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【都政実務が択一で一番重要】都庁主任級選考(主任試験)の対策方法《択一編》

都庁の主任試験における択一は平均点より1点でも高ければ、3年間免除となります。
逆に言うと、平均さえ超えれば高得点を取る必要はない試験になっています。

そのための労力を減らすには頻出事項だけ抑えればOKです。
ただ、頻出事項を探すのも通常は労力になるかと思うので、本記事でその労力も省略できるようにしたいと思います。

主任試験(択一)の出題範囲

主任試験における択一の出題科目は以下の通りです。

  1. 統計資料の見方:2問程度

  2. 基礎的法令(憲法):3問程度

  3. 基礎的法令(行政法の基礎知識):10問程度

  4. 地方自治制度:10問程度

  5. 地方公務員制度:10問程度

  6. 都政実務:13問程度

  7. 都政事情:7問程度

どの科目で何点とればよいのか


勉強

合格ラインは、H27の41点という事例がおそらくここ数年で一番高かったですが、概ね40点取れればまず合格できるので、まず40点を目標設定にします。
もちろん、個人の得手不得手で最適化はしてほしいですが、一つの標準モデルとして以下の得点が考えられます。

  1. 統計資料の見方:1/2点

  2. 基礎的法令(憲法):2/3点

  3. 基礎的法令(行政法の基礎知識):8/10点

  4. 地方自治制度:8/10点

  5. 地方公務員制度:8/10点

  6. 都政実務:11/13点

  7. 都政事情:2/7点

実際にはもっと落としても大丈夫な年がほとんどですが、まずは各科目の勉強の目安としてこのくらいを目標としておけばまず安心です。
細かい点は後述しますが、重要な点として都政事情はほぼ取れないと思ったほうがいいということです。

都政事情はかなり細かい問題が出る上に、参考書・問題集等でまとまっていないので、きちんと対策しようと思うとものすごい労力をかけなければいけずコスパが悪いです。
なので、最小限の努力で1問、鉛筆を転がして当たる確率で1問の2問程度を限界値として、あとは他科目で稼ぐ計算をする必要があります。

主任試験(択一)の科目別出題傾向と勉強方法

それでは科目別に出題傾向と勉強方法を紹介します。

都政実務

一番重要なのが都政事情です。
13点と最も出題数が多いことに加え、試験勉強のうち、のちの都庁人生で最も役に立つのが都政事情なので、ここは重点的に勉強が必要です。

職員ハンドブックの内容しか出題されないですが、令和3年版で700Pほどあるので、職員ハンドブックを1から読み込むと非常に非効率です。
また、ひと昔前は過去問の焼き直しが多かったので、過去問だけ研究すればよかったですが、今は過去問の単純な焼き直しは少ないので、職員ハンドブックを避けて通ることもできません
※H27の平均点が高かったのは過去問の焼き直しがまだあった時代というのも一因

そこでオススメの方法が過去問を解きながら、出題内容から逆引き的に職員ハンドブックの読み込む方法です。
というのも、以下図に3年分、エクセルに25年分以上の出題傾向を掲載しますが、出題される分野はほぼ限定され、新規分野から出題されることはほぼないからです。

都政実務出題範囲

過去問は人事委員会掲載の3年分では足りないので、先輩等からもらうか、以下のような市販の問題集を買うことをおススメします。
ただし、以下問題集は解説が不十分なものも多いので、必ず職員ハンドブックの該当ページを確認する必要があります。

行政法

次に重要なのが、行政法・地方自治法・地方公務員法です。
まずは、行政法から対策方法を紹介します。

基本的には、初学であっても、いきなり101問シリーズを解き始めるのが効率的です。
最初は何もわからなくても回答を見ながら解いて、3周ほどすれば十分合格点が取れるようになると思います。
特に一周目はわけもわからずしんどいですが、結果的にはこれが一番の近道です。

ただ、よほどの苦手意識があるようであれば、人事委員会が新任期における自己啓発としてオススメする参考書を読んでみるのも良いかと思います。
その場合も問題は一周してから読むことをオススメします。
入門書とはいえ分厚いので、濃淡つけて読む必要があるからです。

