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危機の時代とNew Normal(新常態)に向けた人事アジェンダ - Part 3

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この執筆をしている間に経団連からも緊急提言として「Digital Transformation (DX)~価値の協創で未来をひらく~」が発行されました。

<参考>Digital Transformation (DX)~価値の協創で未来をひらく~
https://www.keidanren.or.jp/policy/2020/038.html

この危機を克服するために、またSociety5.0やSDGsなどの社会変革、産業変革、企業変革を推進していくためにDXは益々必要という論調です。今回のCOVID19対応で改めて浮き彫りになったのが、海外と比べて日本全体のDXの遅さです。但しやみくもにDXを唱えるのではなく、コスト削減施策により投資キャッシュを創出し、その企業にとって本当に必要な分野へのDX投資をする流れが明確になるでしょう。

2. 挑戦のための“組織・個”の強化

さて「2. 挑戦のための“組織・個”の強化」についても論じていきたいと思います。正にここが攻めの施策になる部分です。COVID19が落ち着き、New Normal時代が幕開けた際にかなりの知識人の方々が、Beforeコロナとは異なる生活様式になるという論調があります。聞いているとかなり窮屈で少し受け身・悲観的な印象に感じています。私個人の意見としては希望の時代と捉え、これまでの人類の営みの中で反省すべき点は反省し、課題を克服し、新たな価値を生む時代を創っていければと思っています。その脈絡で企業において「人」は、どの企業・組織においても最大の価値であることが認識され、組織や個を強化する施策を講じるべきというのが考えです。

まず人事制度に関してはキーワードは「自律と結果」と考えています。クールな印象を受ける方もいると思いますが、これから益々副業・兼業などの多様な働き方が認められるようになり、個人個人の挑戦歴・学習歴という真のキャリア(経験)が重要視されるようになると思います。これまでの1日8時間、週5日、年250日といった固定の勤務時間の概念がなくなり、各自が自身の職務に責任を持って取り組み、生産性高くアウトプットを出すことが求められていくと思います。定常業務でAIやRPAに置き換えられる部分は置き換え、これまでその仕事をしていた人はリスキルをし、次の高度な仕事(A)へ玉突きされ、(A)という仕事をしていた人は、次の高度な仕事へシフトしていく。結果としてその組織・企業全体がアップグレードしていくことが求められるのではないかと思います。

この状況を実現するために必要となるのが多様なコミュニケーションチャネルと新時代にふさわしい個々に適応・即応する教育です。

今後益々テレワーク、ロケーションワーク、リモートワークが志向されてく中でフィジカルとバーチャルのコミュニケーション機会をいかにバランスよく創出できるかが鍵になっていきます。私自身はすべてのコミュニケーションをオンラインというのは反対です。きちんとアイディア出しをする、皆で認識統一する、意思決定する。大事な局面ではやはり物理的な場所に集まってコミュニケーションをすることが必要でしょう。一方で多様な働き方を認めていくためには、遠隔でよいコミュニケーションはメール、ビデオ・電話会議、Slackなどのビジネスチャット、SNSなどを活用していけば良いと思います。これまで以上に人と人とのつながりを持たせるためにコミュニケーションチャネルを多様化する基盤を整えておくことは企業にとって重要だと思います。

もう一つは研修・教育に関しても適応学習(=アダプティプラーニング)の必要性が高まってくると思います。アダプティプラーニングとは、人ひとりに最適化された学習内容を提供することです。個々人がこれまでの職歴、培ったスキル、関心のあるテーマ、会社・事業の戦略方針はたまた世の中の流れを含めて、最適な学習コンテンツを提供していく仕組みを整えていくことが人事として大事なミッションとなっていくと思います。これも単純にオンライン化することが大事なのではなく、マイクロラーニングやモバイルラーニングを準備した上で、反転授業を行っていく仕組みを整えたり、学習歴と挑戦歴を蓄積し、その個々人が最大のパフォーマンスを発揮できているかを分析したりなど、単純に「学習の機会」を提供するのではなく、マネージャーと部下のコミュニケーションなどに活用をしていくなど人事制度に紐付けていくことが必要でしょう。

ではどのようにDX推進・IT活用をしていくのか?

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データは新たな天然資源であると言われて久しいですが、今回のNew Normalを受けて益々データの重要性が叫ばれるようになるでしょう。上図は平成から令和にかけての人事トレンドの変遷とデータの範囲・仕組み、システム活用者の変遷を記述しているものです。組織・人事データは民主化されていくという論は叫ばれて久しいですが、この「個」にフォーカスをした人事施策が実施されていく潮流の中で、この流れは止まらないでしょう。企業はこれまでの人事基礎情報だけでなく、モバイルやウェラブルデバイスから構造化データだけでなく、非構造化データも取得できるようになり、それをどう経営者に社員に還元していくかが求められるようになります。

この還元を実現するためには人材・組織マネジメントに必要データを収集し、蓄積し、解析・洞察していくプラットフォームのニーズが益々高まっていくのではないでしょうか。殊、人事領域に関してはベストプラクティスを共有する「集合知的な場」の受容性が高いため、Cloud HR/HCMの活用が増えていくと容易に推測されます。Cloud(SaaS)の良い部分は、必要な機能を順次適切なタイミングでリリースされる/機能拡張される点です。柔軟かつ時代即応な人事施策を打っていくために内製をしていてはコストも掛かるし、時間もかかる。SaaSはそれを解くための唯一無二のプラットフォームです。かつ、一つのHR/HCMプラットフォームにはこれまで述べてきたエンゲージメントや1on1、ラーニングのツールがある程度内包されています。足りないもの、より特化したいものは他のHR Techを活用し連携していけばよいのです。Best of Bleed型の時代がHR領域にも来ると考えています(CX領域では普通です)。

もう一点、Augumented HR Functionsというキーワードを掲げたいと思います。デロイト社は拡張労働力、IBM社はインテリジェントワークフロー、アクセンチュア社はインテリジェントオペレーションの必要性を説いています。

<参考>
デロイト デジタルテクノロジーを前提とした人材活用の高度化
https://www2.deloitte.com/content/dam/Deloitte/jp/Documents/human-capital/hcm/jp-hcm-hrsd-4.pdf

IBM Intelligent workflows 101: Revolutionizing the way your business works
https://www.ibm.com/blogs/services/2019/04/29/intelligent-workflows-101-revolutionizing-the-way-your-business-works/

アクセンチュア Igniting HR for strategic business partnerships
https://www.accenture.com/us-en/insights/operations/hr-intelligence

今後ワークフローなどを始め、HRに関わる(他の領域もそうですが)ますます業務の省人化が求められていくでしょう。それを実現するにはAIやRPA、はたまたロボットなどの人間の拡張機能(Augumented functions)になります。あくまで人間の拡張・支援機能として動いていく。

Cloud HR/HCMプラットフォームにデータが溜まり、考え(人間にあたる頭脳)そして実際に手足を動かすAugumented HR functionsがこれからのDXの方向性になっていくと考えます。

危機の克服と新常態に向けた人事アジェンダとしてしてここまで私の考えを述べさせて頂きました。一旦は新しい人事施策やオペレーションは中断・延期しつつもNew Normal時代に置いては予防と挑戦をするための施策が様々必要となってくると思います。そのときに必要なDXを進めていくことは待ったなしだと思います。このNoteでも引き続き業務別に人事テクノロジー事例をご紹介できればと思います。

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