メモ

先週1月28日付BBCによりますと、米国バイデン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が電話で協議し、バイデン大統領はロシアが来月ウクライナに侵攻する「確かな可能性がある」と警告した、と報じました。
あわせてバイデンは、記者団に対し「東欧と北大西洋条約機構(NATO)の国々に米軍を近いうちに送る」と述べ、今週3日に東欧とドイツに派兵しました。
米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は「配置されている兵力のタイプを考えると、これがウクライナに対して発動されれば大変なことになる。大量の犠牲者が出る」と指摘。
「密集した都市部や道路などがどのような光景になるかは想像がつくだろう。恐ろしい事態、悲惨な事態になる。無用の犠牲が出る」と記者団に話しました。

しかし、昨年12月にもお伝えしましたように、元々ロシアの一部だったウクライナに政変を起こし、新米政権に変えたのは米国務省やCIAの意を受けたジョージ・ソロスです。 

カラー革命から連なる2014年2月下旬に発生したウクライナ騒乱後、クリミア半島(クリミア自治共和国)とウクライナ本土のドンバス地方(ドネツィク州とルハーンシク州)で起きたウクライナ政府軍と、親露派武装勢力やロシア連邦政府軍との紛争は、仕掛けた米国抜きでドイツとフランスが仲介する形で停戦合意しましたが、その直後にジョージ・ソロスは憤慨するようにニューヨークタイムスの取材に応えています。
「私がロシアと戦争するため、ウクライナ危機を起こした」のに「EUが余計なことをしてくれた」と話しました。 

今週、FOXニュースのタッカー・カールソンは、「ワシントンでは超党派のネオコン同盟が、この衝突を発火させるべく仕掛けてきました。米国の外交問題の当事者たちは数億ドルもの兵器を世界でもっとも不安定なこの地に送り込み、爆発が起きるのを期待して待っているのです。その期待が叶う日が近いようです。爆発は起きそうですし、それは米国をいとも簡単に紛争の中心に吸い込むことになるでしょう」と述べました。

つまり、今回ウクライナ騒動を仕掛けているのは、米国のネオコンです。

イラク戦争を強引に主導した「新保守主義=ネオコン」は、自由主義や民主主義を重視してアメリカの国益や実益よりも思想と理想を優先し、武力介入も辞さない超党派の政治イデオロギーです。
現在、バイデン政権におけるネオコンの中心的人物は、かつてウクライナ親露政権を転覆させた命令がYouTubeに流出した国務次官のビクトリア・ヌーランドです。
夫はバイデン政権を実質的に運営するブルッキングズ研究所上席フェローでネオコンの論客として知られるロバート・ケーガン。
トランプ政権時には夫婦揃って冷や飯を食わされてきましたが、バイデン政権で大復活しています。
そこで、かつて失敗したウクライナ騒動を再燃させ、ロシアとの対立を煽っているのが現在です。

ネオコンは、長年かかって東と西のコーナーストーンであるウクライナを、軍産複合体と手を組み、NATOへ加盟させようとしてきました。
しかし、実質的にウクライナの大半は、いまもロシアです。

僕自身の経験でもイビサでDJをしていると、ウクライナから出稼ぎに来たダンサーが集まり、オデッサから来た女性たちは、皆「わたしはロシア人!」と言って、ウォッカを一気飲みします。
逆に、ウクライナのオデッサに「イビサ」というクラブがありまして、何度かDJしに行きましたが、あの街は基本的にロシア経済圏です。
オデッサの夏は40度近くまであがり、ロシア本国からバケーションに来ている人たちが多数いて、皆ロシア語を話す、実質的にロシア人の街なのです。

しかも「ロシア帝国運動」と呼ばれる極右ロシアン・マフィアが裏社会を仕切っており、実態はロシア政府を後ろ盾にした民兵です。
彼らはウクライナ東部を中心に相当数根付いており、国境に集まったロシア軍以上に危険な存在ですが、表にはあまり出てきません。
昨年、米国やカナダは「ロシア帝国運動」を「テロ組織」と指定し、対抗する右翼組織をウクライナに作りましたが、規模的に対抗できず、夜の街は相当荒れています。

では、なぜバイデン政権はロシアが実効支配するウクライナへ、いま、火をつけたいのでしょうか?
それは、今年11月に行われる米国中間選挙にむけて、バイデンの支持率が急激に落ちているからに他なりません。

イラク戦争時のブッシュのように、ウクライナ戦争で支持率アップを狙いたいバイデンは、ウクライナを守るための「正義の戦争」に突入し、低い支持率を上げて11月の中間選挙に突入しようと画策します。
そのため、ネオコンや軍産複合体と手を組み、ウクライナを戦場にしようとしているのです。

今週2月2日付BBCによりますと、プーチンは「米国がロシアを戦争に引き込もうとしている」と改めて言及しています。
また、クロアチアのミラノヴィッチ大統領は、ウクライナをロシアとの対立に扇動したとして米国と英国を非難しました。

為政者の都合によってはじまる戦争。
そして、それを煽って正当化しようとするバイデンに近い米国マスメディア。
バイデンの支持率が落ちれば落ちるほど、世界は混沌とするのです。

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