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令和6年3月市議会定例会 施政方針

3月定例会、冒頭で越川市長より施政方針が有りましたのでお知らせいたします。市民全体でどう感じるかが非常に重要です。今後の銚子市を左右する方針です。目次より各項目に飛べるようになっておりますので、関心のあることだけでも結構です。ぜひご確認ください。

1 はじめに

令和6年3月銚子市議会定例会の開会にあたり、新年度に臨む私の所信と市政の基本方針を申し上げます。

元日の夕刻に発生した「令和6年能登半島地震」は震度7を記録し、甚大な被害をもたらしました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。

銚子市では義援金の募集や避難所運営職員の派遣などを行っていますが、今後も県や被災地などからの要請に基づく支援を行うとともに、本市の災害対策を推進してまいります。

正月のうれしいニュースとしては、箱根駅伝に銚子二中出身で早稲田大学2年の山口智規さんが初出場。各大学のエースが競う花の2区を任され、8人抜き、早稲田大学記録を29年ぶりに更新する快走を見せてくれました。水泳では、本市出身の飯塚千遥選手(NOK)が2月11日、カタール・ドーハで行われた世界水泳選手権に日本代表として出場。女子100mバタフライで8位入賞を果たしました。パリオリンピック出場の期待がかかります。
全国的に人口減少と少子高齢化が急速に進んでいます。令和4年の国内の出生数は統計開始以来、初の80万人割れとなりました。銚子市における令和5年の出生数は113人となり、少子化が加速しています。

このような少子化を食い止め、若い世代の「産み育てたい」という願いをかなえるとともに、子どもたちの健やかな成長を応援するため、一昨年、『銚子市子ども未来基金』を設置しました。ふるさと納税などの寄附金を積み立て、子育て応援事業を充実していくための基金です。
基金条例に明記したように、子どもは地域の宝であり、未来の希望です。銚子市の豊かな自然・食・人・文化の中で、地域社会が助け合い、安心して子どもを産み育てることができる環境を整えることは、銚子市民すべての願いです。

子ども未来基金と合わせて『ふるさと納税推進ビジョン』を策定しました。ふるさと納税のさらなる拡大を図り、学校給食の充実や給食費無償化など、子どものための施策を強化するためのビジョンです。多くの食品産業が集積する銚子市の特性を生かし、人気を集める返礼品の企画・開発に取り組み、令和7年度までに年間10億円を達成することが目標です。中間事業者・返礼品事業者と連携し、ECサイトでの発信力を強化した結果、令和6年2月14日現在で5億7千万円余りの寄附申込がありました。令和4年度の2億9千万円余りから約2倍の6億円に増加する見込みです。

寄附額の増加により返礼品の受注が拡大し、返礼品事業者の売上増加、新たな雇用の創出も期待されます。

これまでも子ども医療費助成の拡充、子どものインフルエンザ予防接種助成、特定不妊治療助成など、子育て支援にふるさと納税の寄附金を積極的に活用してきました。

新年度は目標値である10億円をめざします。子ども未来基金や地方創生臨時交付金を活用して、学校給食費の無償化を図り、保育所・認定こども園・幼稚園の給食費を無償化に近づけてまいります。

銚子市の大きなビジョンである洋上風力発電事業は、令和10年9月の全面運転開始に向けた手続きが進められています。漁業共生では魚礁の設置や海の環境調査が進められ、地域共生では銚子市立病院内にコンビニエンスストアが設置されました。キャッシュレス決済のセルフレジを活用し、無人時間帯と有人時間帯を組み合わせ、24時間営業を実現。職員・患者・市民の利便性が向上しています。銚子市漁業協同組合・銚子商工会議所・銚子市が共同で設立したC-COWSが中心となって、洋上風力発電の視察受入を行っています。メンテナンス人材の育成やトレーニングセンターの検討も進められています。人間にとって最も大切な「食料と再生可能エネルギーを産み出すマチ」。その誇りを持って洋上風力発電事業を推進してまいります。オール銚子の体制で活力ある銚子の未来を切り開いてまいります。

【犬吠埼灯台150周年記念】
犬吠埼灯台は今年11月、明治7年の初点灯から150周年を迎える節目の年にあたります。「灯台ワールドサミット」をはじめとした記念イベントを開催し、銚子観光のシンボル的存在である犬吠埼灯台の魅力を国内外に向け、広く発信してまいります。

