南国でカフェ創り その4(差押さえ編)

国税局の担当官と話して、次の日に家にきて話しあうことになった。
6月の朝、3人組の担当官がきて、軽く挨拶をすると予想外の事態に急変。

差し押さえ令状を見せられ、「いまから全財産を差し押さえます」と。

うむも言わさず、3人は白手袋にダンボール。
まさにテレビで見るあれが、目の前で繰り広げられた。

隣に住んでる爺さん婆さんも、
えっ!?なにやらかしたんだ??みたいな気まずさ。笑

話し合いましょう、っていうのは逃げたり、
隠蔽したりしないようにする嘘だった。
これは本当にショックだった。
まさかの展開だったから。

書類や本、PCの中やIpadの写真までくまなく調べながら
写真に収めていってた。
ゴミ箱の中も、部屋の隅から隅まで。

僕はもうどうしようもない、って感じで言われるままに手伝ったり、質問に答えたりした。

口座やお金の流れなんかは事前に全て調べあげられてて、
僕も気付いていなかった証券会社にある数十万円を向こうから指摘されたり、生活資金に残しておいた100万円も含めて、全て後日持ってくるようにも言われた。

最終的には財布の中にあった10万円のうち7万円も差し押さえられた。
ドルは手続きが面倒なのか、差し押さえられず3万円と300ドルが全財産に。

さすがにキレて、
「来月の家賃も光熱費も払えませんよ!?どう生活したらいいんですか?」って聞いても、知りません、と。

「両親や知人から借りて払えませんか?」
「どうするつもり?」
っていう調子で、犯罪者のような扱いだった。

「両親は貧乏でお金ありません。友人も貸してくれないと思う。」
他の人に迷惑がかかるのだけは避けたかったし、
両親を心配させたくなくて、このことを伝えなかった。
だから、いまだに知らない。笑

基本的に発生した税金は既に国家のものだから、
国家のお金を使いこんだ犯罪者、っていう扱いになるみたい。
犯罪者とまでは言われないけど、実質そういう扱い。

まぁ、税務署の職員も人間だから、立場上の業務を遂行しただけだろうし、そういうシステムを国が作ったんだろうし。

その後も毎月1回は
・今どうしてる
・どういう返済計画を考えてる
・今月の収入はこれくらい
みたいなやりとりを電話でして、
収入と使用用途を書いた書類を提出して、、お金の流れは全て報告してた。

ツラかったのは、
国税、市税、年金の3方向から差し押さえや、返済を迫られたこと。

事情を説明したけど、
「そう言われても、管轄が違いますから」
って言われて、わかってくれない。
向こうも、やらないといけない「システム」なんだろうけど。

借金取りからの督促みたいで本当につらかった。
向こうもツラそうには言ってくるけど・・
冷静に考えても、どうしょうもないぼくの状況で、
市税や年金はああいう態度をとる必要は無かったと、今でも思う。
やり過ぎだなと。

年をまたいでしまったが為に発生した税金・・・
またがず年内であれば、利益は出てないから税金も発生しない。
数ヶ月の違いで、こんなことに。。

お世話になった恩返しだと思って節税なんか考えずに支払ってた。
でも、支払いができなくなれば犯罪者のような扱い。
全財産を差し押さえれられ、国家の管理下に。

その時に気付いた。
あぁ、国家っていうのは、人の集まりのことじゃない。
国家って存在が先にあって、ぼく達はその支配下にあったんだと。
そうじゃないと辻褄が合わない。

税金を払わなければ個人の資産でも支配下に置かれ
法律を犯せば牢屋に入れられるんだから。
国家の暗部をかいま見た気分だった。笑


こんな状況になって悔しかったり、情けなかったり。

当時自分なりに考えて、3つの選択肢があった。
バカみたいな選択肢だけど、当時は本当に、これしかなかった。
ーーーーーーーーーーーーー
・死んだフリで暮らす
・フィリピンに逃亡
・諦めて返済
ーーーーーーーーーーーーー
具体的には、

・死んだフリで暮らす
これは多重債務者や似たような境遇の人達がよくやることで、というかそうするしかなくて・・連絡が取れない状態になって、転々としながら暮す。
詳しく書かないけど、一応時効なんかもある。
適当にバイトや日雇いで暮らす感じだけど、名義は使えない。

・フィリピンに逃亡
数ヶ月またいだだけで、散々いままで税金を払ってきたのに、この仕打ちはヒド過ぎる、という思いも強かった。
もう逃げてしまえば、海外まで追っかけるわけないし、
2000万をこえる税金も払わなくていいだろう、と。
(正確には海外に逃げても、海外にいる期間は時効停止)

・諦めて返済していく
これは当時、一番現実的じゃなかった、自分的に。
2000万だけじゃなくて、懲罰的な意味で延滞金として年利14%がかかってくる。金利だけで年間280万、地方在住なら年収に匹敵する。生活費も必要なのに、無理だろう、と。一生金利を払い続けるなんて地獄過ぎると。

仲の良い先輩には正直に電話して、
「破産しました。どうしたらいいと思いますか?」
って聞いてみてた、どんな方法があるか?

みんなめちゃ驚いてたけど。
いやいや、お前めちゃ稼いでたやんけ!って。笑

最期は、ぼくにHさんの情報をくれてた、一番信頼する先輩のひと言で決まった。

「お前返せるって。よく考えろよ?2000万なんてそこらへんでサラリーマンやってる人達でも家建てるために普通に借りて払ってるよ??お前なら払えるよ、よく考えろ、たかだか2000万だぞ?お前払えるって!」

この言葉を聞いてから、自分の肚が決まった。
よし、払おう。

どうせ死んだような生き方するなら、死ぬ気になって払ってやろう。

そう思ってからは、
「どうしよう?これからどうなるんだろう?」
から

「どうやって2千数百万円を払おうか?」
って、自分の中での問いかけが変わった。

最初にお金が無くても稼げる可能性のあるビジネス・・・・
脳ミソふる回転で来る日も来る日も考えた。
それと同時に、自分と経営者達と何が違うのか?も考えた。

あの人達は確かにお金も持ってるけど、だから尊敬してる訳じゃない。
お金は稼げるけど、それを失ったトレーダーの自分。
いったい何が違うんだろう?と。

そこで、その人達の何がスゴいのか自分なりに考えてこう思った。

本当に価値のある財産は、目に見えないものや、ことのほうだと。
価値があるのは金銭じゃなくて、
ビジネスや、価値を創れる能力、知識や経験のほうだと。
あの人達にあって、自分に無いもの。

自分は金銭的には全てを失ったけど、
「成長」という点にフォーカスすれば、進歩してる。
世間がなんて言おうと、自分はそう信じてやっていこう、って決めた。

以前と変わらず、助けてくれる地元の友人もほんとに有難かった。
あ~本当の財産はこういうやつらと出会えて、
一緒に遊べたこと、人生の一部を共有できたことだな、って思った。

返済編につづく・・


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?