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「最難関のリーダーシップ 〜変革をやり遂げる意志とスキル」

ロナルド・ハイフェッツ著「最難関のリーダーシップ」(英治出版)

  職場や家庭で私たちを取り巻く諸問題には、知識や技術、経験によって解決することができる「技術的問題」と、価値観や信念の違いを明らかにし、痛みや喪失を受け入れて新たな見方や考え方を見つけることで相手や自分、組織の行動を変えていかなければ解決しない「適応課題」があります。

  著者は、より解決が困難な「適応課題」を解決するために発揮すべき力を「アダプティブリーダーシップ」と呼び、望ましい問題解決のプロセスを診断→解釈→介入とし、その具体的な要点を本書で解説しています。

  様々な衝突を必然とするアダプティブリーダーシップの実践には「気軽に足を踏み入れるべきではない」という前置きのもと、『孤立』、『拙速な行動』を戒め、まず複雑な組織のシステムを「バルコニーに上がって眺める」ことから始めること、そして組織の人々が話す「言葉(言っていることと言っていないこと)」に耳を傾けてそこに潜む組織の問題を知ることも診断を行う上で重要であるとしています。

  本書では、多くの事例に基き、「介入」を助ける具体的な打ち手やフレームワークを数多く紹介していますが、長い時間をかけて組織に染み付いた習慣的対応や暗黙の了解事項(エレファント)を可視化し、課題とその原因を正しく定義する『解釈』のフェイズこそが最も困難を伴うプロセスであると言えます。

  自身が組織の変革を進める立場にある人には、「自身の全ての弱点がここにある」、「組織の全ての問題がここにある」そう感じられる一冊なのではないでしょうか。


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