【千葉科学大学の公立大学法人化の検討】
昨年10月11日、学校法人加計学園から「千葉科学大学の公立大学法人化に関する要望書」が提出されました。銚子市では、千葉科学大学の公立大学法人化について、慎重に検討を進めています。
千葉科学大学は公私協力方式により銚子市が誘致した大学です。千葉科学大学が永続することを強く望んでいますが、銚子市の厳しい財政状況を勘案すると、公立大学法人化をする場合でも、市に新たな財政負担が生じないこと、市からの支出は国の地方交付税交付金の範囲内で賄うことが基本になります。

現在は、加計学園と銚子市の間でこの前提条件を含む基本的な事項について協議が整っていない状況にあります。引き続き協議を続けてまいります。

2 暮らしやすい地域づくり


地方創生総合戦略に基づき人口問題に取り組む1つ目の視点は、「暮らしやすい地域づくり」です。

⑴ 子育てファーストのまちづくり

その第一は、「子育てファーストのまちづくり」です。
充実した雇用環境と医療提供体制を確保し、結婚や出産の多様性を認め、安心して子どもを産み、子育てのできる環境をつくる。若い世代が子どもを産み育てたいと思える地域社会を形成しなければ銚子の未来はありません。
子どもたちの未来は、銚子の未来そのものです。「すべての子どもをすべての市民が支える」。その思いを共有し、子育てファーストのまちづくりを進めます。

【子育て支援】
子ども未来基金などを活用し、新年度は学校給食費の無償化を実施します。
保育所・認定こども園・幼稚園に通園するすべての子どもの給食費を対象に月額6,500円を市が負担し、保護者負担の軽減を図ります。
新年度は、今後5年間の子ども・子育て支援の方向性を示す『第3期銚子市子ども・子育て支援事業計画』を策定します。すべての子どもを対象に教育・保育・子育て支援事業の充実を図ります。

妊婦や乳幼児を育てる子育て世帯を対象として、妊娠期から出産・子育てまでの一貫した伴走型相談支援の充実を図ります。令和5年度から産後ケア事業を開始しました。心身のケアや育児のサポートを推進します。国が進める出産・子育て応援ギフトの支給も継続します。

スマートフォンアプリを通して24時間365日、医師による健康相談が受けられる環境を整備します。

【子ども支援】
すべての子どもたちが、生まれ育った環境に関わらず、夢や希望を持つことができる社会を実現し、「子どもの貧困」を解消するためには、子育てや貧困の問題を家庭のみの責任とするのではなく、社会全体で解決することが重要です。新年度新たに『こどもの貧困対策推進計画』を策定し、「教育の支援」「保護者の就労の支援」「生活の支援」「経済的な支援」を柱とした総合的な支援を実施します。
子ども食堂は、子どもの育ち、子どもの貧困対策、食育の推進、地域交流の拠点として重要な役割を果たしています。銚子市でも民間による子ども食堂が実施されています。連携を深めながら、子ども食堂の取組を支援してまいります。
関係機関と連携して虐待の発生予防・早期発見・早期対応を図るため、子ども家庭総合支援拠点を設置しています。

児童虐待や不適切な養育状態にある家庭の子ども、若年の妊婦などへの支援を行っています。子育て広場、乳幼児健診でのチラシ配布、民生委員・児童委員などへの周知を通して、児童虐待防止を強化してまいります。

2月18日、「ヤングケアラー当事者の人生から考える支援のあり方」をテーマに、子育てフォーラムを開催しました。ヤングケアラー協会の宮﨑成悟代表理事から実体験を通した講演をいただき、行政と民間が分野を越えてつながり、連携しながらヤングケアラーを支えていくことの大切さを学びました。ヤングケアラーを支えるための連携を強化してまいります。

こども基本法は「子ども施策に子どもの意見を反映すること」を求めています。本市でもこども基本法を踏まえ、「こどもレター」など、子どもの声を聞く取組を進めます。

青少年の健全育成を図るため、銚子市青少年相談員連絡協議会や青少年育成団体などの関係団体とともに、子どもが地域社会との関わりを持てるような事業活動を協働で実施します。

【子どもの教育】
学校教育については、令和9年度開校予定の(新)銚子中学校の校舎新築等整備に向けて、工事の契約締結及び着手のための準備を進めていきます。
令和3年度に豊岡小学校と統合した春日小学校の校舎については、国の交付金を活用し、大規模改修を継続して実施します。

