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錦鯉 -今月の魚病対策-

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季節に先駆けた錦鯉の魚病対策について。 錦鯉愛好家の皆様に読んでいただけると幸いです。
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2023年5月の記事一覧

鯉の蘇生ABCD-5月の魚病対策-

不幸にもこうしたカルキ障害を受けた鯉には速やかな救急処置が必要です。常に蘇生ABCDを頭に入れて行動します。   AはAeration(液体への空気供給)   BはBreathing (呼吸)   CはCirculation(循環)   DはDrug(投薬) Aerationは純酸素ならばより強力です。鯉自身がまだ少しでも自発呼吸をしている場合は、ただちに適量のハイポでカルキを中和するか、温度差のない良い水に移動し、純酸素にてビニール袋詰めにします。 普通はこれで比較的

恐ろしいカルキ障害-5月の魚病対策-

5月には品評会が開かれる地区もありますが、最近、品評会でのカルキによる事故発生をしばしば耳にします。 水道水は飼育水として大変良い水であることはだれでも知っていますが、必ずカルキを抜かねばなりません。カルキを抜くには、その中和剤であるハイポの投与、あるいは太陽光線、エアレーション、そして温度の上昇が有効です。安全なのは太陽光とエアレーションですが、効率がよくありませんので、品評会では適量のハイポの使用を余儀なくされることが多いようです。エアレーションも前日より十分に行い、鯉

鰓障害を来たす疾患に注意を-5月の魚病対策-

この時期に最も注意しなくてはならないのが、鰓障害を来たす疾患です。図1でもわかるように、鰓障害は多く、これらは条件をキチンと管理するだけでもある程度予防になりますが、3月に述べた定期投薬を行えばさらに有効です。 普通、鯉の疾病で突然、死に至るということはなく、必ず数日前からその症状が見られるものです。不幸にして羅患し、鰓障害を来たしてくると、鯉は力なく群を離れて浮遊し、注入口や滝口によってくるようになります。これは、鰓障害により水中より十分な酸素を取ることができず、少しでも

愛鯉の総点検を-5月の魚病対策-

今年は大変厳しい冬が続き、「暑さ、寒さも彼岸まで」という言葉も全く無視されたように、例年より4〜5月℃も水温の低い日が続きました。皆さんの愛鯉の状態はいかがでしょうか。 例年ですと、5月も下旬になると水温は15〜16℃近くまで上昇します。この頃はいろいろな植物、水草や藻、プランクトン、そして鯉自身も活動的になってくるとともに、各種寄生虫や細菌類も入り乱れて繁殖する時期でもありますので、餌付けの注意とともに、定期投薬が大切になります(図1)。3月の図1も参考に投薬を行って下さ