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熊谷知事のお知らせ『九都県市首脳会議』

九都県市首脳会議が開催され、今年度は事務局を千葉県が担当することから、私が座長を務めました。

能登半島の復興を支援する共同宣言、各首脳提案に加え、東京都と他自治体との財源格差によって生じている課題について意見が交わされました。

九都県市首脳会議は首都圏共通の課題を解決するため、1都3県の知事と5政令市長によって議論され、原則、年度に2回開催されます。新型コロナで進んだデジタル化の流れを活かすため、春に開催される会議をオンラインで開催することとしています。

まず私の方から提案したのは、能登半島の復興を支援する共同宣言です。

千葉県を始めとする九都県市は職員派遣をはじめ、応援給水活動や医療チームの派遣、被災者への公営住宅の提供等、被災地を支援してきました。被災地の被害は甚大であり、復旧・復興の道のりは長くなることが予想されます。

各首脳からはそれぞれの支援の取組状況が説明され、共同宣言に賛同を頂きました。

能登半島地震後に初めて開催された九都県市首脳会議において、人口の3分の1を占める首都圏が今後もあらゆる面で支援を継続することを確認できたことが意義深いと考えます。

その後、各首脳からの提案。

1.大規模地震時の木造密集市街地をはじめとした火災・延焼対策等の推進について 横浜市
2.みどりによる地域価値の向上について 川崎市
3.社会的養護を必要とする子どものための養育環境の充実に向けた支援について 相模原市
4.代替フロン排出削減対策の徹底について 埼玉県
5.次元点群データ取得・更新に向けた補助制度の拡充について 神奈川県
6.マンションにおける管理の適正化について 東京都
7.広域道路ネットワークの早期整備について さいたま市
8.公立学校及び公立病院における建設物価の高騰に対する支援について 千葉市

いずれも喫緊の課題であり、各首脳の賛同を得て、共同研究や国への提言・要望を行うこととなりました。詳細は九都県市首脳会議のホームページに掲載されていますので、ぜひご覧下さい。

https://www.9tokenshi-syunoukaigi.jp/.../syunoukaigi/85.html

次に「地方分権改革の推進に向けた 取組について」を協議しました。

地域の自主性・自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会を実現するためには、国と地方の役割分担を明確にし、地方分権改革を確実に推進していくことが必要であり、あわせて、地方が主体的に行財政運営を行うことができるよう、地方税財政制度を抜本的に見直すことが不可欠です。

会議毎に国の議論や社会情勢等を反映した国への要求文を取りまとめていますが、今回は取りまとめ段階で都県で意見の相違があり、会議でも各首脳から発言がありました。

神奈川県の黒岩知事からは

「都道府県間の財政状況の違いにより、福祉や教育など、住んでいる場所で大きな差がつくべきではない性質の行政サービスに格差が生じている。

その背景に東京都と神奈川県で法人二税において、人口1人当たり税収は3倍以上の開きがあり、また経常的経費が一般財源に占める割合を表す経常収支比率は東京都が全国で最も低く、自由に使える財源が潤沢である。

一般的に人口密度が高まれば効率的に行政サービスを提供できるようになり、行政コストは削減されると言われている。例えば道路や下水道を整備する場合に、人里離れた地域に造るよりも人が集中している地域に造った方が、住民一人当たりの経費が少なくて済む。

多くの団体では、こうした傾向どおり、人口密度が高いほど一人当たりの一般財源は少なくなっているが、東京とはその人口密度の高さとは不釣り合いな規模の一般財源を得ている。

こうした状況では神奈川県は東京都の打ち出す様々な施策に追いつくことができない。都に隣接していることもあって県民から厳しい声を頂いており、いつも大変苦しい思いをしている。

財政状況を理由に県民からの要望に応えられずに苦しんでいるのは本県だけではないと思うので、国において何らかの対応が必要と考えている」

との発言がありました。また、埼玉県の大野知事からは

「現状は一部の自治体において高校授業料無償化における所得制限撤廃などが地方単独事業として実施され、自治体間において行政サービスの不均衡が生じている。

その背景には消費地等に適正に税収が帰属せず、本社のある自治体に税収が集中するなど、税源の偏在が存在している。

例えば法人二税では特別法人事業譲与税が創設され、偏在是正措置が講じられたが、未だ大きな格差がある。

Eコマースの進展など、社会・経済状況の変化を背景に本社の多い自治体に税収が一層集中することが強く懸念される。

各都道府県へ適正に税源を帰属させるため、国において更なる税源の偏在是正措置を講じるべき」

との発言がありました。

それに対して小池知事から反論があり、東京都のマンション価格は高騰を続けており、子育て世帯の負担軽減のため、本来は国が行うべき施策を東京都が先んじて行っている等のご発言がありました。

座長として、東京都と周辺自治体で財源に大きな格差が生じているのは事実であり、本来は住む場所で差が生じることがあってはならない部分に差が生じているのも事実。様々な意見がある中で今回は昨年秋と同様の内容にしたいと思うが、国には改めて居住する地域にとらわれない子ども施策の実現に向け、そのための税財源も含めて考えてもらいたい、とまとめました。

この間、東京都の突出した子育て支援の充実によって、首都圏の自治体は「東京都と同じことがなぜできないのか。やる気が無いのか、子育て支援を軽視しているのか」との厳しい声を受け続けてきました。

私たちも財源をやりくりし、様々な子育て支援の充実に取り組んでいますが、高校授業料無償化の所得制限撤廃など、普通の自治体であれば到底できない施策をここ1年2年で東京都が実施しており、これは看過できない状況となっています。

今後も関係自治体と連携して、この状況の改善を国に求めていきます。


※転載に当たっては熊谷知事の許可を得ています。

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