専門知識を持ったICT支援員を配置し、子どもたちのICT教育とGIGAスクール構想を推進してまいります。

いじめ防止対策については、『銚子市いじめ防止基本方針』に基づき、いじめの防止、早期発見・早期対応に努め、家庭や関係諸機関と連携を図りながら、適切に対応してまいります。

すべての小中学校、市立高校で、引き続き生理用品の無償配布を行ってまいります。また、新たに市内の中学校に自転車通学する新入生に対して、通学用ヘルメットの無償配布を行ってまいります。

平成28年度から実施している「土曜教室」は、自主的な学習習慣を身につけることを目的に、高校生ボランティアが宿題や教科書の予習・復習などをサポートしてくれています。引き続き小学生の学習の支援に努めてまいります。
銚子市は、先の戦争で三度にわたり大規模な空襲を受け、多くの生命と財産が失われました。昭和59年9月14日に「非核・平和都市」を宣言しました。今も、ウクライナやガザ地区では紛争が続いています。未来を担う子どもたちに「平和の尊さ」と「平和を維持することの大切さ」を考えてもらう機会として、広島市へ中学生を派遣します。私も中学生とともに、平和の尊さを、改めて考えてみたいと思っています。

⑵ 女性活躍は地域活性化の切り札

第二は、「女性活躍」です。
日本の管理職的職業従事者に占める女性の割合は、令和3年度において13.2%となっており、諸外国と比べて低い水準です。生産年齢人口が減少する日本において、また、これが特に深刻な銚子市にとって、女性活躍は人口減少対策のみならず、地域活性化の切り札でもあります。

令和5年度からスタートした『第4次銚子市男女共同参画計画(令和5年度~令和9年度)』では、「一人ひとりが人として尊重され、その個性と能力を発揮できる社会の形成」を基本理念として、「一人ひとりの人権の尊重」「あらゆる暴力の根絶」「男女がともに輝き、活躍できる地域づくり」などを目標としています。

そのための第一歩として、市の政策に女性の視点を反映させることが重要であり、市職員の管理職に占める女性割合をこれまで以上に高めるとともに、審議会・協議会の委員に占める女性割合も高めてまいります。

⑶ すべての人にやさしいまちづくり

第三は、「すべての人にやさしいまちづくり」です。

人にやさしくされると、自分もやさしくなれる。誰かのために尽くしたくなる。「やさしさ」が連鎖し、循環する地域づくりを進めます。SDGsの理念である「持続可能」「誰一人取り残さない」「パートナーシップ」を基軸として、すべての人にやさしいまちづくりを進めます。

【新型コロナウイルスの感染拡大の対応】
新型コロナウイルス対策については、感染状況を注視し、ホームページや公式LINEを通じて、感染防止対策の発信や注意喚起を行ってまいります。
ワクチン接種は、新年度から65歳以上の方を中心に定期接種化がスタートし、秋から冬にかけて、年1回実施する方式に移行します。

【各種検診受診率の向上】
集団方式で実施しているがん検診など、オンラインで予約できるWEB予約システムを導入します。24時間どこからでもアクセスできることにより、特に若い世代を中心に受診率向上をめざします。

【地域医療】
地域医療については、救急医療の充実のため、私的二次救急医療機関の救急患者受入に対する補助を実施します。在宅医療の構築をめざし、安心して暮らせるまちづくりを推進してまいります。

銚子市立病院は、地域で不足する回復期リハビリテーション病棟を運営するなど、公立病院としての使命を果たしており、医師・スタッフの努力で高い病床利用率を持続しています。また、患者サービスの向上と業務の効率化を図るため、令和5年度から電子カルテをはじめとする医療情報システムを導入しました。

今後、内科・外科の2病棟による診療体制を整え、さらなる医療機能の充実に努めるとともに、『銚子市立病院経営強化プラン(令和6年度~令和9年度)』を定め、経営の改善に努めます。

市立病院へのアクセス向上について、市民要望を踏まえ、路線バス「豊里ニュータウン線」の終点を陣屋町から市立病院まで延伸することについて、運行事業者に要望しました。実現すれば、これまでの長崎線に加え、豊里ニュータウン線が乗り入れることによって、利便性が高まります。

