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Lilium Anthems総集編サンプル

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百合小説短編26作、総ページ数900超え すべて百合はこの世の真理。百合以外入ってません。 いそがしい、でもたくさん百合を摂取したいあなたに 最大1作1時間以内で読み終わるサクッ…
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#百合創作

二十二作目 閉じた花弁の中で 親子百合SSシリーズ

「あなたの母親であれて良かった。と思うと同時に、後悔しています」 「それはどうして?」 「他人なら、この恋は許されたから」 「許されないよ。親子じゃなくても、私たちは女同士だから」 「それも、そうね。こうして人目をはばかるのにも疲れたわ。いっそおおっぴらに……」 「お母さんは私と離れてもいいの?」 「残酷な子ね。どちらを選んでも、私は苦しいわ」 「だから、私の何倍も感じるんだね」 「そうなのかも。だからもう少しゆっくりしてくれる?」 「いや。可愛いお母さんが見たい」 「こんな

二十一作目 お雛様は窓際に 親子百合SS

「なつかしいなぁって思うよ。毎年毎年」 「うん?」 「お雛様の歌。幼稚園で恥ずかしい思いしたんだからね」 「あ、あはは……お内裏様がいないやつね」 「『おひなさまぁあーとおひなさまー♪』今考えると語呂めちゃくちゃだし」 「う」 「しかも窓際で日に当たりすぎて薄くなってる」 「う」 「私、幼稚園で『おひな』って呼ばれてたんだから」 「知ってるわ。あなた自分のこと『おひな、おかわりした!』って言ってたもの」 「へー。そうなんだ」 「今ではあなたをおひなって呼ぶ子はいないでしょうね

十九作目 菓子と紅茶とモーツァルト 第四回百合文芸小説コンテスト応募作  一

一 舞姫 散乱する花々の上を、ひとりの女が踊る。  フィガロの結婚に合わせて、ファーストフラッシュの香りを振りまいて。  その姿は自由。身に纏う物もない、まるで月夜の妖精のよう。  白肌は暗闇の中でただ輝き。  月明かりがその純な桃色の女らしさを見せる。  足には赤い靴。  鮮血のような紅色は、乾いた花々を踏み荒らしていく。  それは私の記憶。過去の女たち。  無邪気な表情は、私に甘えていた頃のミルクの香りのする君と変わらない。  そう、あの頃の始まりの君と。  二 とあ

十八作目 昔ながらの飽きない味 pixiv再録

「よく……飽きないわね……」 「え?」 「言葉の通りよ……こんなたるんだ身体抱いて、何が楽しいの?」 「それ本気で言ってる?」 「え、えぇ。どうして怒ってるの」 「だって。私がもし、私の身体。飽きちゃった? って聞いたらなんて言う?」 「そんなわけないわ。四六時中舐め回したいもの」 「うわ。キモっ」 「ちょっと……あなたが言わせたんでしょ……」 「んー。でもそういうこと」 「どういうこと?」 「ほんっっっと、鈍感だよね。ムカつく」 「えぇ!」 「初めてする時までどれだけかかっ