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鰓障害を来たす疾患に注意を-5月の魚病対策-

この時期に最も注意しなくてはならないのが、鰓障害を来たす疾患です。図1でもわかるように、鰓障害は多く、これらは条件をキチンと管理するだけでもある程度予防になりますが、3月に述べた定期投薬を行えばさらに有効です。

図1

普通、鯉の疾病で突然、死に至るということはなく、必ず数日前からその症状が見られるものです。不幸にして羅患し、鰓障害を来たしてくると、鯉は力なく群を離れて浮遊し、注入口や滝口によってくるようになります。これは、鰓障害により水中より十分な酸素を取ることができず、少しでも酸素飽和濃度の高い所に寄ってくるわけです。このまま放置すれば多くは死亡します。

したがってこういう状態を発見しましたら、ただちに鯉を取り上げ、有効薬剤(過マンガン酸カリエルバージュ、ホルマリンなど)の溶液と純酸素でビニール袋に詰め、余り動かないように池内に浮かせます。2〜3時間して元気がきてきたところで、次に大きめの容器に移し、やはり有効薬剤による薬浴を数時間続けます。このとき、必ずエアレーションを行って下さい。そうして池内に戻してやります。これを3日連続して行いますが、鯉が元気になった場合は薬浴とエアレーションだけでも大丈夫です。

このように鰓障害を来たす疾患には酸素療法が有効で、鯉は元気になります。空気中の酸素は20%しかすぎず、水中への酸素の取り込みには限度があり、鰓を害された鯉にはエアレーション程度では不十分な場合も考えられます。

このようなとき、純酸素を使用することによって、水中に協力に酸素が溶け込んで、障害によって有効面積の少なくなった鰓でも十分に魚体に必要な酸素を取り込むことが可能になるのです。しかし、こうならないように予防するのが大切なことは言うまでもありません。
 
※画像はイメージです。

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