【高齢者福祉の充実】
『銚子市高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画』を策定し、3月に公表します。医療と介護の連携を強化し、高齢者を地域で支えていく地域包括ケアシステムの深化・推進を図るため、医療・介護関係者間で速やかな連絡調整が可能となるよう情報連携ツールを整備します。

要介護状態になることを防ぐための介護予防の取組として、基準緩和型のサービスなど多様な主体によるサービスの検討・充実を図ります。

介護認定の調査・審査会のデジタル化を進め、認定期間の時間短縮に努めます。

元気なうちから地域のつながりの中で介護予防を推進するため、プラチナ体操を普及してまいります。

【認知症対策】
65才以上の5人に1人が認知症になると言われています。「認知症サポーター養成講座」「オレンジカフェ」を展開し、地域の見守り、認知症への理解と応援を広げ、認知症高齢者とその家族の支援を一体的に実施してまいります。

【生活困窮者の支援】
生活困窮者に対する相談窓口である「ちょうしサポートセンター」を中心に、関係機関と協力し、就労支援や生活安定の支援を行います。

【多様性を認め合う地域社会】
「千葉県多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の形成の推進に関する条例」が制定され、1月から施行されました。

「人々が様々な違いを尊重しながら、互いに関わり合い、影響を及ぼし合うことが、社会の活力および創造性の向上に効果を発揮する」「障害のある人もない人も、誰もが、互いの立場を尊重し合い、支え合いながら、安心して暮らし、個性と能力を発揮して活躍する」「国籍および文化的背景、性的指向および性自認、その他さまざまな違いに関わらず、全ての県民および事業者が理解し、尊重し合うことで、誰もがその人らしく活躍する」。

県条例に定めた基本理念にのっとり、多様性が尊重され誰もが活躍できる社会の実現をめざして、千葉県と連携し、銚子市の取組を推進してまいります。

【障害者福祉の充実】
障害者福祉については、『銚子市障害者福祉計画(令和6年度~令和11年度)』、『第7期銚子市障害福祉計画・第3期銚子市障害児福祉計画(令和6年度~令和8年度)』を策定し、3月に公表します。

「このまちで共に生きる!すべての人が宝物」を基本理念とし、障害の有無にかかわらず、ともに支えあいながら暮らせる社会をめざします。地域のあらゆる住民が「支え手」と「受け手」となり、障害のある人の権利を擁護します。身近な場所で支援を受けることができ、選択の機会が確保される総合的な支援サービスの提供体制を構築します。

市内唯一の精神科医療機関である銚子こころクリニックの運営に対し、引き続き支援します。

地域活動支援センターは、令和5年度に新たに1か所が開設され、市内2か所体制となりました。障害のある人の地域における交流の場、憩いの場としての「日中の居場所づくり」の役割を担っています。

【多文化共生】
言葉・文化・国籍の違いを越えて共に生きる「多文化共生」を推進します。外国籍市民との交流を深め、日本の文化・生活様式に慣れ親しんでいただくための取組を推進し、相談体制の強化を図らなければなりません。外国籍市民に「銚子に住んでよかった」「銚子を選んでよかった」と思っていただけるような地域共生社会を築いていく必要があります。

やさしい日本語の普及、生活支援のための情報提供を行ってまいります。外国にルーツを持つ児童生徒の日本語指導、適応指導に努めます。銚子市国際交流協会による日本語教室や地域住民との交流の場づくりを進めています。地域おこし協力隊と連携し、多文化共生を推進し、外国籍市民のサポートを行います。

【消費者行政の充実】
消費者を取り巻く環境は日々変化し、インターネットの利用増加に伴い、幅広い年齢層で消費者トラブルが発生しています。複雑多様化する消費者問題に対応するため、被害防止のための情報提供や消費者教育の機会を設けるなど、引き続き消費者行政の推進に努めます。

⑷ 文化・スポーツの振興

第四は、「文化・スポーツの振興」です。

【東総文化会館での文化祭の開催】
令和5年度の文化祭は、市民センター及び千葉県東総文化会館大ホールを会場に開催しました。日本舞踊、音楽、ダンス、カラオケの各部門から41団体が参加し、日頃の活動の成果を披露しました。
新年度においても、千葉県東総文化会館大ホールを借り上げ、市民センターと2会場で開催します。

【スポーツ振興】
生涯にわたって健康で活力のあるライフスタイルを実現できるよう、誰もがスポーツを身近に親しむことができる場の提供に努めます。スポーツ団体などと連携を図り、スポーツ活動の支援に努めます。

