見出し画像

Spotifyのここ数年の成長を調べてみた

2021年4月にユニコーン企業の秘密という本がO'Reillyから発売されて、私も最近購入した。
この本は周りでも読んでいる人が多くかなり評判がよい。

スウェーデン発のスタートアップがどのようにしてユニコーン企業になったのか、その背景を知って自らのビジネスに活かそうと思っている人が多いのだろう。
今回は、この本の内容ではなく、過去に話題となったSpotifyのエンジニアリング文化の動画が公開以降のSpotifyの成長について簡単に調べた内容を書く。

Spotifyのエンジニアリング文化

Spotifyは独自のエンジニアリング文化を持っており、その内容が公開されており、過去に一部界隈で話題になっていた。
それが以下の2つの動画で、7年も前に公開されたものだ (noteにうまくvimeoの動画が貼れなかったので、YouTubeの同じ動画を貼った)。

この動画が公開された時点で、Spotifyはすでに業界を牽引する企業になっていた。
この動画ではSpotifyのエンジニアリング文化として、

・スクラムよりもアジャイル
・AlignmentとAutonomy
・Cross-pollinationによる一貫性と柔軟性のバランス
・失敗を積極的にしていく文化
・切り離されたアーキテクチャー
・Think it, Build it, Ship it, Tweak it
・・・

など、非常に勉強になる内容がたった20分程度の動画に詰まっている。
この動画の内容も非常に面白いのだが、今回は省略する。
さて、Spotifyのエンジニアリング文化の動画公開が7年前だとして、その後Spotifyはどんな成長を遂げてきたのだろうか。

2015年以降のSpotifyの成長

Spotifyの成長の成長については、Business of Appsのデータを一部使わせていただいた。
このサイトでは、この記事で引用した内容よりももっと詳細なSpotifyの成長がまとまっている。
元の記事は内容が詳しすぎて、ざっと見るだけでも大変なので、一部のみ紹介する。
まず最初に見たいのがユーザ数の推移だ。下の図がSpotifyのユーザ数と定期購読者数の推移になっている。

スクリーンショット 2021-06-26 18.25.36

このようにSpotifyは過去5年間ずっと右肩上がりの成長を続けている。
2020年の第4四半期時点では、ユーザ数が3億4千5百万人で、定期購読者数が1億5千5百万人となっており、定期購読者数がすでに日本の人口を超えている。ちなみにユーザ数となっているのはMonthly Active Userということで、不活発なユーザは含まれていない。
このようにユーザ数も定期購読者数も右上りになっているのを見ると、気になるのは、ユーザ数に対する定期購読者数の割合だ。
ユーザ数に対する定期購読者数の割合は以下のように推移している。

スクリーンショット 2021-06-26 18.25.43

直近では全体の45%が定期購読しているようだ。
2015年から2018年までで、定期購読の比率が20%も増えている。この増加量は本当にすごい。
現在は定期購読の比率は伸び悩んでいるようだが、ユーザ数が右肩上がりでその半数近くが定期購読するので、成長中に変わりはない。
そして、気になる年間収益は以下のように推移している (単位はEUR billion)。

スクリーンショット 2021-06-26 20.28.32

2020年の売上である79億EURは1EURを130円とした場合、1兆円を超えている。2015年に比べると4倍以上となっている。
そして、粗利は以下のように推移している(単位はEUR billion)。

スクリーンショット 2021-06-26 20.29.02

2020年は2015年の10倍の粗利となっており、日本円にして約2600億円超えという莫大な額となっている。

右肩上がりの成長の鍵

Spotifyの成長の根幹にはエンジニアリング文化がある。
Spotifyのエンジニアリング文化の動画を見て分かるように、Spotifyではチームとしてどんな文化を持ち、何を優先とすべきかが明確だ。
そして、お互いをリスペクトし、従業員のモチベーションをあげるために企業として努力をしている。
動画の最後の方で、

You are the culture. Model the behavior you want to see.
あなたが文化です。自分が見たいと思う行動の型を作ってください。

というフレーズにあるように、従業員自体がよい文化を作り上げられるような環境となっているようだ。
Spotifyから学ぶべきことは、「Spotifyが実施しているプロセス」などではなく、「どのようにプロダクトを作るチームの文化を作り上げるか」だ
スクラムだのスクアッドだの小手先だけのテクニックに頼らず、従業員とプロダクトと向き合い、文化というプロダクト開発の基盤を作り上げることが、継続的な成長には必須だと私は思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?