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奇跡の自然現象の魅力

みなさま、こんにちは。
物事を「引用・気づき・行動」にてアウトプットするアウトプットリーダーきらけんです。
私は会社員(IT営業マン)として働きながら、日々、学びに時間を費やしています。
本日の学びは、『奇跡の自然現象の魅力』です。

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「ずーっと見てるやん」

私は妻の声で我に返った。私は1時間あまりその場で起こる不思議な自然現象の虜になっていた。
太陽が強い西日となってまぶしく照らす。風が頬に吹きつける。磯の香りが鼻をかすめる。思わず、つばを飲み込む。
私は夢中でスマホのシャッターを切り続けた。目まぐるしく変わる景色を記録するために。その瞬間にシャッターを切っていないと二度と同じ景色に出会えないと思うのだ。

海が猛烈な速さで移動しているのだ。「ゴォー」と音を立てて移動しているのだ。海上なのにまるで川が流れているようだ。そして、川の端には大小さまざまな渦巻きが次々に巻き起こっては消える。渦潮である。

世界三大潮流の1つが日本にあるのを知っているだろうか?
イタリア代表のメッシーナ海峡、カナダ代表のセイモア海峡と並び、我らが日本代表は鳴門海峡だ。いわゆる、「鳴門の渦潮」が、世界三本の指に入るのだ。なんということだ。私は、関西に生まれ育って41年。今まで知らなかったのだ。

そんな、鳴門の渦潮が自然現象の奇跡というと、大げさに思うだろうか?
2つの奇跡により鳴門の渦潮は成り立っている。

そもそも、潮の満ち引きは月や太陽の引力によって海面上の上下動が周期的に起こる現象だ。地球は自転しているため、1日に満ち潮と引き潮が交互に2回ずつ約6時間周期に起こるのだ。

月の引力によって海水面に大きな高まりができ、それは月の動きを追いかけるように東から西へ向かって移動する。その満潮の波は紀伊水道(紀伊半島と四国の間)と豊後水道(大分県と愛媛県の間)にも入り北へ進む。豊後水道に入った満潮の波は瀬戸内海を西側から水位を上げて播磨灘に向かう。一方、紀伊水道に入った満潮の波は、二手に分かれ鳴門海峡と大阪湾方面に向かう。その波はさらに明石海峡を抜けて播磨灘に入り、豊後水道を経てきた満潮の波と合流する。紀伊水道から入ってきた満潮の波が播磨灘に入るまで約6時間かかる。この6時間が経過する間に紀伊水道側は干潮の波となり、鳴門海峡をはさんだ播磨灘と紀伊水道との間で、満潮と干潮が隣合わせになる。海上面に高低差が生じるのだ。
これが1つ目の奇跡、時間差マジックだ。高低差は最大で1.5メートルにもなる。

この高低差が生じる鳴門海峡は幅が極端に狭く、1.3キロメートルだ。高低差とこの狭さにより、強い圧力がかかり潮の勢いが増す。時速およそ20キロメートルの日本最速の潮の流れになる。中央部を流れる速い流れと陸地側の遅い流れとの速度差で回転力が生まれる。これが渦潮の正体。2つ目の奇跡、圧力マジックだ。

2つの奇跡は恩恵をもたらす。仕組みはこうだ。
渦潮は水中で竜巻のようにらせん状に激しく回転しながら下へ伸びる。渦潮の強い吸引力が海面の空気を引き込む。引き込む力があれば引き込んだ水を押し上げる力も存在する。引き込む力と押し上げる力が両立する。
通常、川から海に流れ込む栄養分は海底に沈んでしまう。ところが、鳴門海峡では渦潮の引き込む力と押し上げる力により、海底に沈んだ栄養分をまんべんなくかき混ぜてくれるのだ。栄養分はプランクトンを増やす。そこにプランクトンをエサとする小魚がやってくる。そこに小魚をエサとする大きな魚がやってくるのだ。その結果、「鳴門鯛」の名を持つマダイや、「鳴門わかめ」など豊かな海の幸を育むのだ。

この渦潮には、さらに秘密がある。播磨灘が満潮時には、鳴門側から見て左から右に潮は流れる。しかし、6時間後干潮になると、鳴門側から見て右から左に潮は流れる。川の流れが逆になるのだ。それに伴い、満潮と干潮で橋の両側に交互に渦潮が生まれるのだ。

この奇跡の自然現象を私は鳴門海峡にかかる大鳴門橋の中から観察していたのだ。その観察施設は「渦の道」と名乗る。鳴門側から大鳴門橋に入り、展望室まで450メートルの散歩道だ。海を眺めながら歩いていく。遊歩道の両サイドは橋への風圧を軽減するため、フェンスになっており潮風が感じられる。そして、全長450メートルの遊歩道の先端にある展望室は、播磨灘側、紀伊水道側とも眺められる。ガラス床をのぞき込むと、45メートル下に渦潮や、潮の流れを体感できる。この展望室に私は1時間あまり釘付けだったのだ。

「渦の道」とは、渦潮の魅力へと誘う道なのだろうか。すっかり渦潮の魅力に引き込まれた私は、すぐに上がってこれなかった。6時間後を待っていたのだから。

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本日の学びは、『奇跡の自然現象の魅力』でした。

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