【文化財の保存・活用】
『銚子市文化財保存活用地域計画』に基づき、「銚子資産活用協議会」などと連携し、歴史文化や自然を活用した「まち歩き」や「体験メニュー」を通じた「学びのプログラム」を市民・来訪者に提供します。銚子市ジオパーク・芸術センターを「学びの拠点」として展示物を充実させます。

【銚子ジオパーク活動の支援】
千葉県内で唯一の銚子ジオパークは、4年に一度の再認定審査を本年秋に控えています。日本ジオパークとして必要な体制整備を行います。
銚子ジオパークでは、市民と連携した地域の地質・地形遺産の保全活動や、市内外の小中学校へジオパーク学習の提供を継続し、ジオツーリズムによる地域振興に積極的に取り組みます。

3 働きやすい、魅力的な仕事づくり



人口問題に取り組む2つ目の視点は、「働きやすい、魅力的な仕事づくり」です。

【しごと・ひと・まち創生総合戦略】
銚子市では、急激に人口減少が進んでおり、集中的な対策が必要です。
新年度は第2期総合戦略の最終年度となります。人口減少対策
と地域経済活性化など第2期総合戦略に掲げた取組の強化を図るとともに、第3期総合戦略の策定に向けた議論をスタートさせます。

【洋上風力発電事業の推進】
銚子市沖の洋上風力発電事業は、公募占用計画に基づき、令和10年9月の運転開始に向けた準備が進められています。令和7年1月以降、送電ケーブルの埋設などの陸上工事が開始される予定です。20年以上にわたって実施される事業であり、運転管理やメンテナンス関連産業の誘致、地元企業の活用、新たな雇用の創出に結びつけていかなければなりません。

発電事業者は、洋上風力発電事業を契機として、一過性ではない持続可能な自立した地域共生を銚子市とともに目指していく方針を示しています。銚子市は、漁業振興基金を活用した漁業共生策や三菱商事との地域創生に関する連携協定に基づく観光振興策、先進的な教育支援などの地域共生策に取り組んでいます。

発電事業者が持つ多様な資源や知見を生かし、地域課題の解決や新たな地域産業の創出、次世代の人材育成につなげてまいります。

名洗港は、洋上風力発電の建設補助・維持管理のための拠点港湾として千葉県による整備が進められています。防波堤や物揚場の新設、埠頭の整備や航路の浚渫など、必要な機能が整備されます。

【地域経済の活性化】
新型コロナウイルス感染拡大が落ち着き、平常に戻りつつある地域経済を軌道に乗せていくため、商工会議所や地元金融機関などと連携を図り、市内事業者の支援に取り組みます。

昨年締結した『銚子市、銚子商工会議所及び三菱食品株式会社の3者による銚子市の「食」を通じた地域活性化に関する協定』を契機として、市内の食品関係事業者を中心に、これまでにない市外に向けた新たな販路の拡大を進め、銚子産品の魅力アップ、認知度の向上を図ります。

また、新たな企業誘致や雇用の創出を図るため「企業立地等促進補助金制度」により、新規に事業拠点を設ける民間事業者や事業の拡充をめざす地元事業者に対する支援も継続してまいります。

【観光の振興】
観光については、地域資源を掘り起こしながら持続可能な観光地域づくりを進めるとともに、本格的な復活が見込まれるインバウンドへの対応を強化し、旅行消費額の拡大をめざします。

千葉県や関係団体と一体となって全国各地で開催する観光商談会に参加するほか、「銚子観光パスポート」など、SNSを活用した積極的なプロモーション活動を実施します。

【水産振興】
日本有数を誇る銚子漁港の水揚げを今後も維持するため、千葉県と連携し、漁業者にとって利便性の高い漁港づくりを進めます。

第3卸売市場の高度衛生管理型市場への建替えについては、銚子市漁業協同組合が事業主体となって工事が進められています。令和5年10月に一部供用を開始し、令和6年9月にすべての工事が完了する予定です。銚子市も、円滑な事業の実施を支援してまいります。