なお、たまに『行政法実践150題』を使っている人が見受けられますが、基本的には主任試験にはオーバースペックです。
満点を取りたいならここまでやる必要もあるかもしれませんが、合格点をとるだけなら101問の方で十分すぎるくらいです。

比較的まんべんなく出題されますが、「行政上の強制執行」は出題頻度は少なく、その中では「行政代執行」と「即時強制」くらいしか出ていないので、他にはあまり力を入れないでも良いかもしれません。
あとは、1度出題された分野は2年連続で出ることは少ない傾向にあるので、直近で出た問題は優先度を下げても良いかもしれません。
※2年連続で全く出ないわけではなく、2年連続で同ジャンルから出題されることもあります。あくまでその頻度がかなり低いと言うことです。

地方公務員法

こちらも対策方法は行政法と全く同じで、初学かどうかに関わらず101問シリーズを3周することが基本になります。
こちらも実践150題に手を出す必要はありません。

よほどの苦手意識がある場合は、人事委員会のオススメ本を読んでもいいと思います。

こちらもまんべんなく出題がされていますが、特に「任用」「分限・懲戒」「服務」は頻出なので、この辺りは重点的に対策する必要があります。
一方、「人事評価」「退職管理」「関係法令」などは出題頻度が低い傾向にあるので優先度を下げても良いかと思います。

地方自治法

こちらも対策方法は行政法と全く同じで、初学かどうかに関わらず101問シリーズを3周することが基本になります。
こちらも実践150題に手を出す必要はありません。

よほどの苦手意識がある場合は、人事委員会のオススメ本を読みましょう。

こちらもまんべんなく出題されていますが、特に「予算」「長の権限」「議会の権限」「付属機関・補助機関」は頻出なので、この辺りは重点的に対策する必要があります。

憲法

次に優先度が高いのが憲法です。
一見すると3問しか出ないのでコスパが悪そうに見えますが、問題がそんなに難しくないので、実はそこまでコスパは悪くないです。
こちらも101問シリーズで対策は十分すぎるくらいです。

苦手ならいっそ捨ててしまい他で稼ぐ手もありますが、一応人事委員会のオススメは以下です。


統計資料の見方

職員ハンドブックの後ろの方に統計のページがあるのでここを読みつつ、過去問を繰り返すだけで基本的には大丈夫です。
昔は時間さえかければ解ける問題もありましたが、今は知識がないと解けない問題にシフトしているので、最低限の計算方法や用語の概念などは押さえておきましょう。

都政事情

最大の難関が都政事情です。
良く言われる対策方法に、日ごろから「とちょうダイアリー」や知事の発言に目を通せと言われますが、はっきりいってそんなのでは太刀打ちができません。

例えば、R3に出題された「東京都動物愛護管理推進計画」では4つの施策の方向性と16の重点施策について、その組み合わせが合っているかという問いがあります。
ここまで細かいものは本格的に暗記対策をしないと回答は不可能です。

  • まず、『動物愛護管理推進計画』にたどり着くのが難しい。
    (そんなに重要な施策だとは思わないのが普通かと思います。)

  • 次に、仮に計画に目を通していても中身の細部まで知っていなければ答えられない。
    (日ごろちょっと目を通すだけで覚えられるレベルを超えています。)

  • さらに、知事の発言等で重要視されていたわけでもない。

本格的な暗記対策をしなければいけない一方で参考書や問題集が存在しません。
以上を鑑みると、都政事情で点を取るのは非常に難しいため、ここに時間を使うのは無駄です。
そのため、対策としては、「局の研修」「都政新報の特集」だけやる、これだけで良いと思います。

これ以上は労力に対してリターンが見合わず時間の無駄です。
局の研修がなければ最悪都政新報だけになりますが、それでもまぁ1問くらいは答えられるでしょうし、あとは1問当たればラッキーくらいに思うくらいで良いかと思います。

ここに時間を使うくらいなら、都政実務に時間を当てたほうがいいでしょう。
ただし、無対策で行くには7問は大きいので、本当に最低限はやっておいて良いと思います。

都庁主任試験の択一対策まとめ

  • 得点源は、「都政実務」「行政法」「地方公務員法」「地方自治法」である

  • 都政事情は対策が非常に難しいので、得点できない前提で考えておく

  • 基本は過去問・問題集の演習と職員ハンドブックの必要個所の読み込みのみで十分合格可能

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