見出し画像

Hit Refresh

 サティア・ナデラ氏 著「Hit Refresh 〜マイクロソフトの再興とテクノロジーの未来」(日経BP社、2017年)

 世の中がスマートフォンへとシフトしたことに伴い停滞したパソコン全盛期の覇者マイクロソフト。
 2014年に第3代CEOに就任したサティア・ナデラが行なった象徴的なことは「脱・Windows」でした。

 仇敵であったAppleとの提携など、「Office」のアプリケーションを他のOSにも載せることでユーザー数を拡大、さらに全ての製品をクラウド上に展開してサブスクリプションビジネスを構築しました。(※同氏がクラウドビジネスの事業責任者を担ったのはCEO就任前の2010年)

 しかしナデラ氏が変革の柱としたのは企業文化の再構築によって大企業化・官僚化した組織を“リフレッシュ”すること。そしてそれは即ち、「リフレッシュボタンを押しても変わらないものは何か」というMicrosoft社元来の魂(価値観、存在理由)は何かをもう一度組織に思い出させることでした。

 世界中の全ての机と家庭にコンピュータを、という創業時のビジョンに対し、医療、学校、途上国にまでPCとクラウドが広く普及した現実を、息子の障がいという顧客体験(CX)を通して再認識したナデラ氏は、幹部や社員に対して自分たちの使命や存在理由は何かを問いかけるとともに、まだ漠然とした、満たされていない顧客のニーズをテクノロジーによって満たそうとする熱意を掻き立てます。

 文中に引用された「未来は私たちの中に入り、私たちの中で姿を変え、しばらくしてから姿を現わす」というリルケの詩が、ナデラ氏の世界観を象徴的に表しています。

※お求めはコチラ・・・




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?