漁業振興基金を活用し、漁業者支援を引き続き行ってまいります。

アルプス処理水放出に伴う風評被害対策については、千葉県と連携して水産物の安全性のPRにしっかりと取り組んでまいります。

【農業の振興】
農業生産力や収益力の強化・拡大のため、国や県の補助事業を活用して、農業振興に努めます。

地域農業の将来像を明確にする「人・農地プラン」が法定化され、新たに地域計画を策定することとなりました。新年度は、市内を3地区に分けて、計画を策定します。

イノシシを始めとした有害鳥獣による農作物被害対策として、地域住民・猟友会・農業団体・行政などで構成する「銚子市有害鳥獣被害対策協議会」と連携し、継続的な捕獲に取り組みます。電気柵設置のための補助を行います。

4 安心・安全な都市づくり


人口問題に取り組む3つ目の視点は、「安心・安全な都市づくり」です。

【広域幹線道路網の整備】
小見川大橋から利根川大橋に至る一般国道356号・小見川東庄バイパス(8.7㎞)が3月19日から全線供用開始となります。銚子市長塚町から利根かもめ大橋までの銚子バイパス(8.2㎞)は今年秋の開通と伺っています。銚子市小船木町から利根川大橋までの東庄銚子バイパス(8.6㎞)について、バイパス区間(4.4㎞)と現道拡幅区間(4.2㎞)を組み合わせて整備する道路計画が千葉県から示されました。

東総台地地区広域営農団地農道は3月に全線開通します。農産物の流通、交通環境の改善、災害時の緊急輸送道路として、千葉県と連携しながら適切な維持管理を行います。広域営農団地農道から続く主要地方道銚子海上線の清滝バイパスのトンネル工事も3月完成予定であり、広域ごみの運搬や旭中央病院へのアクセスの向上が図られます。

銚子連絡道路については二期区間(横芝光町~匝瑳市)が3月31日に開通します。国道126号八木拡幅については早期開通に向けて、千葉県に事業推進の協力をしてまいります。

【地域公共交通計画】
人口減少、少子高齢化が進展する中で、公共交通ネットワークの維持、特に高齢者などの移動手段を確保するための取組は、これまで以上に重要性を増していきます。令和5年度に地域公共交通計画を策定し、新年度以降は、計画に定めた取組を推進します。

【道路・河川の整備】
利根川の浸水対策として、現在、桜井町から長塚町までの区間で、築堤と中小河川への逆流防止のための樋管、水門整備が国により進められています。新年度は佐原川から桜井町公園間の築堤、樋管整備の工事が始まる予定です。今後も工事の早期完成と堤防未整備区間の早期事業化に向け、神栖市と共同で国に要望してまいります。
新年度に国が実施する予定の築堤工事と並行して、桜井町公園の駐車場や園路などの再整備を進めてまいります。

【空家等対策の推進】
管理不全な空き家の発生予防と適正な管理について周知を図るとともに、倒壊のおそれのある空き家に対しては、解体費用の一部を助成し除却を促すなどの空家等対策を推進してまいります。

【消防・防災体制の強化】
令和6年1月、石川県能登半島に大津波を伴う大地震が発生しました。甚大な被害が生じており、市民の安全確保に際し、地域防災力の重要性が再確認されています。

今後も大規模地震や豪雨災害の発生に備え、災害対応能力の向上を図り、災害現場における指揮統括などの専門的な人材を育成します。
消防団は地域防災力の要です。毎年減少している消防団員を確保するため、様々なイベントなどを通して広報活動を実施します。地域に貢献している消防団の活動を市民に理解していただき、入団を促進します。

新型コロナウイルス感染症は5類へ移行しましたが、感染症の拡大は収束しておらず、救急出動件数が2年連続して過去最多を更新しました。今後も救急需要の増大が懸念されます。病院前救急医療の担い手である救急救命士の養成に取り組み、救急体制の強化を図り、救命率の向上をめざします。

消防署用の消防ポンプ自動車、消防団用の小型動力ポンプ付積載車を更新整備します。防災拠点施設である消防庫の新築設計を行います。消防庫の維持管理経費の見直しを行います。消防団活動の充実と体制強化に努めます。

災害対応ドローンを導入し、水難事故や土砂災害における要救助者の捜索活動や火災現場での延焼状況の確認に活用します。操縦者の資格取得と技術向上を図ります。
災害時の断水対策として、指定避難所に防災用井戸を整備し、災害時の生活用水の確保を図ります。

災害時に自ら避難することが困難な避難行動要支援者に対しては、町内会や福祉関係者と連携し、一人ひとりの状況に合わせた個別避難計画の作成に取り組み、避難行動要支援者の円滑かつ迅速な避難の確保を図ります。

