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冬になる前に-11月の魚病対策-

10月に続いて11月もいろいろと忙しい季節です。いろいろな行事で鯉の出し入れが頻繁となって、かなりのストレスが鯉にかかるわけですが、それにしましても、一シーズンに何度も同じ鯉が品評会に出品されるのを見ますと、本当にかわいそうになってしまいます。

1シーズンに3回も品評会に出された鯉が春先に死んでしまったり、死なないまでもすっかり体調をくずして翌年はもう使い物にならなくなってしまったりという経過をしばしば見たり聞いたりします。鯉は非常に敏感で、神経質な動物です。多くても年に1回、ふつうは2年に一回ぐらいの出品にとどめてやるのが良いではないでしょうか。品評会、品評会と騒がれるのは鯉にとって大変迷惑な話であろうと思われます。

11月も下になりますと水温もかなり下がり、寒い地方ではそろそろ冬囲い等の準備にとりかからねばなりません。冬にはどうしても池の管理がおろそかになり、魚病の発見や治療も後手に周りがちとなります。厳冬の時期でも8℃〜10℃を保てる条件下らよいのですが、更に水温が下がって、鯉がじっと動かない状態で水をかき回すような操作や、大量の水を変えるようなことは危険ですので行ってはなりません。

そうしたことを考え、11月末〜12月にかけて浄化槽内はもちろん、池内あるいは池の外回りなどの清掃・整備を行う必要があります。汚物や粉塵・藻の古いものは除去し、ウォータークリーナーをはじめとする濾過器類はいつでも手軽に掃除あるいは取りかえできる体制にし、冬期の間の池管理の操作がしやすいように各種小道具や器具も準備しておきます。

11月も(3月号で述べましたように)マゾテンの定期投与を行いますが、そのほかに1週以上の間隔をおいて、メチレンブルーの1回投与を施行し、池内や浄化槽の有機物などの清掃を含めた低水温期の魚病予防を行います。こうしておきますと、冬に大雪が降ったりしていろいろと管理上不自由が出てきても、対応が容易となり、水質を保持することができます。

池管理・水管理を効率よく合理的になし得るポイントの一つとして前述した小道具の重要性を無視するわけにはいきません。いくら一所懸命時間と体力を使っても、小道具がおそまつですと効率が悪く、うまくいきません。ゴミ取りのタモ一つ例にとってみても、そのタモの大きさ、柄の長さや弾力性、そして重さなど、池の大きさや深さなど特徴に合致したものが決まってくるわけです。これは冬期には更に痛感することになります。

魚病は水温の温かいうちに治しておくことの大切さはこれまでも何度も述べてまいりましたが、水温が低いからといって治らないわけではなく、水温が8〜10℃で鯉が動いている場合は局所治療や薬浴をしてやりますと軽快していくことが少なくありません。外傷などの局所治療にはメチレンブルーやピクオタニンブルーの塗布を、寄生虫や細菌性の全身的な疾患にはエルバージュや過マンガン酸カリの薬浴をさせましょう。

※画像はイメージです。

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