『安全配慮義務と健康経営』 Withコロナ時代に、中小企業が健康経営に取り組むべき3つの理由 その1
こんにちは!
健康労務コンサルタントの三浦です。
日頃から健康経営のご支援をしている、私たち『QOL創研』には、中小企業の経営者やご担当者の方から、よくこんなご質問を頂きます。
『中小企業には、健康経営は関係ないでしょ?』
『健康経営を行っても、中小企業では投資効果が得られないよね?』
そこで、このnoteでは、健康経営に疑問を持つ中小企業の皆様向けに、『Withコロナ時代に、中小企業が健康経営に取り組むべき3つの理由』をテーマに、中小企業における健康経営の重要性について、ご紹介したいと思います。
今回は、理由その1として『安全配慮義務と健康経営』について、ご紹介させて頂きます。
■従業員への安全配慮はどこまで必要?
使用者が負うべき、労働者に対する安全配慮義務は、労働契約法第5条において、以下のように規定されています。
『使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。』
それでは、この『必要な配慮』とは、どこまでを指すのでしょうか?
例えば、2022年4月から、中小企業にも適用になる、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)で義務化されている、相談体制の整備等は、必ず行わなければならない『必要な配慮』です。
しかし、義務化対応以外の『必要な配慮』は、一律に定まるものではなく、労働者の職種、労務内容、労務提供場所等の具体的な状況に応じて、求められると規定されています。
また、労働契約法以外で『必要な配慮』に係る法律が、労働安全衛生法 第3条です。
同法では、職場における労働者の安全と健康の確保に対する、使用者の義務が規定されており『必要な配慮』として、以下の3つに関わる措置や、対策を行うように明示されています。
・労災・事故防止の取り組み
・企業責任の明確化
・安全衛生に関する自主的な活動
しかし残念ながら、同法でも、働く環境や健康面への具体的な配慮については、明確に定義されていません。
そのため、作業の危険度や労働者の状態によっては、法定基準や法定研修だけの措置では『必要な配慮』として、不十分な可能性があるのです。
特に問題なのが、労働災害等が発生し、使用者の『必要な配慮』が不十分と判断された場合、労働契約法上の安全配慮義務違反に問われ、企業には、民法上で債務不履行や不法行為等の、使用者責任が問われる可能性があるのです。
そのため、多くの中小企業の経営者は、この『必要な配慮』をどこまで行えば良いのか、常に頭を悩まされているのです。
■法定義務を超えた安全配慮を行うには?
このような状況の中で、中小企業が行うべき『必要な配慮』の目安となりうるのが、経済産業省の『健康経営優良法人』認定制度です。
『健康経営優良法人』認定制度では、安全配慮義務に含まれる、労働者の健康保持増進に係る、必須7項目、選択15項目の健康経営の取り組みが、認定基準として設定されています。
ここで注目すべきなのは『健康経営優良法人』の認定基準が、法定義務を超えたレベルで、設定されている点です。
例えば、『健康経営優良法人』の選択項目となる、『長時間労働者への対応に関する取り組み』では、一定の基準を超えた長時間労働者に対する、医師による面接指導を行っている事が評価されます。
長時間労働者に対する医師の面接指導について、法定義務として、時間外・休日労働時間が、1月あたり80時間を超える労働者が、申出をした場合は企業の義務として、面接指導を受けさせなければなりません。
それに対して、『健康経営優良法人』の認定基準をクリアするには、時間外・休日労働時間が、月80時間未満の自社で定めた基準で、面接指導を受けられる体制を取っていることが必要とされるのです。
つまり『健康経営優良法人』に認定されるには、健康経営の取り組みとして、法定義務を超えた、安全配慮を行っている必要があるのです。
そのため、中小企業が健康経営に取り組むことで、法定義務を超えた安全配慮が出来ているかを、国の基準で判断することが可能なのです。
そして、『健康経営優良法人』に認定されたあかつきには、従業員に対する安全配慮に優れた企業であることを、国からお墨付きをもらって堂々と公表できるのです。
以上、今回のnoteでは『安全配慮義務と健康経営』として、『従業員への安全配慮はどこまで必要?』と、『法定義務を超えた安全配慮を行うには?』の2点について取り上げてみました。
もし貴社が、従業員への安全配慮について、どこまで行うべきか悩まれている様でしたら、『健康経営優良法人』を目指しては如何でしょうか?
次回は、理由その2『人事戦略と健康経営』です。
どうぞ楽しみにしてください!
最後までお読みくださり、有難うございました!
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