【上下水道】
水道事業については、老朽化した配水管の耐震化・更新工事を引き続き行い、基幹管路の耐震化・更新工事を本格的にスタートしました。
市民が安全な水を安心して使い続けることができるよう、計画的な水道施設の更新を行い、健全経営に努めます。

下水道事業については、経営戦略と施設管理の最適化を目的とした『ストックマネジメント計画』に基づき、芦崎終末処理場や管渠など、下水道施設の適切な維持管理に努めます。

【犯罪・事故のない安心して暮らせるまちづくり】
発生が続く「電話de詐欺」や「還付金詐欺」などの特殊詐欺に対しては、特殊詐欺対策電話機器などの購入に対する補助を行い、特殊詐欺による被害ゼロをめざします。

地域における犯罪の発生の防止を図るため、町内会などによる防犯カメラの設置に対する補助を行い、犯罪のない安心して暮らせるまちづくりを推進します。
高齢者が運転する自動車の急発進による事故防止や事故発生時の被害の軽減を図るため、後付け安全運転支援装置の整備に対する補助を行い、高齢者の安全運転を支援します。

5「つながり人口」の拡大


人口問題に取り組む4つ目の視点は、「つながり人口」の拡大です。地域を応援する「応援人口」、観光を拡大し交流を広げる「交流人口」、市民が様々な活動に参加する「活動人口」。こうした「つながり人口」は、活力ある地域づくりに不可欠です。総合計画のテーマである「握手」の輪を広げ、「つながり人口」の拡大をめざします。

【ふるさと納税の推進】
ふるさと納税は、子育て支援などの自主財源を生み出し、地場産品のPR、販路の拡大につながるとともに、新たな産業を創出し、地域経済を活性化する重要な制度です。ふるさと納税の寄附をきっかけに銚子市に興味を持っていただくことで、関係人口の増加にもつながります。
中間事業者や地元の返礼品事業者と連携し、貴重な財源であるふるさと納税を拡充し、子どもファースト・子育てファーストのまちづくりを推進します。

【地域おこし協力隊】
「地域おこし協力隊」については、令和6年4月に17名の隊員が活動する見込みとなっています。令和4年度時点で全国において6,447名の隊員が活動しており、国は令和8年度までに隊員を10,000人に増やす目標を掲げています。本市においても隊員の定住、定着による地域の活性化が期待できることから、今後も、積極的に取り組んでいきたいと考えており、隊員が活動しやすい環境となるよう、隊員間の交流促進や活動のサポート体制を充実させます。

【公民連携】
企業・NPO・各種団体と連携し、公民連携事業を推進します。民間の持つアイデア・技術・ノウハウを取り入れ、地域経済や地域活動の活性化、新たなビジネスの創出をめざします。
銚子水産観光株式会社から無償譲渡の要望が提出されたウオッセ21については、事業提案制度を設け、ウオッセ21の活用に関する民間事業者からの事業発案を、今後、募集します。事業者の発案を生かし、ウオッセ21が観光客や市民に親しまれる施設となるよう、事業化に向けた取組を推進します。

体験学習型観光の充実を図るため、旧公正會館とその周辺地域の利活用について公民連携による事業化を検討しています。地域の特徴や課題を整理し、事業の方向性をまとめます。

【国際交流】
令和5年度にアメリカ合衆国オレゴン州クースベイ市との姉妹都市協定締結40周年を迎え、クースベイ市から市議会議員が銚子市に訪問されました。
友好交流協定を締結している台湾桃園市に、銚子はね太鼓が訪問し、また台湾桃園市からは、チャイニーズオーケストラが来日し、素晴らしい演奏を披露しました。
県の訪日教育旅行事業の受入を行い、インドネシアから高神小学校に、台湾桃園市から飯沼小学校に小学生が訪問し交流を深めました。

ドイツ・ウェルテンベルグからは第50回日独スポーツ少年団同時交流に、オランダからアムステルダム応用科学大学の研修として学生が来銚しました。

新年度も、国際交流を推進してまいります。

6 行財政運営と新年度予算

次に、「行財政運営と新年度予算」について申し上げます。

【行財政改革の推進】
危機的な財政状況に対処するための取組を取りまとめた『緊急財政対策』は、令和5年度末に計画期間が終了します。
新たな行財政改革の指針を策定し、今後の方向性を示します。子どもたちにツケを回さないための改革を進め、健全財政の確立をめざし、将来の財源確保と未来への投資のための取組を進めます。

