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人材確保は兵站線(Logistics) ーnote始めます

  膨大な軍事物資の消耗を伴う近代戦において、戦闘に必要な物資を必要な時期に必要な場所へ必要な量を届けることができるかどうかは勝敗の岐路であり、故に必要物資の大量生産、大量輸送、人的資源の戦力化を効率的に行うこと、即ちロジスティクス(兵站)が軍の作戦遂行上極めて重要になります。

  記録によると、日清戦争において兵站を軽視した日本軍は1,000人の戦死者の10倍を超える1万1,000人の病死者を出したとされており、さらに日本軍は太平洋戦争においてもその失敗を繰り返しています。
  太平洋戦争における日本軍の対米戦略の前提はハワイ、グアム、アリューシャン列島を結ぶ海上の前線基地でした。 それに対し、米国の反攻の基本戦略は海上ロジスティクス線の切断であり、その要衝として建設されたのが大西洋側から太平洋側へと速やかに艦隊を移動せしめるパナマ運河と、何よりも、大型の石油タンクやドックを備えたハワイ真珠湾基地だったのです。


  真珠湾基地に対する日本軍の奇襲(真珠湾攻撃)は山本五十六海軍大将による乾坤一擲の策であり、綿密な計画のもと一級の戦力資源を投入、多くの艦船を破壊したにも関わらずタンクやドックに対する攻撃が一切行なわれなかったことからも日本軍が兵站を重要視していなかったことが窺えます。加えてソロモン、レイテなどの海戦においても敵輸送船団への攻撃を怠ったことは、海軍の任務を軍艦同士の戦闘という任務の一部としか考えていなかったことに因ります

  さて、ビジネスのグローバル化を急速に進める多くの企業において、人材不足が“古くて新しい問題”であることもまた、兵站の軽視によるものではないかと私は考えます。 現に、中長期の事業計画に照らして“仕事も英語もできる人材”、“(豊富な海外経験をもとに)日本から海外拠点を管理・支援することができる人材”などを計画的に創ろうとする企業は意外と少ないものです。 仮に「英語なんてできなくても現地に行けば何とかなる」という発想で海外赴任者を選んでいるとしたら、「食糧や資材は現地で徴発」として無計画に戦線拡大を図った日本軍の失敗を繰り返すことにつながりかねません。

  「海外事業要員確保は兵站(Logistics)である」 

これは最近私が見つけたメタファーであり、このブログでは前向きにLogisticsを進める、特に中堅中小企業の事例をご紹介していきますのでお楽しみください。

<参考文献>
谷光太郎氏 著「ロジスティクスから見た失敗の本質 〜なぜ日本人は兵站が苦手なのか」(Kindle版)

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