材を終えたら、「この人、かわいいなあ」って思い出すなんてこともあります。「インタビュー前よりも後のほうがその人を好きになっている」というのが自分の中での1つの尺度になっていますね。だから、すぐに人を好きになっちゃいます。一期一会で、二度と会わない場合がほとんどですし、再会したら再会したで距離を取ってしまう面倒臭い性格なんですけどね。

「どんな人にも良いところがあれば悪いところもある」というのが僕自身の考え方。単純な二元論ではなく、「人間の長所は別の角度で見れば短所になり、短所も切り口を変えれば長所になる」という言い方のほうがニュアンスが伝わるかもしれません。そういう微妙な感覚はやっぱり直接会って話したほうが掴みやすいと思うんですよ。もちろん「1回会ったところでその人の何がわかるんだ」というツッコミは自分自身からもありますが。

ただ、こういう考え方には弊害もあると思うんですよね。ある同業者に「○○に関わらせてもらえて本当に光栄。あの方たちには敬意しかない」という話をされた時、「自分はそこまで真っ直ぐ物事にかかわれないなあ」と感じたんですよ。どこかで一歩引いてるし、距離を取っているし、「そうじゃなきゃいられない」という感覚すらある。敬意がないってわけではないんですけどね。100%全肯定にはならないんです。

だから、自分が本当に影響を受けた作家やアーティスト、今好きなものには、どこか仕事で関わり合いたくないって思いがあります(同時に関わりたいとも思ってるんですけどね)。嫌な思いをする可能性は低いとわかっていても、「会ってみたら違ってた」という気持ちになる場合はゼロじゃないので。

いやはや、人が好きなんだか、人が嫌いなんだか、よくわからないです。単純にこれは性分かもなあ。プロレス記者を15年も続けているのに、やっぱり未だにレスラーと距離を取ってるもんなあ。40代はもうちょっと可愛げのある人間になりたいもんです。

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