【DXの推進】
『銚子市DX推進計画』に基づき、利便性向上と業務の効率化に向けた取組を進めます。
行政手続きのオンライン化を進めるとともに、マイナンバーカードを活用した申請書自動作成システムを導入します。
情報システムの標準化・共通化に向けた準備を着実に進め、デジタル技術を活用した行政改革を進めます。

【公共施設の再編・整備】
公共施設については、将来の人口推計を見据え、十数年先の財政規模に見合った施設総量に見直します。築年数の経過した施設の長寿命化対策、統廃合などに取り組み、未利用施設の売却、貸付を計画的に進めます。
公共での利活用が見込めない施設は、サウンディング調査などを実施し、民間からの意見や新たな事業提案を積極的に受けるなど、施設の利活用に向けた情報収集に努めます。

【ゼロカーボンシティの推進】
2050年の「ゼロカーボンシティ銚子」の実現に向け、『銚子市ゼロカーボンビジョン』に位置づけた取組を官民連携によるオール銚子の体制で推進します。
銚子電力と連携し、公共施設への第三者モデル「PPAモデル」による太陽光発電設備や蓄電池の導入をめざします。
太陽光発電や風力発電など地域特性に応じた脱炭素につながる再生可能エネルギーの導入をめざし、省エネ設備への転換・導入など、温室効果ガス排出量の削減につながる効果的な取組を進めます。

『銚子市ゼロカーボンビジョン』に基づく温室効果ガス排出量削減に向けた取組として、公用車の電動化を進めます。令和6年度は11台の車両を電動車へ更新します。今後も順次電動車の導入を進めるとともに災害時における移動電源としての活用を推進します。

【国民健康保険事業の健全な運営】
国民健康保険事業は、健全な財政運営を図るため、保険料率を改定します。
収納率向上対策に取り組み、歳入を確保します。
3月に策定される『第3期保健事業実施計画(データヘルス計画)・第4期特定健康診査等実施計画』により、生活習慣病の発症予防・重症化予防を図り、医療費の適正化を図ります。

【歳入の確保】
市税は、市の歳入の根幹をなすものです。人口減少に伴い、一般財源を確保することが難しい状況において、未収金の縮減と徴収率の向上は本市の重要課題の一つです。税負担の公平性と自主財源確保のため、期限内納税の周知・啓発と公正な賦課徴収を徹底します。

市税以外の債権についても『銚子市債権管理基本計画』を着実に推進し、未収金の縮減を図り、より一層の歳入確保をめざします。

【新年度予算の概要】
令和6年度の当初予算は、人口減少に伴う市税の減少、物価高騰などの影響による費用の増加が見込まれ、厳しい予算編成になりました。
一般会計の予算総額は260億1,300万円で、令和5年度の当初予算と比較して8億9,300万円、3.6%の増加。収支を整えるため、財政調整基金から約11億円の繰入を見込みました。

前年度当初予算と比較して、歳入では、市税全体で約4億円の減少を見込んでいます。この減少分のうち、国が進める個人住民税定額減税の影響額、約2億円は、地方特例交付金で同額が措置されます。国庫支出金で約4億円、ふるさと納税の更なる拡充などにより寄附金で2億円の増加を見込みました。

歳出では、(新)銚子中学校の建設工事が令和6年度から始まります。施設整備の費用約39億円、令和8年度まで3年間の継続費を設定し、校舎の新築工事などを進めます。広域ごみ処理施設の中継施設の整備に係る負担金で約1億1,000万円、地域おこし協力隊に係る経費で約1億円の増加を見込みました。このほか、道路の整備費用として約7,000万円の増加を見込んでいます。

一般会計のほか公営企業会計は、水道事業ほか2会計で77億5,400万円、特別会計は、国民健康保険事業ほか2会計で148億7,900万円です。これに、土地開発基金と育英資金貸付基金の運用基金6億4,928万9千円を加えた全体の予算総額は492億9,528万9千円で、前年度と比較して2.3%増となりました。

予算の執行にあたっては、収入の確保と経費の削減に取り組み、健全で持続可能な財政運営に努めてまいります。
今後も市民の皆さまとの対話や連携を通じて、さらなるパートナーシップを築き、『総合計画』のビジョンである「握手のまちづくり」に全力で取り組んでまいります。


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